第44話 『新しいお店』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第44話
『新しいお店』
爆破された喫茶店の瓦礫をイタチとアンは片付けていた。
「店内ボロボロですけどどうするんですか?」
「一応保険に入ってたからそれでなんとかしようと思う」
「爆発に対応してる保険ってあるんですね……」
荷物を片付けていると、ダッチがやってきた。
「おう、作業は進んでるか?」
「ダッチか。ほれ、これをくれてやるよ」
ダッチに投げつけられたのは、焼け焦げた鍋を投げつけた。
「欲しがってたろ。やるよ」
「いるかよ! ほぼゴミじゃねーか」
ダッチも合流して片付けを進め、喫茶店の清掃が終わった。しかし、爆発の影響で営業も住むこともできる状態ではない。
残った荷物をダッチに預けて、イタチとアンは一時的な住居を探すことになった。
「ダッチさんの家に住むのはどうなんですか?」
「俺たちが押しかけたらあいつが可哀想だろ。ほら、ついたぜ」
たどり着いたのは町にある不動産屋さん。扉を開くと眼鏡をかけたタヌキが出迎えてきた。
「あ、イタチさんいらっしゃいやぁ。ガス爆発、災難でしたやぁね。今日はどんなご用で?」
「建物の修理が終わるまでの住居を探しに来ました。何か良い物件ありますか?」
イタチが聞くとタヌキは引き出しから書類を出して、テーブルに広げた。
「ありますよ、一緒に見ましょうか」
「まず一軒目は元漫画家が住んでいた屋敷やぁ」
「屋敷か。かなり広いな」
屋敷と聞いて隣にいるアンは目を輝かせる。
「屋敷ですって!? 豪邸なんですか!!」
「豪邸やぁ。しかし……」
タヌキは顔の下からライトを当てて怖い顔をする。
「その屋敷は幽霊が出るって噂があるんやぁ」
怖がらせようとしてくるタヌキ。しかし、イタチとアンは冷めたした顔をして、
「幽霊のどこが怖いんですか」
「幽霊よりももっと怖いものに俺は追われてるからな」
全然二人は怖がることはなかった。
「つまんないやぁ、しかし、どうやぁ?」
「うーん、幽霊はどうでも良いが、屋敷である必要はないな。管理も大変だ。もっと管理が楽な建物はないですか?」
「そうやぁか、なら」
タヌキは隣にある書類を前に出す。
「超ハイテクマンションCCCなんてどうやぁ?」
書類の写真には最新式のセキュリティーロックの扉や高性能エレベーターが映っていた。
写真を見たアンは目を輝かせる。
「凄い!! これって最新のものばかりじゃないですか!」
しかし、書類を確認してイタチは腕を組む。
「最新にしては安いですが…………」
「それはですね。最新すぎてまだ安全が保証されてないんです」
「そんなもの売るな! …………もっと普通な建物はないんですか?」
次に出したのはあるアパートの写真。
「ここはどうやぁ、超普通、家賃も普通、住んでる人以外は普通やぁ」
「住んでる人って…………誰が住んでるんですか」
「自称マフィアのボスと、自称異世界からやってきた魔王さんと、自称宇宙人やぁ」
「自称が多い!? ……まぁ、そこで良いか、契約を頼む」
住居を決めて荷物を運び、イタチ達が引っ越しを完了すると、ちょうど隣に住んでいる人がアパートに帰ってきた。
「大家さんが新しい人が来るって言ってたがあんたら………か……」
「あ…………」
帰ってきたのはダッチウサギ。どうやら隣に住んでいる隣人はダッチだったようだ。
「隣のイタチです。よろしくお願いします」
「かしこまるな!」