第二話
夜の帳が降りた中西長屋、闇色に染まる長屋門を潜る一つの人影は、朱王の部屋の前でその足を止める。
こつこつ、と軽めに戸を叩く音、『誰だ?』と部屋の中から返る声に答えることなく、影は戸口を引き開けた。
「邪魔するぜ」
「―― なんだ、志狼さんか。何の用だ?」
部屋の主である朱王は、ひび割れた壁にだらしなく凭れ掛かり、下から睨むような目付きで訪問者、志狼を見る。
酒精に濁る視線に臆する事なく、右手に酒瓶をぶら下げた志狼はチョンと肩を竦めた。
「そう冷てぇ言い方するなよ。ちょいとイイ物が手に入ったんだ」
そう言って勝手に部屋へと上がり込む志狼は、これまた勝手に湯飲み茶碗を一つ持ち出し朱王の前へドカリと胡座をかく。
酒瓶の蓋を開ける志狼の手元を見ながら、空になった自分の湯飲みを指先でつつく朱王は、己の顔にかかる黒髪を鬱陶しげに掻き上げた。
「海華に頼まれたのか?」
「いいや、あいつすっかり臍曲げちまってよ。二、三日物食べなくても死にはしないから、しばらく放っておけとさ。今日は俺の酌で我慢してくれ」
ニヤ、と口角をつり上げ酒瓶を向ける志狼に、今度は朱王が肩を竦めて素直に湯飲みを差し出す。
「あいつも冷たい事を言うようになったな……。まぁ、あんな言い方しちゃぁ匙投げられても仕方ないな」
昼間の物言いを少し反省しているのか、そう一人ごちて酌を受ける朱王。
自身の湯飲みにも並々酒を満たす志狼は、思わず小さく吹き出しながらチラリと作業机の上へ視線を向ける。
彼の机の上には、昼間強かに踏み潰したあの人形が置かれていた。
「……何かわかったか?」
湯飲みを口に運びつつ志狼が問う。
無言のままで頷いた朱王は、喉を鳴らして一気に酒を飲頭み干し、机の上に広げていた人形の胴体やら頭を手に取った。
怒りに任せて打ち壊してみたが、このまま捨てるのは馬鹿のやること。
もしかすると、成り済ました者の手懸かりがあるかもしれない。
二人が帰ってから、朱王は仕事そっちのけで人形を調べていたのだ。
「頭から足の先まで全部調べた。呆れるよ。胴体なんざボロ布を詰め込んであるだけだし、足も手も大きさから材料まで全く違う。まるで子供の遊びだ。だがな……」
『これを作ったのは素人じゃない』そう忌々しく吐き捨て、手中にある頭をポンと天井に向かって投げる朱王。
真っ直ぐに落ちてくるその頭を朱王より早く、電光石火の早さで取った志狼は、怪訝な面持ちでその頭を見詰める。
あちこちにヒビの入り、半分胡粉が剥げた頭は、昼間見たときと同じ、娘なのか老婆なのかわからぬ微妙な面持ちだ。
墨で申し訳程度に描いた小さな目が志狼へ向けられ、質の悪い紅で描いたのだろう、艶の無いふくよかな唇はわずかだが輪郭が乱れている。
どう見ても美しいとも可愛らしいとも言い難い人形だ。
「朱王さん、こりゃどう見ても職人の仕事じゃねぇぜ。そこらのガキが悪戯半分で造ったような代物じゃねぇか」
「俺も最初はそう思ったよ。だが、顔や手の彫りや、胡粉の塗り方を見るとどうも素人の仕事じゃないような気がする。勿論、職人技とは言えない出来だがな」
「多少は人形作りをかじったような奴、だってことか?」
「そうだ。身内に人形を作る人間がいたか、もしくは短い間、人形師に弟子入りしていたか……。まあ、そんなとこだろう」
まともな神経をした人形師が、こんな代物を作るはずがない。
金に困った輩の仕業か、あるいは朱王の評判を地に墜としたい輩の仕業だろう。
志狼に酒を注いでもらいながら、朱王は苦虫を噛み潰した面持ちで髪を掻き上げる。
「とんでもねぇ奴に名前を騙られたもんだな」
「本当だ……。よりにもよって孫娘にまで手を付けるなんて。―― 俺は絶対に許さん。何をやってでも必ず見つけ出して、横面の一発二発張り倒してやらんと気が済まない」
物騒な台詞を吐きながら酒を飲む彼を前に、志狼は何度も頷きながらその場から立ち上がり、おもむろに竈の方へと歩いていく。
そして彼が戻ってきたとき、その手にあったのは昼間海華が持参した重箱だった。
「まぁ、殴り飛ばすくれぇの権利はあらぁな。で、話は変わるがよ、朱王さん晩飯はちゃんと食ったのか? ……あー、やっぱりなぁ、全然手ぇ付けてねぇじゃねぇか」
蓋を開ければ、詰めたときと何一つ変わらない状態の中身が現れる。
しまった、と言いたげに顔を背けて焦りの色を隠せない朱王に、志狼は溜め息つきつつ小さく笑った。
「しっかり食べているかだけ確かめてくれ、ってよ、あんたの『冷たい妹』から頼まれたんだ」
「ふん……あいつも余計なことを。子供じゃないんだ、飯くらい一人でも食うさ」
憎まれ口を叩きながらも、どこかまんざらではない様子の朱王。
とにかく食え、とばかりに小皿と箸の用意を始める志狼の背中を見る彼の口許に、微かな微かな笑みが宿った。
騒乱の一夜が開けた。
この日、木村屋の主と源助、そして正太が再び中西長屋に集まり、朱王に騙されたとする人々に会いに行き一件一件事情を話す、というなんとも面倒な……いや、疑惑をはらす重要な用件で一日を終えることになる。
朱王が来た、その一言で騙された者らは怒りの形相で玄関先に飛んでくるのだが、朱王の顔を一目見るなり皆一様に『違う』と首を横に振った。
背丈や髪形、体格はよく似ている、しかし肝心の顔が全く違う。
こんな綺麗な顔立ちではない、話す言葉もどこか品がなかった、声の感じも全く違う、皆口々にそう言って混乱し、木村屋や源助らに必死の形相で事の次第を確かめていた。
しかし真実は真実、ここにいるのが本当の朱王だと木村屋達は断言する。
さぁ、皆の落胆は凄まじいものだった。
偽物の朱王に人形を依頼した者らは数にして六人、皆、頭金として五両から十両余りを偽朱王に支払っている。
被害が金だけならばまだいいだろう、六人の中には木村屋が話していた老人と同じ被害を……。
娘に手を出された者も二人いたのだ。
大事な箱入り娘を傷物にされた、それだけは金で解決できる問題ではない。
泣き寝入りするか、恥を忍んで御上に訴え出るか、『なぜうちがこんな目に』そう言って、ある酒屋の主人は地面に崩れ落ち大号泣。
いたたまれなくなり、逃げるようにその場を後にした朱王達。
彼とて立派な被害者だが、落胆し涙にくれる人達を目の当たりにすると、なぜか後ろめたい気持ちになってしまう。
暗い気持ちで長屋に戻った彼を待っていたのは、襷掛けで忙しく食事の支度をする海華と、散らかりっぱなしの作業机の回りを片付ける志狼だった。
「あら、兄様お帰りなさい」
「ただ、いま……。来てたのか」
少しばかり戸惑いがちに返事をした朱王に、お玉を持ったまま両手を腰に当てる海華の眉間に微かなシワが刻まれた。
「そりゃぁくるわよ、どうなったか気になるじゃない。で、どうなったの? 疑いは晴れたんでしょうね?」
「当たり前だ。全員、俺じゃないとわかってくれた。顔が違うんだから、当然だな」
仁王立ちになる彼女を脇に押し退け、部屋に上がった朱王の口から、ハァッと疲れがにじんだ溜め息が漏れる。
そんな彼に座布団を勧め、箒を壁に立て掛けた志狼は、横目で彼の表情を確かめた後、何も言わずに茶の支度を始め出す。
「疑いが晴れたならよかったじゃねぇか。後は、金取られた連中が御上に訴えるなりなんなりすりゃぁいいだけだ。朱王さんは、何も悪くねぇよ」
「そうよ、これで兄様の仕事が減るなんて事になったら、兄様が訴え出ればいいのよ。あ、なんならあたしが兄様の偽物探して……」
「馬鹿、お前は余計な事をしなくていい。これからどうするかは、俺が考える。今は……疲れた、少し休む」
志狼の差し出した座布団に座り込み、壁に凭れて天を仰ぐ。
ふぅ、と小さく息を吐いた海華は、小皿に乗せた最中と志狼がいれた茶を乗せた盆を持ち部屋に上がった。
「はい、どうぞ。後の事はあたし達がやっておくから、兄様少し横になったら?」
「あぁ、そうだな。……おい、海華」
目の前に置かれた盆から湯飲みを取って、俯いたまま妹の名前を呼んだ朱王の顔は、垂れ下がる黒髪に隠れ、その表情を伺い知ることが出来ない。
「なぁに?」
「いや、昨日は……悪かったな」
ポツンとこぼれた謝罪の言葉に、海華は驚きの表情で両目を瞬かせ、そしてすぐにニコリと笑う。
「いいのよ、気にしないで。それより、今日は兄様の好きな蒲鉾買ってきたから、それ食べて元気出してよ。また明日から仕事始めるんでしょう?」
そう、彼女の言う通り明日からまた仕事を再開しなければ、納期まで間に合わない。
いつまでも偽物探しに執心してもいられない立場なのだ。
後の事は俺が内密に調べておく、そう志狼が言ってくれたのもあり、朱王はありがたくその言葉に甘える事にする。
しかしこの数日後、朱王はより大きな事件に巻き込まれることになったのだ。
灰色の雲が空一面を覆う、いささか陰鬱な一日が始まった。
この日も、朱王にとっていつもと同じ朝、 分厚い変わり映えのしない昼を向かえ、部屋の掃除に来ていた海華も、そろそろ屋敷へ帰ろうかと身支度を整え始めていたちょうどその時、白っ茶けた部屋の戸口をドンドンと物凄い勢いで叩き付ける凄まじい音が狭い部屋一面に響き渡ったのだ。
「おいっ! 開けてくれ、俺だ!」
「あら、志狼さん!? ちょっと待ってね!」
戸口の向こうから響く切羽詰まった男の声に驚きつつ、海華は土間に飛び降り戸を引き開ける。
戸の隙間から飛び出してきたのは、右手に瓦版を握り締めた志狼だった。
「あらヤダ、どうしたのその格好!」
左腕を吊る白布もほどけかけ、首から多量の汗を滴らせる彼を見て、海華は、そして朱王までもが目を丸くする。
ぜぇはぁ息を切らし、前屈みになって肩で大きく息をする彼は、手に持っていたしわくちゃの瓦版を海華の前に突き出して顎の先から滴る汗を手の甲で拭い飛ばした。
「どうしたもこうしたもあるか! これ……これ見てみろ!」
掠れた声でそう怒鳴られて、何が何だかわからぬまま、海華は瓦版を受け取り紙面に目を走らせる。
そこには、大川の川原に一人の老人の死体が流れ着いた、と大々的に書かれていた。
「なぁに? どこかのお爺さんが川に落ちて死んじゃったって……」
「だから、その爺さんってのが、朱王さんの偽物に騙されたってぇ爺さんなんだ!」
絶叫にも似た志狼の叫び。
その瞬間、壁に凭れていた朱王が弾かれんばかりの勢いでその場に立ち上がる。
「お前……それ本当か!? 海華、それ見せてみろ!」
そう言うが早いか海華から引ったくるように瓦版を取った朱王は、食い入るように紙面を凝視する。
それによると、昨日の朝方、大川に掛かる橋の近くで老人の骸が見付かった。
それは江戸で古くからある茶屋の主で、川で見付かる前日、孫娘と共に芝居見物に出掛けたと言うのだ。
その帰り道、主は人混みの中で誰かを見付けたのだろう、急にお供の者に孫娘を連れて先に帰るよう言い付け、自分はそのまま人混みに紛れて姿を消してしまったのだという。
主はその日、いくら待っても自宅に帰ることはなく、昨日の朝に変わり果てた姿で発見されたのだ。
「まさか、こんな事が……」
呆然とした様子で志狼の顔を見詰める朱王。
それに対し、志狼は『わからない』と言いたげに軽く首を横に振る。
そんな二人の間に挟まれて、困惑の表情を見せる海華はおずおずと手を伸ばして朱王の手から瓦版を取った。
「ねぇ、まさか……兄様とは関係ないわよね?」
不安一杯の眼差しを向けてくる彼女に、志狼は困惑ぎみにボリボリ頭を掻く。
「関係ぇねぇよ、って言いたいけど……今のところはそう断言も出来ねぇんだよな。とにかく、偽朱王の事、旦那様に話さねぇと」
彼の言葉に素直に頷いた朱王だったが、また桐野に迷惑をかける事を考えると、いい気分はしない。
だが、手懸かりは多い方がいいだろう。
これから番屋に行く、という志狼に支度をするから待っていてくれと断りを入れた朱王の表情は表に広がる空と同じに曇りきっていた。
「とうとう朱王も名前を騙られるようになったのか。それだけ有名だと言う事だ、良かったではないか」
忠五郎のいれた茶を啜りつつ、独り言のように高橋が呟く。
その隣では、畳に胡座をかいた都筑が大欠伸を一つかましながら、目尻に滲む涙を指先で拭っていた。
三人が訪れた柳町の自身番屋には、間が良いことに都筑と高橋がおり、きっと留吉が手にいれたであろう瓦版を皆で囲んでいる最中だった。
深刻な面持ちで訪ねてきた三人に対し、番屋の三人はどこかノンビリと、悪く言えば昼間っから全くやる気のない様子で茶を飲み飲み世間話に興じ、忠五郎なぞは煙管を片手にうたた寝までしている。
自分達が読んでいたのと同じ瓦版を持ってやって来た朱王らの話を一通り聞いた高橋が一番始めに発した台詞が、先のものだった。
「高橋様、そんな冗談言ってる場合じゃありませんよ」
腰に両手を当て、頬を膨らませてみせる海華を小さく笑いつつ、高橋は『心配するな』と一言こぼす。
彼の台詞を補うように、横に座していた都筑が小指で耳の穴をほじくりながらこちらを向いた。
「酔っぱらった爺さんが川に落ちて死んだ、それで片がついている。特別不審な所はなかった、安心いたせ」
「はぁ……酔っぱらって川に。都筑様が、そう仰るのでしたら……」
どこか釈然としないながらも、そう答えるしかできない朱王は、何かを言いたげな面持ちで志狼と目配せし合う。
志狼も考えていることは同じなのだろう。
微かに口許をへの字にしつつ、手にしていた瓦版を弄ぶ、その時だった。
朱王らが背にしていた番屋の戸がガラガラやかましい音を立てて開き、饅頭に目鼻が付いたような面持ちをした小太りの男が一人、ひょいと顔を覗かせた。
「親分、ただいま帰ぇりやした」
この場の空気にふさわしい、ノンビリ間延びした声で番屋へ戻ってきたのは、ここの下っ引きである留吉だ。
彼は、朱王達に一度軽く会釈した後、都筑と高橋の姿を認めて『良かった』と呟き厚めの唇から黄ばんだ歯を覗かせた。
「都筑の旦那に高橋の旦那もいらしたんですね、こりゃぁ、ちょうど良かった」
「ちょうど良かった? なんだ、将棋の相手でもさせようと言うのか?」
首を左右に傾け首の骨をポキポキ鳴らす都筑に、留吉はクシャリと泣き笑いの表情を作る。
「ご冗談を言っちゃぁいけませんや。今朝がた川から上がった爺さんの事で話があるってぇお人が来てんですがね」
そう言いながら、留吉は半分開いた戸口の外に向かい、軽く手招きする。
戸口の間からひょっこり顔を突き出したのは、年の頃四十ほどだろう、一人の中年男だった。
首に手拭いを結び付けた髭面の男は、己に向けられる数多の視線に臆したのだろうか、男は何度も頭を下げながら、薄汚れた着物の裾をいじくり回す。
「この人ぁね、そこの辻でおでんの屋台出してるんでさ。で、昨夜の夜に死んだ爺さんらしき男と、もう一人の男が並んで歩いてるのを見たってんですよ。なぁ、親父さんそうだろ?」
「へぇ、並んで歩いてたってぇより、若い坊主が爺さんを抱えて歩いてた、ってぇ感じでやした」
猫背になりながら留吉の質問に答える男に、奥で煙管を煙草盆に放った忠五郎が顔をこちらに向け、眉間の間に微かなシワを寄せた。
「そりゃあ、アレだ。酔い潰れた爺さんを介抱してたんだろうぜ」
「最初はあっしもそう思ったんでさ。でもね、なぁんか様子がおかしかったんですよ。あの爺さん、酒に酔ってたにしちゃぁ、やけに青い顔でね、手足もこう、ダラ~ンとしてて……」
幽霊の如く、身体の前で両手をブラブラさせる男を見て、海華と朱王は思わず顔を見合わせる。
「―― 酔っ払ってたってぇよりも、気絶してた、の方が合ってンじゃねぇか?」
腕組みしながら呟いた志狼に、その場にいた全員の視線が彼へと集中する。
勘弁してくれ、そう言いたげに顔を歪めて、都筑は大きな溜め息をついた。
「では、何か? その坊主が爺さんを川に突き落として殺めたとでも言いたいのか? もう事故で片が付いているのだぞ? 」
一度片付いた件をまた蒸し返すのは面倒、とでも言いたいのだろう都筑と高橋に、海華はスッと目を細めて二人を睨む。
「そうは仰いますけどね、いいですか都筑様、もし志狼さんが言うようにお爺さんが気絶していたとしたら、都筑様達は人殺しを放っておいた事になるんですよ? 」
「いや、しかし海華殿……」
次第に低く変わる彼女の声に、高橋は狼狽えながらわずかに腰を浮かす。
そんな彼を、海華は片手を上げてその場に押し止めた。
「高橋様、最後まで聞いてください。もしもこの事が旦那様のお耳に入ったら……一体どうなるでしょう? きっと旦那様、物凄くお怒りになるでしょうねぇ。あ、もしかしたらお奉行様にも話が行ったりして……」
「わかった! わかった、調べればよいのだろう!? わかったから、そう脅かすな!」
桐野や修一郎の存在までをチラつかされ、さすがの都筑も顔色を変えてその場から飛び上がる。
海華の口角が、ニヤリと大きくつり上がった。
「あら嫌だ、脅かしてなんかいませんよ? ただ、この件がお爺さんが殺められていたとして、下手人を都筑様方がお縄にできたら、また大手柄じゃありませんか」
『都筑様達に手柄を立ててもらいたいだけ』そう上手く二人を丸め込み、善は急げだと番屋から追い出した……いや、送り出した海華は、戸口を締め切るなり室内へと振り向き、ケラケラ甲高い笑い声を上げ始めた。




