遊撃隊
ククルとともに軍宿舎の一角、剣の隊隊員達が宿泊することになっている建屋に戻ってきたアレンとコル。
「コル、シュードを呼んできて頂戴」
「はい!隊長!」
恐らく急遽決定した明日の戦の話をするのであろうと感じ取ったコルは小走りで宿舎へと消えて行く。
「アレン、詳しくはシュードが来てから話すけど、あなたに五百の兵を率いて欲しいの」
ククルが真剣な眼差しでアレンを見つめた。
「おいおい、やめてくれよ。俺はそんなガラじゃねぇし、シュードの方がよっぽど上手くやるさ」
アレンは最初から気にも留めてないような口ぶりでククルの依頼を断った。
「アレン、これは命令よ。シュードは良い傭兵よ、統率力もある。でもこの前の戦を見ても頭も武もあなたには及ばない」
そう告げたククルは真っ直ぐな目をしていた。
しかし、アレンとしては自分はそこまでの男ではない、そうであったとしても五百の兵を率いるほどこの銀翼傭兵団を知らないのだ。
目の前のククルが銀翼傭兵団を剣の隊を思って発言しているのは、その目を見れば良くわかる。
これはどうするべきかとアレンが悩み、どうすればこの隊をより良く出来るかとククルが悩んでいた時、しゃがれた声が聞こえて来た。
「隊長。俺も五百将はアレンが適任と思う。だが、この隊で過ごした時間が短すぎると思うんだ。だがこの前の戦でアレンに心を奪われたやつ達もいる。そいつらをアレンに付けるのはどうだ?」
少々の沈黙を破ったのはコルが連れてきたシュードであった。
「形上はシュード隊に組み込むが、アレンを頭にした遊撃隊を作る。これはどうだろう、隊長」
シュードがしてきた提案にククルは深く頷き、アレンは一つの戦だけで自分に惹かれた男達がいたという事実に嬉しくもあり、銀翼傭兵団を知らなさすぎる自分にとってはシュードの提案が最もであろうと感じた。
「シュード、ありがとう。あなたの案を採用させてもらうわ。ちなみにその隊員達は何人くらいになるのか調べてもらえるかしら?」
ククルも今しがたシュードが提案した案が最も剣の隊を強くする為の道であろうことを理解し、シュードに今すぐその者達を集めこのことを伝えるべきと判断した。
「ククル隊、シュード隊合わせて五十名だ。といっても、やはり類は友を呼ぶのか手練れが多くてな…ま、ククル隊と俺の隊は戦力が減っちまうかもしれねえがそれを差し引いても余りある遊撃隊だ。それに、自分が一番一緒に闘いてえと思った奴の下で闘うのが一番さ」
ククルとアレンがエスカー達と軍との契約を聞いている時、シュードは剣の隊全員を集め今後について、そしてアレンという苛烈で強引なあの傭兵について話をしていたのだ。
そこで出た意見は褒めることはあれど、アレンを貶す者は居なかった。
その話をシュードから受けたククルはにっこりと笑顔を浮かべてアレンに向き直る。
「アレン、あなたとその遊撃隊には最前線に立ってもらうわ。銀翼傭兵団最前線で皆の為に、自分の為に、そして私の為に。剣を振るって欲しい」
銀翼傭兵団団長、エスカーの懐刀とも呼ばれるこの美しいエルフの剣士にそう告げられたアレンは照れ臭いような気持ちになりながらも答える。
「命令しろよ、隊長。いや、ククル。私の為に剣を振れってな」
悪戯な笑みを浮かべたアレンを見たククルは再び優しく笑いかけるのであった。




