入国
レグナレス帝国。
大陸の中央部に位置する大国であり、軍は精強を極め今日に至るまで大陸の雄の名を欲しいままにしている。
戦や内政において弱肉強食の風潮があり、例え貴族であろうとも弱き者はそれなりの立場しか与えられない。
弱肉強食こそがレグナレス帝国という大国を支える柱だということを国民達は理解している。
レグナレス帝国軍百二十万人の中でも大将軍と呼ばれる存在は異質である。
それぞれが三十万人を超える兵達を指揮し、必要とあれば王の勅命を待たずして他国との戦争を始めることができる権限を持っている。
ククルがアレンと初めて出会ったとき口にした
「エスカーをレグナレス帝国大将軍に」
という夢は途方も無いことで、首尾よく軍に入隊できたとはいえそこから歩まなければならない道は険しいどころではないことを皆理解しているはずであった。
しかし、エスカーには勝算があった。
いくら大陸の雄レグナレス帝国でもエスカー率いる銀翼傭兵団六千人をわざわざ敵にするはずは無い。
まして軍門に下りたいと手を挙げているのだ。
始めは小規模の戦で最前線とは程遠い位置からの参戦であっても、銀翼傭兵団は必ず功をあげることができる。
エスカーにはその自信があったのだ。
「貴様らそこで止まれ!」
レグナレス帝国の中央門の前にいた二人の衛兵が槍を交差させる。
「名を名乗れ!何用でレグナレス帝国に参った!」
「お初にお目にかかる。銀翼傭兵団という傭兵団をやっている。団長のエスカーだ。レグナレス帝国軍の軍門に下りたく、軍へ謁見を求む」
衛兵達は顔を見合わせると頷き、門が開かれた。
「通れ!軍から通達が来ている。およそ六千の兵を連れたエスカーという男がくると」
エスカーはにやりと微笑むと会釈し、レグナレス帝国へ入国していくのであった。




