お好み具材でパリパリ食感・餃子の皮ピザ
お酒を取りに行った二人は両手にお酒を抱えて帰ってきた。
ワインにカクテルのリキュールなど、女性陣のリクエストや自分の飲みたい酒瓶を数本ずつ抱えている太郎。
そして剛鬼が担いでいるのは……。
「面倒、だから、樽ごと持ってきた」
太郎の言葉通り、酒樽がまるっと座敷へと降ろされた。
いまだ足は崩さず羅刹を意識しているものの、座敷の鬼さんたちの顔が僅かに輝いた。
やはりお酒大好き!な酒豪揃いのようだ。
そうこうしている内にご飯が炊けた。
土鍋の蓋を開けば、ふわりと香りが漂いいい感じ。
ごはんと上に乗せた具材を混ぜあわせ茶碗によそうのは笹女に任せて、綾は味噌を溶かした豚汁に仕上げに小口切りにしたネギを散らしてそちらをよそう。
「お肉がはいってる」
嬉しそうに炊き込みご飯を頬張る蒼の言葉に、綾はちょっぴり眉根を下げた。
お味がお気に召したようなのはなによりだが、本来なら今日は肉祭りの予定だったので……。
「本当は今日は肉祭りの予定だったんだけど」
「お肉のお祭り?」
「なんだそれ」
蒼だけでなく、寡黙に手酌で呑んでいた羅刹も興味を示した。
お肉、好きですもんね。
「これのお礼をしようと思って。明日こそ肉祭り決行しますんで!楽しみにしててくださいね」
これ、と簪を示せば綾は気づかなかったが、会話を聞いていた座敷組は気まずそうに俯いた。
彼女らにとって今回原因は正にそれだったので。
「お肉なに?!」
「豚汁は今日作ったから、あとはとろっとろに煮込んだ角煮ととんかつです」
「わぁーい!」
両手を挙げて喜んでくれる蒼に綾も一層気合がはいった。
明日は頑張って美味しいお肉料理を作るぞ!
会話をしつつ、手元は餃子の皮にスプーンで薄くピザソースを塗りつける。
雪音と糸織はいまは白ワインを飲んでるし(ワインは雪音が冷やした。雪女さんは冷却系はお手の元でとっても便利)、鬼の皆さんにもせっかく「酔」に来てもらったんだから普段口にしない和食以外を食べてもらおうと思ったからだ。
ただし、下準備もしてないし凝ったものはできない。
餃子の皮を使ったピザなら、ソースを塗ってお好みの具材とチーズをのせて焼くだけ。
今日の具材はタマネギ、ピーマン、サラミとピザトーストなどでも定番の具材。半分に切ったミニトマトにバジルの葉をそえたもの。ソーセージにマヨコーンをのせたお子さまが好きな味付けに、ピザソースでなくマヨネーズをぬってしらすをのせた全四種。
しらすはしらすおろしに使ったあまりですー。
生地が薄いので軽いしサクサク食感に仕上がります。
お手軽なのでお好みの具材でお試しください。
缶詰とかの具材を使っても美味しくしあがりますよ。
「これは……?」
見慣れぬ物体に恐る恐る手にとった若葉に「餃子の皮を使ったピザです」と説明するも、餃子もピザも当然この世界にはない。
……なんと説明すれば?
「と、とにかく食べてみてください」
綾は説明を断念した。
どうやって食べればいいかもわからず、カウンター席の面々を見習って手にとって小さく齧りついた若葉の瞳が見開かれた。
「なに?この食感」
驚きつつもさらに食べすすめるところを見ると口にはあったようだ。
皆さん、お口にあったのはいいものの……めっちゃなくなりが早いんですけど。
あっという間になくなるおつまみの数々。
やっぱ鬼の皆さんの胃袋大きい。
おつまみとおかずじゃお腹を膨らませられないし、炊き込みご飯第二段した方がいいかな……?
鬼さんと土鍋を見比べて、綾は笹女とそんな会話を視線で交わした。




