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Come back to the moon water  作者: 白古賀
Epilogue <Hell0 World>
43/45

ep-3

 <セントラル・ベース>を後にし、メインシャフトを上がったベレンは、そこでツバロフ博士に会った。

 ()()()、ベレンが帰ってくるのを待っていたらしい。


「どうだったね? 彼女は承諾してくれたかい?」

「はい。――喜んで、と」

「それは良かった」


 ツバロフ博士は笑った。


「では計画通りに。いや――この先は計画なんて無いんだっけか……ふふふ……」

「出発の準備は?」

「もちろん、全て手配済みだ。あとは君達次第ということだな。じゃあ、任せたよ」

「はい。……行ってきます」


 ベレンはツバロフ博士に別れを告げ、先に進む。

 自らの宇宙服を確かめ、ついに<ドーマ>の出口へと至る。


 そこは通称<ターミナル>と呼ばれる場所だった。

 <ドーマ>と直結する月面宇宙港――普段は月と地球を繋ぐシャトルが発着する場所。そこに、大きな人型の影――人型航宙機<チラヴェーク>が屹立している。


 <チラヴェーク>はベレンの姿を視認した瞬間に動き始める。

 膝を突き、ベレンに向けてゆっくりと腕を差し伸べる。ベレンは慣れた様子で腕に取り付き、胸部のコックピットブロックまで歩く。


 ベレンはひとりでに開いたコックピットハッチに滑り込む。

 もちろんシートは一つだ。それで問題ない。

 なぜなら、彼女はもう、()()()()()


『おかえりなさい、ベレンさん』


 <チラヴェーク>のコンソールが光り、聞き慣れた少女の声がする。


「ああ、ただいま」


 ベレンは答え、宇宙服のヘルメットを脱ぐ。

 既にコックピットは与圧されている。 


「どうだい? その身体は」

『上々です』


 少女の声――<かぐや>は答えた。

 ベレンはメインコンソールに映った宇宙の星空を見ながら<かぐや>に声をかける。


「さぁ行こうか」

『はい、行きましょう』


 <かぐや>が返事をする。

 ベレンを乗せた<チラヴェーク>はゆっくりと上昇を始める。


(かぐや……君はもう<челове́к(人間)>だ)


 ベレンは密かに思う。

 コンソールの片隅に、彼らに向けた最後のメッセージが届いていた。 


 ――Have a Great Journey, "NEXTSEEDs".

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