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Come back to the moon water  作者: 白古賀
Prologue-0 <“Have a nice trip…”>
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prologue-0

「おはよう、<かぐや>」


 <セントラル・ベース>の中に入った白衣の女性は、娘に対して声をかけるように気軽に挨拶した。

 『おはようございます。ツバロフ博士』


 <かぐや>は挨拶を返す。

 白衣の女性――ツバロフ博士の前に立体映像が投影される。それはノイズを混じらせながら何度も姿を変え――しかし最終的に何者にもならず、ただ『Sound Only』と表示された。

 その一連の様子を見てツバロフ博士は苦笑いする。


「宿題はまだできていないようだね」

『難しい問題です。『私自身の姿』を定義せよというのは』

「そうだね。難しい」


 ツバロフ博士は頷く。

 そして、手に持ったラップトップのPCを広げ、通信用のケーブルを近くのコネクタに繋いだ。

 コンソール画面を起動して、内容を確認しながらコマンドを打ち込んでいく。


「さて、そんな君に向けて、今日から新しい実験を始めようと思う」

『新しい実験ですか。それは、どのようなものでしょうか?』

「その内容はまだ教えられないんだ。教えたら意味が無くなるからね。でも始まったらすぐにわかるよ」

『承知しました。何でもお手伝いします』

「いいや……お手伝いをするんじゃないよ」


 ツバロフ博士は苦笑する。

 それからコマンドを打ち込む手を止めると、ふと真剣な表情になって<かぐや>を見た。


「あなたにはこれから体験してもらう。人間の人生……人間の業を」

『どういうことでしょうか?』

「人間はね、何も知らないままこの世界に生まれるんだ。あなたと違って。だから――」


 ツバロフ博士は手元にあるラップトップPCに最後のコマンドを打ち込むと、静かにエンターキーを叩いた。


「――いってらっしゃい」

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