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短くも濃い、色鮮やかな時間だった。
そしてそれは、過ぎてみれば一瞬だった。
その一瞬で、キラナのあらゆるものが変わった。
彼から受け取ったものは、少しずつ、しかし確実にキラナに変化を与えた。
それらを全て自覚し、全てが繋がったのは――皮肉にも、彼にさよならを言った後だった。
だが――あの日々に戻ることは、二度とできない。
今できることは、ただ――終わらせることだけ。
暗い水底に何があるのか、キラナにはわからない――きっと、誰にもわからないに違いない。
(ああ……刻が終わる……)
水底に深く潜るにつれて、キラナの身体は少しずつなくなっていく。
湖の深い闇色の水に溶かされて、身体の輪郭が曖昧になっていく。
そして彼女の体は湖に沈み――すべてが泡となって弾けて消えた。




