2-7
「ようやくここまで来たか……」
三日後。
ベレンとキラナはキエフのホテルへと辿り着いた。
この二日間、ベレンはほとんど寝ておらず、キラナもかなり無理をして行動していたため、その足は重い。
「キラナ、やっと休憩できるぞ」
ベレンが部屋を扉を開けると、キラナは一直線にソファまで歩いていき、そのまま倒れこむ。
「さすがに疲れたか」
「……はい」
ベレンの言葉に、キラナは倒れこんだまま答える。
普段は淡々と行動するキラナがここまで脱力した姿は珍しい。
とはいえ、これくらいの方が年相応だな、とベレンは思う。
ベレンはそんなキラナの姿を見ながら入り口の扉を注意深く施錠し、テーブルの上にPCを広げる。
「……ベッドまで運ぼうか?」
部屋に盗聴器が無いことを確認しつつ、ベレンはキラナに声をかける。
だが、キラナは首を振った。
「私はソファでいいです。ベッドは身体の大きいベレンさんが使ってください」
「そういうわけにもいかないだろう。君にもしっかり休んでもらわないといけない」
あいにくこの部屋のベッドは一つだけだった。
一応ダブルベッドのサイズではあるが、大人二人で寝るにはやや小さいサイズだ。
とはいえ、ベレンとキラナであれば、サイズ的には問題ない。
「明日からの段取りは君に任せていることだしな。私はソファで十分だ。こういうことには慣れている」
ベレンはそう言ってキラナを説得しようとするが、
「それは非合理です。明らかに身体の小さいベッドを私が使うなんて。ベレンさんにも休息が必要なはずです。今まで私よりもずっと頑張ってきたのだから……私はただついてきただけです」
ベレンは溜息をついた。正直キラナがこれほど頑なに言うとは思っていなかったのだ。
それに確かに、ベレン自身の疲労も無視できないレベルではあった。
「……わかった。そうだな」
ベレンは言った。
「二人でベッドを使おう。それが最も合理的だ」




