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爆弾魔


「うお~。やるじゃねぇか..。本当にあり得ねぇ位に堅い奴だな?」



石の爆発を0距離で受けたリューノ。

だがリューノは、この時もナルタリカの魔法壁にて守られていた。

この魔法壁が無ければ、今頃3回は死んでいただろう。


リューノなりに色々と先を読んでいたが、そのことごとくを読み間違える。

かなり悔しい。



「キャハハ!!俺も結構顔に出るタイプだがお前も相当に分かりやすいぜ?何で指鳴らさなかったのに爆発したんだって困った顔がまる分かりだぜ!!!」



少し違うが、あながち嘘でもない。


それに手がヒリヒリする。

爆弾の威力が増していたのか、それともナルタリカの魔法壁が弱まっていたのかは分からないが、手にそれなりの痛みを感じた。



ナルタリカにだって限界はある。妖精であろうと、そんな事は当たり前だ。

あまり頼りっぱなしだと、いつか魔法壁の効果が切れて今度こそ死んでしまう。


その前に何とかしてカヲンを倒さなければならない。

だがその前に。



「もしかしたらと思い、貴女に伺いますがここ最近ずっと爆発の事件が相次いでいるのですが貴女の仕業でしょうか?」



最近どころではない。ずっと爆弾魔による爆発事件は賀露島がこの世界に来る前からあった。

この爆弾魔による爆発事件は証拠が1つも残っておらず、今もまだ犯人の足取りは掴めていない。


そんな爆弾魔について色々調べている騎士団の団員であるリューノは彼女の〈魔法能力〉を見て、もしやと思い質問する。



質問を投げられたカヲンは少し考える様子を見せる。

そしてすぐに考える終わったのかリューノの方を見ながらニタニタと笑う。




「俺がその爆弾魔なのかは分からねぇが、ここ最近って言うか少し前からだったけな?魔力が比較的多い奴とか、反国軍に敵対する権力者達とかは色々と爆発させたっけな?」



リューノは黙ったまま拳を強くギュット握る。その手は怒りによりブルブルと震えていた。



「そうですか..なら貴女が私の言う爆弾魔です..。貴女が沢山の人々をその〈魔法能力〉で殺したんですね...。」



「はぁ?なになに~?もしかしてその中に知り合いとかいた感じか?」



リューノはこの言葉で少し心を乱してしまったが、深呼吸を1つして一旦落ち着く。



「知り合いですか?居ましたよ沢山。それは貴女が王国側の権力者を殺めているのであれば、私たち騎士団にとって仲の良い者達もいますよ。」



それを聞いたカヲンは、つまらなそうな顔をする。



「..なんだ..大切な人とかじゃねーのかよ..。くだらね...」



「貴女が殺した人の中にも誰かにとっては大切な人だったかもしれないんですよ!!」



「はぁ?なんだそれ..?説教のつもりか?ワリィ~けど俺はそう言う大切な人を失った奴の顔が死ぬほど大好きだから、特に直さねぇぞ?」



その言葉に声を失ってしまったリューノ。彼の認識は間違っていた。

人は必ずしも誰にでも良心的な心がある筈だと信じていた。


人が悪の道に手を伸ばしてしまうのは、どうしようもない世の中で、そうしてしか生きていけない者達だけだと思っていた。

本気で人は更生出来ると思っていた。



だがカヲンを見ているとそんな自分の考えが、いかにバカであったのかを知らしめていた。

他人が苦しいほど喜び、他人が悲しいほど嬉しい。



カヲンはそう言う人間なのだ。




「最後に聞きますが貴女は反国軍ですか?」



「はぁ?意味わかんねぇんだけど?今の話聞いて王国側の人間に見えるか?」




リューノは一気にカヲンとの距離を詰めよりナイフを彼女の胸目掛けて突く。

だがカヲンはこれを知っていたかのように悠然とかわす。


恐らくこれがカヲンの常套手段(じょうとうしゅだん)なのだろう。

相手を挑発させ己の手中に納めるやり方。

大体の人間は理性を失って敵討ちだと怒りに身を任せてしまう為、動きが単調になった所を体に触れてさえしまえばカヲンは勝てるのだ。



「いいねぇ!そうこなくちゃな!!お前は俺が殺さなくちゃいけねぇからなァァ!!!」



ナルタリカの加護によりスピードが何倍も上がるリューノ。

しかし幾度も戦闘経験があるカヲンからすれば、何の問題もない。


速いだけの敵なら幾度なく殺してきた。対処法も分かるし、何より動きが単調なので先読みが出来る。




「オラァァァ!!」



カヲンはリューノの顔面に拳をぶつける。殴られたリューノのは、顎にヒットした事により体を後ろによろける。



しかしカヲンの攻撃は終わっていない。

カヲンは後ろへよろけ倒れるリューノの服の襟を掴み、思いっきり引っ張る。


引っ張られたリューノは成されるがままに体を起こされる。



「もう一発だぜ!!」



リューノの顔面に再びカヲンの拳が放たれる。これを受けたリューノは鼻血を大量に噴き出す。


ナルタリカの魔法壁は物理攻撃にはあまり効果を発揮しないらしい。

恐らく痛みを軽減する位の効果はあるのだろうが、もうこの魔法壁もそろそろ限界のようだ。



やられっぱなしっと言うのも良くない。痛みを堪え、持っていたナイフを強く握り直す。


そしてカヲンが更なる追撃の為、近寄った所でナイフを振り抜く。

これには反応が遅れたのかカヲンは前に出していた右手をリューノに切りつけられる。



カヲンは直ぐ様、少し距離をを置き止血作業をする。思った以上に深くナイフが刺さり、カヲンの手から大量の血が出ている。



「..やっ..やりました...当たりました...」



痛い鼻を抑え、ガッツポーズをするリューノ。

それにむかついたのかカヲンはムッとした顔を見せ、リューノ達の戦いを離れた所で座って見ていたブルードは嬉しそうな顔でニヤニヤと笑っていた。



「おい!くそジジィ!!笑ってんじゃねぇぞ!!!」



「フホホホ。何とも無様だな?自慢の即死爆弾を何発当てても殺せないから焦っておるのだろう?」



「うるせぇよジジィ!あともう少しなんだよ!!コイツの魔法壁的なやつは、もうすぐ壊れるんだよ!!」



バレている。リューノの体ににナルタリカの魔法壁がある事を知られた。

恐らく過去からの戦闘経験からの勘だろうか?


突然物理攻撃に攻撃パターンを変えてきたのは、魔法壁がリューノに付けられているのかを確かめる為だった。

するとカヲンは既に第三者(ナルタリカ)の存在に気づいたのだろうか?




「俺の予想じゃあお前にあと一発拳ぶちこめば割れる筈だ...。だから手を出すなよクソジジィィィ!!!」



いや。どうやらナルタリカについては気づいていない。

この魔法壁は恐らく次の爆弾の攻撃で割れる筈だ。ナルタリカの加護の限界だ。


しかしカヲンは再びリューノに物理攻撃を仕掛けてくると言っている。デマカセかもしれないが、十中八九でカヲンは勘違いをしている。



恐らく第三者であるナルタリカの加護による魔法壁であると分かっているのであれば、離れた場所から爆弾を活かせるカヲンにとってリスクの大きい物理の接近戦は仕掛けてくる筈がない。


しかしこれがリューノが使用する魔法壁だとしたのならば、リスクを覚悟で立ち向かってくるのも分かる。



魔法とは精神に最も関連がある。なので魔法を使用する者は意識を強く保つ必要がある。

なので体にダメージを受ければ受けるほどに精神は弱くなり魔法の威力は弱体化する。



逆にこれを逆行に強くなる者も居るが、稀な例だ。居るとすれば逆行にこそ燃える奴なんてのは暑苦しい者達だけだろう。普通、人は追い込まれれば慎重になるものだ。



(勘違いしている今こそ!付け入る隙はある!!)




リューノはナイフを捨て、構えに入る。格闘技は騎士団で散々叩き込まれてきた。

問題はない。


戦う覚悟は何時でも出来ている。後は迎え撃つ..だけ...。




「おっ..そう言えば近づく前に一応...」



「?」




カヲンは右手を前に差し出す。この動作まさか。



「爆発させとくわ。」




パチーン。

透き通る指を鳴らす音と共に、ドーンと爆発音が洞窟内で響く。


爆発源はカヲンが、よろけるリューノを起こす時に掴んだ服の襟だ。





あっ。まずい。今完全に。






魔法壁が割れた。


台風の風半端ないッス!マジでヤバイッス!!

ウチ少し体が浮いたッス!!網戸落ちてきたッス!!

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