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魔法壁

爆発と共に黒い煙を立ち上げる。そしてそれを見ながら笑い続けるカヲンは笑いすぎで涙が出てくる。


カヲンに触られたリューノはカヲンが指を鳴らした瞬間に大きな爆発を起こした。

黒い煙がモクモクと立ち込め、体は恐らくバラバラになっているだろう。




「..こっれは!?...」



ここでブルードが違和感に気づく。





「あ?何言ってんだジジィ...!?」



唐突に驚きの顔を見せるブルードにカヲンは一瞬何の事だど疑問に思ったが、カヲンもブルードが感じた違和感に気づく。



爆発させリューノを殺したと思われる場所からリューノの魔力を感じるのだ。

まだ煙に包まれて視界では確認できないが、確かに魔力が探知出来る。




「..おいおい...どー言う事だ!?何故まだアイツの魔力があるんだ!!」



人は死ねば魔力を練る事が出来なくなる為、魔力を練れなくなった死体は魔力探知には反応しなくなる。


つまり無能者を除き魔力を感じなくなった者は死んだものと判断される。

戦場での人の生き死には、これで判断される。



なのでカヲンの爆発で殺した筈のリューノの魔力がまだ感知出来ると言う事は、つまる所この場合まだリューノが生きていると言える。




実際その通りである。リューノはまだ生きている。




「なっ...何だったんですか今の!?..って言いますかアチチチ!!」

リューノは手から熱さを感じ、それを冷ますように手をブルブルと振る。



周りが黒い煙に包まれて困惑するリューノ。

突然自分の手が眩しいほどの閃光を放つ。その閃光の所為で少し目が眩んで、目を閉じていたので今さっき何が起こったのかあまりよく分からない。



「聞きなさいリューノ...。何が起こったか分からないって顔してるから簡単に教えてあげるわ..。」



「あっ!ナルタリカさん!!」



「バカ!アンタってバカね!!大きい声で私の名前を呼ぶな!!アイツらには姿はまだ見せてないんだからバラす真似してんじゃないわよ!!」



小声で小さく叫ぶナルタリカ。

そうか確かに僕に語りかけてくるナルタリカの気配が何も感じないし、感知すら出来ない。


どうやらナルタリカなりのルールか作戦があるのだろう。

ナルタリカは、ずっと賀露島の近くにいるらしく初めて彼にあった時に死角からのリューノの剣を止めたのはナルタリカだと聞いて納得した。そうナルタリカは初めて会うものには姿を見せたがらないようだ。




「まあ分かればいいわ。とにかく今の現状を話すわ。今..アンタは攻撃させたのよ...。」



「こっ..攻撃!?」



「だから大きな声だすな!!」



また小声で怒られる。確かに今のはリューノが悪い。



「..すいません...攻撃って..あの爆発ですか...?」



「そうよ。まあアンタにもアイツ(かろしま)みたいに魔法壁をしてたから助かったみたいだけどね。」



それを聞いたリューノは、すかさず耳を手で抑える。

それを見たのかナルタリカは呆れていた。



「大丈夫よ..アンタの耳にも必要のない雑音は聞こえないように特殊な魔法壁付けといたから大丈夫よ。」



何から何まで本当に凄い。ここまで他人にまで完璧なアシストをしてもらえるなんて普通はない。

敵の攻撃を守りつつ、透明化も怠らず、リューノの弱点である耳をもカバーして貰っている。



「凄い..本当に凄いですよナルタリカさん...」



「何て事無いわよ..それより来るわよ!!」

ナルタリカが小声で再び叫ぶ。



すると黒い煙を掻き分け、カヲンが体を前のめりになりながら手を伸ばして突っ込んで来た。


これにはリューノも反応しカヲンが突き出した右手側へ避ける。そうすれば体が前のめりになっているカヲンは空いている左手で、すぐにリューノを触ることが出来ない。



体の体勢を整え、次にまた右手か左手で手を伸ばしてくるかもしれない。

そんな事は僅かな時間で出来る。


だがそれだけあれば大丈夫だ。最初に握っていたナイフとは形は同じだが別の市販ナイフを取りだし、それをカヲンに振りつけた。



だがカヲンはそれを見越していたかのように笑みを浮かべる。

リューノは彼女の余裕っぷりの表情を見て振り回そうとしたナイフの手を止める。


何かがある。カヲンの顔を見て嫌な予感がした。

攻撃の手を止め1歩カヲンから離れる。

これが意外と正解であった。



カヲンは突き出した右手の反対側の左手に石を持っていた。彼女はそれを二の腕の下からヒョイとリューノに投げ込む。


完全な死角から飛んできた石にリューノは目の前に現れるまで気づかなかった。

カヲンはそのままリューノに離れるように走り抜けて行く。



「キャハハ..もしかして顔に出てか?..本当にこの癖は直さないといけねぇな?」




まずい。恐らくこの石はカヲンの爆弾だ。

リューノはカヲンがまだ指を鳴らしていないのを見て、恐らくカヲンもこの爆弾には近づいてはいけないと理解した。


恐らくこの爆発にはカヲンもダメージを受けてしまうのだろう。

だから離れる必要がある。



ならばとリューノはカヲンが完全に離れきる前にと、石をナイフを持っていない左手でカヲンの方角へ石を弾こうとカヲン目掛けて手の甲で石を触れる。



だがその石に触れた時だった。

ドーンと石が激しい閃光と共に爆発する。カヲンは指を鳴らしていない筈なのに石は爆発した。


爆発した石は再びリューノの周りを黒い煙で覆い包んだ。



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