第3のその先へ
王都の空が赤と蒼に染まる。
瓦礫を踏み越え、
二つの光がゆっくりと中央広場へ戻る。
そこに立つのは――
王。
テンペスト・グラード
雷と植物が静かに蠢く。
蹂躙は止まっている。
王は振り返る。
「戻ってきたか」
その声に焦りはない。
だが確かに、興味がある。
グレイスが前に出る。
氷輪が背後に浮かぶ。
だが以前と違う。
荒れていない。
静かに、規則正しく回転している。
セラフィナが隣に立つ。
炎は揺らがない。
深紅のまま、圧縮されている。
王が目を細める。
「暴走ではないな」
グレイスが答える。
「制御した」
セラフィナが続ける。
「二人で」
次の瞬間。
空気が変わる。
氷輪が一段、内側に収束する。
氷が“外に広がらない”。
一点に凝縮される。
質が変わる。
温度が概念を越える。
凍らせるのではない。
“停止させる”。
一方。
セラフィナの炎も変化する。
燃え上がらない。
膨張しない。
圧縮。
深紅がさらに深まる。
黒紅へ。
焼くのではない。
“存在を削る”。
王が笑う。
「なるほど」
雷が迸る。
巨大な樹槍が同時に迫る。
グレイスが一歩。
氷が走る。
触れた樹が停止する。
成長も、振動も、雷の伝導も。
完全静止。
セラフィナが指を鳴らす。
深紅の線が走る。
凍結した樹を一閃。
塵になる。
王の瞳が僅かに揺れる。
「……面白い」
王が踏み込む。
雷拳。
グレイスが受ける。
氷が拳を包む。
雷が走らない。
伝導が“止まる”。
王が目を見開く。
セラフィナが横から踏み込む。
圧縮炎。
王の紫雷鎧に触れる。
爆発しない。
削れる。
鎧に亀裂。
王が初めて大きく後退する。
地面が抉れる。
兵士たちが息を呑む。
「王が……押された?」
だが王は笑っている。
歓喜。
「これだ」
雷が暴れ始める。
植物が巨大化する。
圧が跳ね上がる。
「ようやく、戦える」
二人が同時に構える。
氷と炎が重なる。
今度は暴走しない。
感情は安定している。
手を握る。
魔力が循環する。
グレイスの声は静か。
「行くぞ」
セラフィナが微笑む。
「ええ」
王が両腕を広げる。
空が暗転する。
雷雲が渦巻く。
大地が裂ける。
王の気配が、さらに一段階上がる。
「我が第三覚醒――」
紫雷が天へ昇る。
植物が王の背後で巨樹を形作る。
「雷樹天臨」
世界が震える。
王、第二段階へ。
二人は一歩も引かない。
氷と炎が交差する。
第三覚醒の先――
“完成制御形態”。
最終決戦、開幕。




