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紅炎戦記  作者: えみり


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62/71

告白、炎と氷

紫雷が収束する。


王の声は冷たい。


「終わらせる」


雷樹融合の一撃。


氷と炎を正面から叩き潰す。


爆発。


世界が白く砕ける。


グレイスとセラフィナの身体が宙を舞う。


石壁へ激突。


崩落。


静寂。


――王は立つ。


テンペスト・グラード


視線を逸らす。


「未熟」


王都へ歩き出す。


樹が広がる。


雷が落ちる。


建物が崩れる。


兵士が弾き飛ばされる。


蹂躙が始まる。


――瓦礫の奥。


グレイスの瞼が震える。


白い世界。


氷の静寂。


(……俺は)


暴走の記憶が流れ込む。


凍りつく王都。


止まらなかった自分。


そして。


「戻ってきて!!」


あの声。


炎の温度。


意識が浮上する。


咳き込む。


血。


痛み。


生きている。


隣。


セラフィナが倒れている。


必死に彼を抱き締めたまま。


グレイスが掠れた声で言う。


「……セラフィナ」


彼女が目を開ける。


「グレイス……?」


蒼い瞳が、ちゃんと焦点を結んでいる。


暴走の冷たい虚無はない。


「……戻ったの?」


グレイスがゆっくり頷く。


「お前が……止めてくれた」


少し、息を整える。


「ありがとう」


それは、戦場では似合わないほど静かな言葉。


だが本心。


セラフィナの瞳が揺れる。


「当たり前でしょ」


震えた声。


「あなたを、失いたくない」


遠くで雷鳴。


王都が壊れていく。


時間がない。


それでも。


セラフィナが彼の胸を掴む。


「私……怖かった」


強者ではない顔。


ただの少女。


「レオルを失って……あなたまでいなくなったら、私……」


涙が溢れる。


炎の少女が泣く。


「好きなの」


はっきりと。


「ずっと前から」


グレイスの胸が締め付けられる。


逃げてきた感情。


戦いに埋もれさせてきた想い。


だが今は、もう隠さない。


「……俺もだ」


手を伸ばす。


彼女の頬に触れる。


「好きだ、セラフィナ」


初めて、真っ直ぐに告げる。


セラフィナが泣きながら笑う。


「遅い」


二人の額が触れる。


魔力が重なる。


今度は怒りではない。


暴走でもない。


守りたいという純粋な意志。


氷が澄んだ蒼に輝く。


炎が深紅に安定する。


共鳴が、かつてないほど穏やかに融合する。


遠くで。


テンペスト・グラード

が動きを止める。


「……質が変わった」


瓦礫を押しのけ、


二人が立ち上がる。


手を握る。


今度は揺らがない。


「終わらせる」


「ええ」


王都の空へ、蒼と紅の光が再び昇る。


それは暴走の光ではない。


愛と意志の共鳴。


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