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紅炎戦記  作者: えみり
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王都防衛戦

王都帰還直後。


警鐘が鳴り響く。


城壁の向こうで地面が裂け、漆黒の巨木が姿を現す。


前回を超える密度。


王都全域を覆う影。


「迎撃配置!!」


兵士が走る。


その瞬間。


城壁上に、音もなく降り立つ影。


黒衣。


静かな殺気。


ゼノ。


セラフィナの瞳が鋭くなる。


「……あなたが相手ね」


ゼノは頷きもせず、ただ一歩前へ。


「東最強の現状を確認する」


淡々と。


次の瞬間、衝突。


紅炎と圧縮魔力が激突し、衝撃波が城壁を震わせる。


一方。


巨木が王都へ迫る。


「グレイス!」


リシェルが叫ぶ。


グレイスは頷く。


「俺たちで止める」


「ゼノは私が止める!」


セラフィナが城壁上へ跳ぶ。


黒衣の男と、空中で激突する。


衝撃波が王都を震わせた。


グレイスは振り返らない。


「任せた」


今、自分が見るべきは前だ。


王都正門前。


漆黒の巨木がゆっくりと進む。


前回を超える密度。


重圧だけで足が止まりそうになる。


だが次の瞬間――


地面が裂けた。


無数の根が噴き出し、中型個体が三体展開する。


「包囲だ! 散開!」


兵士が叫ぶ。


枝が振り下ろされ、氷壁が粉砕される。


衝撃が腕を痺れさせる。


(重い……!)


質量も圧力も段違い。


リシェルが叫ぶ。


「中央の大樹が本体よ! 魔力が一点に集まってる!」


水弾が弾かれ、兵士が吹き飛ぶ。


悲鳴が上がる。


城門へ巨大な根が迫る。


あと数撃で突破される。


(止めなきゃ)


氷を走らせる。


足止め。


だが魔物は吸収する。


凍結が侵食される。


枝が胸を打つ。


吹き飛ばされ、石畳を転がる。


「グレイス!」


兵士が駆け寄る。


立ち上がる。


口の端から血が垂れる。


それでも前を見る。


「まだ……いける」


リシェルが怒鳴る。


「一旦引いて体勢を整えて!」


「下がれば城門が割れる」


事実だった。


城門に亀裂が走る。


時間がない。


グレイスは地面へ両手をつく。


氷を広げる。


広範囲凍結。


足場ごと固め、動きを鈍らせる。


だが押し切れない。


魔物が魔力を吸い上げ、さらに肥大する。


リシェルが叫ぶ。


「一点集中! あなたが道を開いて!」


グレイスは中央本体を見る。


魔力が核へ集まっている。


そこだ。


地中から氷を一直線に走らせる。


枝が迫る。


兵士が盾になる。


「行け!!」


氷が核に届く。


完全凍結ではない。


だが一瞬、循環が止まる。


「今よ!!」


リシェルの最大水弾。


兵士の一斉砲撃。


連撃。


連撃。


ひび割れ。


巨木が軋む。


轟音。


崩壊。


中型個体も連鎖して崩れ落ちる。


沈黙。


グレイスは膝をつく。


魔力はほとんど残っていない。


肩で息をする。


城門は、辛うじて立っている。


「防衛成功!!」


歓声が上がる。


だがグレイスは聞いていない。


視線は城壁上。


紅炎が空を裂き、黒い影と激突している。


空が震える。


(まだ終わってない)


胸の奥がざわつく。


嫌な予感。


足が勝手に動いた。


「リシェル、後は任せられるか」


「え、ちょっと、どこ行くの!?」


答えず、走る。


石段を駆け上がる。


魔力はほとんど空。


それでも止まらない。


(無事でいろ)


紅炎の爆発音。


その中心へ。


グレイスは迷わず向かった。


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