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地球鎮守府  作者: 山内海
タサリオンの冥王
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第五十話 ぐんぐにーる発射

第五十話 ぐんぐにーる発射






「スライムが現れたニャ!」


「唐突タイプの遭遇エンカウントか?」


 浩平のすぐ隣に、地面から染み出るように鼻水状のモンスターが出現した!

 

「ちょっと!?何これ?気持ち悪い!」


「さあ、戦うニャ!」


「徒手空拳で?」


「装備は砦に行かないと手に入らないニャ、でも希にドロップするニャ」


「戦うって殴りかかるの?」


「素手で触ると危険ニャ!」


「じゃあ、武器は?」


「装備は砦に行かないと手に入らないニャ、でも希にドロップするニャ」


「じゃあ、やっぱり徒手空拳で?」


「素手で触ると危険ニャ!」


「ぎゃああああああー!」


 スライムに取り囲まれ、そのうえ取り込まれた浩平と天音は、装備品の全てを溶かされ、光になって消えていった。


 猫マルとエリドゥは、三歩ほど後ろに後退あとずさしばし待つ。


 光と共に、全裸の浩平と、お情けで無花果いちじくの葉っぱをあしらったヒモビキニを装備した天音が再登場する。


「ここは、爪草原クローバーフィールド。始まりの地…。創成の女神とタサリオンの冥王が、東よりの船旅の際に初めて降り立った場所ニャ」

 

「わー!まだスライムいるじゃん!」


 出現と同時にスライムに取り囲まれた浩平と天音は、瞬く間にスライムに襲われ、光になって消えていった。


 その場に立ち尽くす猫マルとエリドゥ。

 少しすると、さっきと同じ格好の二人が再び現れる。


「ここは、爪草原クローバーフィールド。始まりの地……、」


「ぎゃああああああー!」


「……………、」


 少しすると、再び浩平と天音が現れた。


「ここは…、」


「ぎゃああああああー!」


 出現しては、待ち構えているスライムに飲み込まれる二人。


「……、ミスマルよ……、これ、楽しいのか?」


 最出現までの暫しの間に、エリドゥは猫マルに尋ねる。


「うーん、ハマってしまったニャ…、おーいシニャテルゥー!」


「はーい、あらあら!お兄様、可愛らしいですね、」


 空からヒラヒラと天女のように降りてきたシタテルは、着地と同時に猫マルを抱き上げてスリスリする。

 

「初期装備で、棍棒と木の盾と布の服くらい、恵んでやってほしいニャ、それからエンカウント率を落として。遭遇する距離も、もっと離れた所からの方がいいかニャ。それとリスポーン地帯は、リスポーン時にフィールドのモンスターをリセットしてほしいニャ」


「わかりました………、はい、………、出来ました」


「じゃあ、四稜郭で待っててね」


「はーい」


 シタテルはふわふわと飛んでいった。


 発生を繰り返し、辺りに充満し、くっついて巨大になっていたスライムは消えた。

 浩平と天音は、布の服と棍棒と木の盾を装備した状態で最出現した。


「ちょっと!あんた達!何で助けないのよ!」


 お情けでもらった装備で、猫マルに襲いかかる天音。


「ちゃんと『さくせん』で指示しないと駄目ニャ!」


 ひらりひらりと棍棒をかわしながら、涼しいかおで猫マルは言う。


「えーっと指パッチンでメニューを開いて、……あった『さくせん』『でいもん』『ぜんりょくせんとう』……、」


「あっ、お兄ちゃん!僕は接近戦闘はダメダメだから『えんご』を選んでほしいニャ」


「俺、戦闘、得意、『ぜんりょくせんとう』望むところ」


「ふーん、じゃあ、えりりんは『ぜんれつ』『ぜんりょくせんとう』ね」


 天音も指パッチンてメニューを開く。


「はじめのうちはエリドゥを戦闘に参加させるのはお勧めしないニャ…、」


「何でよ…、」


「あ!スライムが…、」


「『遠当て(レベル50)!!』」


『ぶおん』


 シタテルの言いつけを守り、大分離れた所で出現し、のそのそとこちらに近づくべく動き始めたスライムに、エリドゥが降り下ろした手刀から放たれた衝撃波が飛んで行き、50メートルほど先で命中した。

 スライムは詳しく確認できないような遠くで爆裂し飛散した。


「…………、」


『戦闘に勝利した!エリドゥは1ポイントのEXPを獲得!』


 アナウンスが流れる。


「ちなみに、俺、後24,418,451,121,976ポイントでレベルアップする、らしい」


「……、あっそうですか…、」


「ね。これじゃ君達の経験値が稼げないニャ……、」


「じゃあ、どうすんのよ、」


「『ぴんちまでみまもる』ってのがあるでしょ」


「あ、これね、」


「さあさあ、四稜郭へ行こうニャ!シタテ…じゃなかった、可愛いエルフ的なポジションの娘子が待ってるニャ!」


「「はーい」」


「あっ、それとモンスターを倒したら、『魔力結晶』っていう、なんか、宝石みたいなのが出るから、拾っておくと良いニャ。あと、たまにアイテムをドロップするからニャ」


「それはさっき聞いたニャ、」


「ニャンコ語がうつっているニャ」


「まあ、とにかく出発するニャ」


「そうニャ」


「ニャっぱーつ!!」


「「ニャっぱーつ!!」」


「行く………、ニャ…、」


 二人と二匹は砂浜から続く小さな砂丘を登る。


「あ、スライムまたいた」 


 浩平と天音は、棍棒と木の盾をかまえる。


「いょーし、今度こそやってやる!」


 浩平は棍棒を降り下ろす。


「駄目ニャ、ちゃんと技の名前を言わなきゃ」


「ぎゃああああああー!」


 棍棒はスライムにめり込み、ついでに浩平本体もめり込んで、光となって消えていった。


「……、やれやれだニャ」


 ため息をつきながら猫マルは浜辺まで帰っていった。


「えりりん。技の名前って何?」


「すてーたす→せんとうこまんど、で確認できる。多分最初は『たたかう』だ」


 天音は指パッチンでメニューを出し、『すてーたす』コマンド表を出し、『せんとうこまんど』ヘ進む。


「あった。『たたかう』と『ぼうぎょ』だけだわ」


「よし、では早速やってみろ」


「よ、よし…、やってみる!『たたかう』!!」


『あまねのこうげき』

『どげし!』

『しかしスライムにはきかなかった』


 天音の棍棒はスライムに奪われ、溶かされてしまった。


「ちょっと!雑魚じゃないの?スライムって!」


「イヤー、最初は雑魚だったんだけど、最近ほら、スライムって人気が出てきて、スライム株が上がってきたのよ。だから若干パワーアップしているみたいニャ」


 砂浜からヨチヨチ浩平と猫マルが戻ってきた。


「何そのシステム…、相場変動性なの?」


「天音!大丈夫か?」


 再び全裸になった浩平も駆け付ける。


「武器が無くなっちゃった……、」


「会長、ゲームバランスを何とかして!」


「えりりん、もうダメ、助けて」


「うむ…、」


「……、ちょっと待って。『せんとうこまんど』だったよね、なんか、魔法とかないの?」


 浩平は指パッチンでメニューを出し、調べる。


「………、なんだこれ?『ぐんぐにーる』??」


「……、ああ、お主がシタテルを孕ませたときに覚えた技か……。初期化されたはずなのに残っていたか……、」


「!!!何?!浩平が副会長を……、孕ませた、…の?」


「エリドゥ!あれは、なかったことになっているニャ、」


 涙目の猫マルが言う。


「おっと!すまん、そうであった…」


「え?孕ませて、なかったことにされてんの?」


「??とにかく今はこのスライムを何とかしなくちゃ。行くぞ『ぐんぐにーる』!!」


 全裸浩平が片手を高く掲げると、光の粒子が手の上に集まり、槍の形になる。


「ふん!」


 浩平はその光の槍をスライムに投げつける。

 光の槍はものすごい早さでスライムに突き刺さり、スライムは蒸発するように消えた。


「…すご、」


 天音はその威力に驚く。


「きっとあれだの、シタテルが甘やかして持たせたんだろう。」


「エリドゥだって天音お姉さま甘やかして、ついてきてるくせに……、」

  



 

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