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エピローグ的な何か

これにて終了。

《天色遊の場合》





攻略する側かと思っていたら僕が攻略される側だったらしい。

扱いとしては全十二章の十二ヒロインクリア後に出て来る隠しキャラか、あるいはファンディスクか。どちらにせよ通常では攻略されるわけが無かったわけだけど。

美香に一杯食わされたと気付いた後、僕は今回の美香の頑張りを見返してみた。

すると出るわ出るわ、彼女の努力のログが。


竜司のハーレム要員を支配下に置き、竜司を自分に依存させ、僕の改変のプロセスを見抜き、最良のタイミングで竜司と僕を入れ替えさせる。

言うは易いが、実際やろうとすれば途方も無い才能と執念と幸運が必要だ。

まるで物語の主人公の如き補正を受けまくって居るとしか思えない。そもそも世界線を越えるなんて芸当、この世界の人間に出来るわけがないんだが。

まあ、美香は普通じゃないからな。あいつは天才だ。生まれた時から本物だ。一番近くで見続けた僕はそれを知っていたはずなのにね。

自力で才能を開花させるだけに留まらず、まさか主人公にまでなりやがるとは、さすがの僕も予想外だった。

偽物の僕からすれば、美香の本物さは化物以外の何者でもない。

さすがにこれだけされては攻略されて然るべきだろう。ああ、本当に完全な攻略だ。


だが結局彼女の行動は僕が妥協するかどうかに委ねられている事には変わりはないんだけどね。

そこに【異能】も何も関係ない。単純に僕が彼女をふったらそれまでだ。


だからこそ、僕は美香を突き離す事ができなかったわけだが。


今回彼女が見せた、一番のために無心に頑張る姿は僕の目的にひどくにかよっていた。

病んでしまうから何なのか。狂気に染まったなら染まったなりに取るべき手段はあるんじゃないか。

そんな、僕がこの長い人生の間に忘れた色々なものを彼女には思いださせられた。


それは余暇を過ごすために整えた環境を放棄するに足る対価だ。だから僕は美香との関係を続けることを受け入れた。

妥協とも言うが。ゆえに僕は今後この『世界』で改変を行う事は無いだろう。


美香への気持ちは愛情ではあるが恋ではない。たぶんこの先もそれは変わらない気がする。

よっぽどの事が無い限り。

だが美香の執念を見た今、その自信はかなり薄らいでいる。この僕を攻略した人間なんてこれまで一人も居なかったんだからな。

本当にお前は本物だ。


「遊遊遊~!」


子犬の様な無邪気さで美香が駆け寄って来る。

尻尾があればきっとブンブンと勢い良く振られていることだろう。


「……どうした、美香」

「遊にプレゼントがあるんだよ!」

「へぇ、それは嬉しいな。僕は何を頂けるんだ?」

「じゃじゃーん」


古臭い効果音とともに美香が僕に見せたのは、


「首輪……?」


犬の首輪だった。

ちなみに僕の家には犬は居ないしこの先飼う予定もない事は述べておこう。


「それを、どうするんだ。まさか僕に着けるなんて馬鹿な真似」

「しないよ、そんな事。私は遊を飼おうなんて思わない」

「そ、そうか。一瞬緑髪の後輩を思いだして焦ったぜ。で、それをお前はどう扱うと言うんだ」

「これはね……こうします」


かちゃり、と。美香は自らの首へとそれを装着した。


「わんわんわん!」

「……」


美香。お前は本物だ。

本物の……変態だよ。



「はぁ~……」


これからの美香との未来を思い、僕は久しぶりに溜息を吐くのだった。








《小畑美香の場合》





遊が私のものになった。

私が遊のものになった。


遊と一緒に登校して遊と一緒に授業を受けて遊と一緒にお昼を食べて遊と一緒に掃除して遊と一緒に下校する。

なんと素晴らしい毎日か。

部活なんて全部辞めてしまった。今では放課後まるまる遊と過ごせる。これからは一秒でも長く遊と過ごすんだ。今日も遊を部屋に招いて勉強会という名のイチャラブをしている。


「美香、確か今日は勉強をするはずだよな。何故にどうして僕たちは抱き合っているんだろうな?」

「そんなの教科が保健体育だからに決まってるじゃない」

「保健体育に実技はねーよ! てか誤解を解くためにあえて言うが本当にただ抱き合ってるだけだからね!?」

「誰と話しているの? 私とだけ話そうよ」

「その前に僕を離してくれ。これじゃ勉強一つできやしない」

「それもそうだね。次は違う教科を勉強しよう。保健体育は一日一時間までだね」

「なんだその健全に不健全な勤勉発言は。で、次は何を勉強するんだ?」

「生物で、メンデルの法則でも勉強しようか? もちろん実験込みで」

「それはさやえんどうでだよな? さやえんどうでだよなぁ!?」


遊と彼氏彼女の関係になった後も私は遊グッズを再び飾ることはなかった。だって本物が私の手元にあるんだもの、偽物なんて必要ないでしょ?

遊が傍に居るだけで私の存在係数が鰻登りです。このまま向こう側を知った私は衝撃のファーストインプレッションの所為で最終回に成層圏で大乱闘した空色の毎日から続くワールドが天元突破しちゃう。


「はぁ、これじゃあ普通の毎日なんて到底送れそうにないな」

「最初から無理だったんだよ。遊は普通じゃないんだから」

「僕は普通になりたかったよ」


まだ"普通"に未練があったんだ……。


「遊は普通なんかじゃないよ」


言い聞かせるように、私は遊へと再度抱きついた。遊は口では嫌がりつつも私を引き剥がそうとはしない。

そんな優しい遊を私は一度として普通だなんて思った事ない。

遊はいつだって、



「私の"特別"だよ!」



だから。


──もう逃げないで。









《佐藤竜司の場合》





今日も今日とていつも通りの毎日がやって来たようだ。

つい最近その"いつも通り"が崩れたけど、今となっては俺にとってこれは"いつも通り"なのだろう。


「あのさ、美香」

「なに、遊? 何かして欲しい事ができたとか?」

「いや、して欲しい事と言えばそうなるんだろうけど」

「なになに? 何でも言って。私はその全てに応えるよ!」

「ああ、うん、まあ、その……近い」


教室の端で自らの膝の上に座る美香に引き攣った笑みで応える遊。

俺含めクラスメイト達はそれを生温かい目で見守っている。

結局遊の求める普通なんてものは簡単に手に入るものなんだよな。あいつはそれが解ってなかったようだ。

遊の考える普通は遊には軽すぎる。あいつが呼吸するくらい楽だと思う行動が一般人には、いや俺達には奇跡に等しい偉業なんだ。

そんな遊が普通の生活を送れるわけがなかった。それだけだ。

それでも遊は普通を求め、俺達を天才と呼ぶんだろうな。


天才……か。


遊がよく俺達に対して使う言葉。

俺達を修飾するのに使うこの二文字は、正直俺には重い。


あいつは少し他人に対し天才という称号を多用しすぎてる。俺なんて遊や美香に比べたらてんでダメだ。

て言うかあいつら二人がぶっ飛び過ぎているんだ。だから俺が劣等感持つハメになるんだよ。

別に嫉妬しているわけじゃない。確かに一時期二人に対してそういった感情を持ったことはある。でもそんな感情は二人を見続けるうちに奇麗さっぱり霧散してしまった。


だって二人は本物だからな。


俺は美香が何かに失敗したところなんて見た事無い。

あいつは天才の中の天才だ。曲りなりにも天才である俺達ですら努力した物を美香は何の苦労もなくやってみせる。

例えば高校二年から始めた陸上部で一ヶ月かからず代表選手入りして初の大会で大会新記録を叩き出し、三種目で優勝していた。それで塙森明日香(陸上部の元エース)はプライドをズッタズタに引き裂かれて落ち込んでいた。(慰めるのが大変だった。)

美香は何もしなくても相理先輩以上に人を惹きつけ、そこに居るだけで真紅みたいに目立ち、特に何をするわけでもなしに沙織以上の博識を見せ、荒事が苦手に見えて竹刀を持った咲夜を素手で圧倒する。

各分野の天才を何もせずに凌駕する美香はまさに天才だった。俺は器用貧乏に多芸な天才だからわかる。相理先輩達が持つ才能はこの世界でも屈指のものだ(真紅は微妙に違うが)。それを全て数段階上のランクで上回っている美香は異常だ。普通じゃない。先輩達にとっては眼の上のタンコブ以外の何者でもない。




だから、そんな美香が想いを寄せている遊が凡人のわけがないんだ。


て言うか遊が凡人とかありえないだろ。

……あいつ、手が光るんだぜ?


あいつに会う前まで、俺の中の天才像は父親だけだったから。

俺は芸術方面の才能はからっきしだったからな。芸術家の親父としてはいくら他の分野の才能があっても満足できなかったんだろうな。俺は親への申し訳なさに押しつぶされそうになっていた。

そんな俺の劣等感を遊がブチ壊してくれた。

初めて会った時、遊は俺を殴る悪ガキどもを前に、遊は拳を掲げた。次の瞬間その拳が太陽みたいに輝いたかと思うと次々に悪ガキどもを殴り飛ばして行った。手品でも何でもない、本物の力だ。

いや、さすがに殴られたガキが数メートルほど空を舞ったら気付くって。

それを当然の様にやった遊を見た時思ったね。


こいつ普通じゃないって。


自分を望まぬ才を持つ天才だと思い込んで勝手に世界に絶望していた俺はその瞬間生まれ変わった。

そう言えば、あの時だけだな。遊が俺を凡人と呼んだのは。

それに俺を凡人と呼ぶのは後にも先にも遊だけだった。その事に怒りは覚えない。あんな超常現象見せながら凡人と言われたらそりゃ納得もするもんさ。


その後遊の後ろを付いて回る様になり、あいつの言動を見続けた俺は、父親程度大した事ないと思うのようになった。当然だろ?

親父は普通に人間だからな。手が光ったりしない。

そう思うと、何であの程度の人間に遠慮していたのかと不思議になった。所詮俺の親父も遊に比べたら一般人なんだよな。


遊は見れば見るほど異常な奴だった。

まず遊は空が飛べる。

この時点でもうすでに人間辞めてるだろ。しかも出来て当然って顔でやってるんだからな。ありえない。

遅刻しそうという理由で家から学校の近くに瞬間移動させられた時は「もう何でもありだなこいつ」って思った。

その光景を真紅に目撃されたからって俺を超能力者に仕立て上げた時はぶん殴ろうかと思ったけどな。

まあ、俺が遊に勝てるわけがないんだけどな。そもそも俺があいつの敵になるような行動をとれるわけもないんだが。

あいつの敵になるなんてのは、遠回りな自殺ってレベルじゃなく致命的だ。て言うかただの自殺と言える。まだ東京タワーの天辺から紐なしバンジーした方が生存確率が高いくらいだ。

普通に考えて、電柱で暴走族をバイクごとホームランする様な奴に喧嘩売りたいとは思わない。


あと遊の異常さはその周囲にも及んでいる。


まず遊に両親の話しを聞いた事が無い。あいつの家族構成はかなり不明だ。しかも周りはその事を疑問に思っていない。おかしい。

一度遊が美香の家に居る時、知らずに遊の家を訪れた事がある。

その時応対したのはどう見ても日本人には見えない銀髪の女性だった。しかもメイド服の。

血の様な緋色の瞳が印象的なその人は遊が美香の家に居ることを教えてくれた後、買い物に出ると言ってどこぞへと消えてしまった。

後で遊からその女性は家政婦なのだと教えられたが、俺は今でもまったく信じて無い。


文字通り目の前から消えて居なくなる様な奴が家政婦なわけがないだろ!


もう少し、ましな嘘吐けよ!

隠す気ゼロだろあいつ。仮に家政婦だとしても十年以上若いままなんてありえないだろ。絶対普通じゃない。


だが美香はそんな遊を特別と言う。異常ではなく特別だ。ここ重要な。

美香にとって遊の力はあって当たり前のものなんだ。

美香の最も近くに居た人間が遊だ。たぶん彼女の両親よりも近くに居たんじゃないか。そしてその相手は力があって当然と思える様な存在だ。聞いた話しだと俺と出会うまで遊以外の人間と関わり合いを持っていなかったらしい。そんな彼女が他人を遊基準に考える様になるのは当然だった。

この世界で遊だけが特別。でもそれが基準。それ以外の人間は"その他"であり一様に凡庸なのだ。

でも俺……いや、俺達からすれば遊が異常なんだ。あれを基準に語られたら俺達の才能なんてゴミに等しい。


天才な二人。

異常な二人。

特別な二人。


そんな風に、遊と美香は二人だけの価値観の中に生きている。

本当にどうしようもない程に隔世の人間だ。現代社会で生きるには異形すぎる。


だからそんな二人がくっついたとしても俺は何の違和感もなかった。

少しだけ、美香に惹かれていた自分も居るんだけどな。これは誰にも言えない秘密だ。


結局のところ、最初こそ異様な二人が付き合い出した事にクラスメイト達も騒いだものだが、数日もしないうちに誰も気にしなくなった。

それが普通だ。

遊が求めるものに限り無く近く限り無く遠い普通。

こんなに簡単に手に入るものだってのに、努力してようやく手に入れたんだから、たまに馬鹿なんだよなあいつって。

馬鹿だけど、やっぱり遊は俺の恩人で憧れで……友達だ。だから俺は精々幼馴染として遊と美香のフォローに回るとしよう。俺みたいな凡人にはそのくらいがちょうどいい。


「とか言って、実は少し寂しかったりするんだろ?」

「お前には全部お見通しって事か、茜」


今俺の隣には茜が居る。体的にも心的にも隣同士だ。

ここ最近一緒に行動した事で彼女の良さをたくさん気付けた。

何と言ったらいいのか、駒鳥茜という女の子は凄く良い子なんだよな。天才でもない、凄く美人てわけでもない(俺は気にしないけど)、どこにでも居そうな女の子。

そんな普通の子が俺のことなんて好きになったのかなって疑問に思った。

他の女の子達は俺が天才だからとか、飽くなき探求心があるからだとか、器がでかいからとか勝手に言って来るけど、俺はそれら全てにまったく実感を持てていなかった。

俺じゃなくて良いんじゃないかって思いだけが募ってた。俺じゃなければダメだって実感が欲しかったんだ。

だから茜に訊ねた。


『なぁ、駒鳥。お前は俺のどこが好きになったんだ?』


……俺なんかのどこが良いんだよ。

すると駒鳥は言った。


『恰好良いところと優しいところ、かなぁ』


俺がずっと抱えていた劣等感とか違和感は何だったのかと叩きつけられた気分だった。

よりにもよって見た目かよって。

でも同時に今までそんな理由で近づいてくる女の子が居なかった事に気付いた。皆何かしら俺に理由付けしたから。感情で好意を伝えられたのはこれが初めてだったんだ。


その時俺は思ったわけだ。

俺こいつの事好きかも知れないってな。


「竜司はもう少し気楽に生きていいと思うぞ。使命とか役割とか、人間が持って生きるもんじゃいんじゃないか?」

「でも遊や美香は……」

「あいつらはあいつらだろ。あの二人は別格。別次元の生き物だと思うぞ。竜司は二人と違ってわりと普通なんだから、もっと楽しちゃいなよ」


……キュンと来た。

はい、というわけでこれにてハーレム体質シリーズは終了となりました。

最後かなり無理やりでしたがそこはチラシの裏クオリティとしてご納得いただく他ありません。特に入れ替え部分は中学数学の合同証明と違い証明しきれませんでした。たぶん主人公もあんまり理解してなかったと思います。

当初このお話しはテンプレ通りのハーレム体質の幼馴染と一緒に異世界に行くというものでした。しかし、それはもう使い古されているだろう。それではやんやっぽくないだろうという声が頭の中で響いたため、このような流れとなりました。


ハーレム体質シリーズの主人公は天色遊ではなく美香でした。

喜怒哀楽の感情も遊ではなく主人公の美香の感情を表したものです。



遊を愛したから求めた美香。

美香を愛したから拒絶した遊。


二人の愛は決して同種ではありません。

どちらかと言うと遊の方が健全なラブだったと思います。あくまでどちらかと言えばですが。

などと供述しており……。






作中で語られなかった設定あれこれ。別に読まなくても問題無い内容ですし、特に重要な設定でもないです。



◆美香の能力について。

彼女の能力は二つ。

・危険度の可視化。後に未来予知に近いナニカに進化。

・世界線移動(改変)の知覚。


前者は主人公が付与したもの。後者は彼女のオリジナルです。

危険度の可視化により常時生存本能が刺激された状態で主人公の影響を受け続けたため、異常な才能を発揮する様になりました。同時に病みました。危険度の可視化はかなり強力です。特に【異能】が無い世界では最強に近い能力です。銃弾は避けれずとも美香は撃たれる瞬間安全地帯に跳ぶ眼と身体能力はあるので。


◆危険度の可視化は【異能】ではないのかという疑問。

主人公は才能は付与しても【異能】は付与していないという設定は遵守されています。危険度の可視化は五感を極限まで高めることで第六感を操るもの。進化した能力の方も相手の視線や筋肉の動き等から未来予測をしているだけです。だけですと言いつつかなり凶悪な才能ですが。

進化した眼はほぼ【異能】と言えます。本来ならば付与されるはずが無いものです。しかし三回目大改変時に、美香が主人公を好きになった原因やコンプレックス、トラウマの要因を修正された結果、「全部の危険度が視える」という眼が「実害のある危険度だけ視える」眼になったわけです。しかし最後まで使わなかった無駄設定。


◆主人公が美香を本物と言った理由。

美香の凄さは能力を100%操れることです。才能(種子)の数や強さで言えば竜司の方が上ですが、美香は自分の才能の扱い方に才能がありました。危険度の可視化を万全にするためにあらゆる分野のポテンシャルを引き上げた彼女は本物の天才というわけです。別の言い方で例えると、手で物を掴むという能力を持つ人間は多くても、それを上手く動かしたりするのには違う技能が必要ということです。竜司は自分の才能に違和感を感じているため使いこなせてません。

美香の天才(異常)性は世界線移動やファンタジーな世界を簡単に受け入れることも含まれてます。名前を書いた人間が死ぬなんてノートなんて発想にまで行きついたL君よりもある種異常。「遊ならば出来てもおかしくない」という盲信があらゆる常識を超えて解答に行きついた理由です。


◆二回目の大改変の謎。

二回目の大改変は主人公の周りの環境を改変しました。

美香が主人公の親を惨殺した事実を隠蔽するためです。

この時主人公はまず美香に記憶操作をした後に改変をしていたので美香に改変が効かないと気付きませんでした。

美香は改変こそ効きませんが暗示は効果があるので忘れていたわけです。主人公が美香が自分を好きなままだと拙いなと思ったきっかけの一つ。

作中で主人公がこのイベントに特に言及していないのは、主人公にとって「親の死」自体はそれほど重大なイベントではなかったためです。

実はこのイベントが起きなければ主人公は円や美香相手に記憶操作のみを施したでしょう。美香へ記憶操作しただけでは意味ないと気付き世界改変を使うきっかけになったイベントです。記憶操作のみでは世界に矛盾が生まれると気付かせた美香のヤンデレさの勝利。


◆駒鳥の才能。

彼女の才能は『相手の望んだ結果を生み出す能力』です。

遊が求めたから普通の人間だった。主人公へツッコミの早さや美香の駒になった事もその能力のおかげです。迷子の安曇さくらの前に現れたのも彼女の能力ゆえでした。結果としてさくらは目的の人物(主人公)に会えました。

そして竜司のコンプレックスである「実感のない才能を愛するハーレム要員達」を解消するような回答。つまり「顔と性格が好き」という"普通"な感性を見せた事も彼女の才能です。

実は一番のチートキャラだった駒鳥茜ちゃんの転校理由もその辺りが関係してますが特に本編には関係ありません。…ギャルゲガールズサイド主人公ポジ(ボソリ)。

ちなみに彼女の才能が【異能】に進化すると【対応】という主人公ですら放置するクラスの絶対防御能力になりますが、まあそれは蛇足です。


◆主人公が異能を自重しない理由。

全部竜司に押し付けるつもりだったというのもありますが、主人公は何が異常で何が普通か見失ってます。彼は生まれた時から異常に囲まれて育ってきたため、彼の思い描く普通と一般人の普通が食い違う形になりました。さらに主人公の言う普通とは、「自分が自由に生きても目立たない世界」のことなので、自分の能力を見ても美香と竜司が騒がないのを見て「これくらいなら普通だな」と思ったわけです。


◆赤城真紅は何だったのか。

彼女は言うなれば、非日常を求める子供がそのまま大きくなってしまった残念な娘です。ぶっちゃけると無能の涼宮ハルヒみたいな子。

主人公に攻略されている時に一度厨二病を卒業しましたが、改変時にまた再発&悪化してしまったというわけです。

実は一番の被害者じゃないかと終わった後に気付きました。一応彼女にも才能はありますがこの『世界』では無意味です。


◆結局竜司は自力でどの程度モテていたのか。

竜司のファンは数百人。ハーレム要員は全部主人公が改変した子です。そのどれもが何かの天才かそれに準ずる才能の持ち主。ただ竜司のハーレム要員のうち、特に存在感があった子達は主人公から流れた者です。


◆美香の世界改変の影響を受けないのは【異能】じゃないのかよ。

某マッドサイエンティスト「基本的に誰もが微弱ながらも備えている(πωπ)」

世界線移動や入れ替わりの原理は美香ちゃんが合間合間に推測し、気付きました。


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