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緊急事態発生

「皆さん着きましたよ!」


茂みを掻き分ける不知火の瞳に突如光が差し込む。樹林内では草木が邪魔して精々木漏れ日程度だったが樹林を抜けると灼熱の太陽が容赦なく照り輝いていた。


彼女達天断ギルド一団は作戦開始から約4時間後、島の北端に到達した。結局キキと猫以外の悪魔とは遭遇せず、一番乗りで北端に着いた。


海辺には航空機に乗って私達の帰りを待つ東堂会長の姿があった。もともと南端から北端まで悪魔を殲滅した後、北端で待機した航空機に乗って本島に戻る予定だった。


私達が担当した西側は恐らく見逃しは無いので後は他の隊次第だが。


「では人数確認をするので整列してください」


後ろの隊員達にそう声をかけ、指さしながら数えていく。


「13、14、15……………」


彼女の指は15人の時点で止まる。


「うそ…………」


もう一度最初から数え直す。しかし何度やっても15人しかいない。彼女は隊員の名前を一人一人上げていく。


「豊川くん、下里さん、練馬くん、涼森さん、及川さん…………」


15人の名前を言い切る。そして天断ギルドの隊員は全員いることに気付いた。となると居ないのは…………


「はぁ……………」


思わず額に手を当てて深い溜め息をつく。選りにも選って欠員者は彼だった。あれだけはぐれるなと口酸っぱく言っておいたにも関わらず彼は消えた。


「………………」


不知火は思考をフル回転させる。猫との戦闘直後に彼と話した。間違いなくその時点までは居たのだ。そして猫と戦ったのは島の北端付近でここからそう離れてはいない。


作戦では、はぐれた場合南端に戻るようになっている。南側は悪魔殲滅済みの筈なので安全なのだ。北側ではぐれたとしても開拓済みの道を戻るだけなので討伐漏れが無い限り悪魔と遭遇することもない。


時間的に考えてはぐれた時刻は今から30分前程度。恐らく彼はまだ島の中央付近の筈。航空機で南端に先回りするよりもここから戻った方が速い。


「一番乗りや無いんか」


その時、島の東側から声が聞こえた。見ると橘を先頭に婆娑羅一団の姿があった。どうやら無事に北端までたどり着いたようだ。見た限り重傷者もいない。


「お疲れ様です橘さん」


「…………やっぱしっくりくるなぁ」


「何がですか?」


「いや、何でもない」


「そういえば、人型の猫っぽい悪魔見ましたか?」


「ああ、殺しといたぞ」


「そ、そうですか。ありがとうございます」


天断があれほど苦労した相手を討伐したと軽く告げる彼女に驚きと尊敬の目を向ける。


「…あの!実は」


不知火が欠員者の存在を告げようとしたその時。


「お前達速かったな」


西園寺達黒薔薇一団が北端に到着した。此方も見た限り重傷者や欠員者は出ていない。しかし何故か西園寺の顔は曇っている。それは橘も同様だった。


「会長を呼んでくれ」


西園寺が隊員の一人にそう告げる。駆け足で航空機まで行くと中から会長が降りてきた。


「どうしたんだ、何かあったかね」


「はい、不知火もよく聞いてくれ。東側で悪魔と戦闘中に別の悪魔が乱入した。そして乱入後そいつは西側へと消えた。そいつは恐らくA級ボス以上の悪魔だ」


それは討伐漏れの報告だった。


「………S級に限りなく近いと」


「そうだ。そして奴らは約60体の群れで行動していた。ヤバイのが2体で他はB級ボスも無いくらいだ、大したことはない」


「見た目は4腕のゴリラと鹿骨の人型と亡霊だ」


「4腕のゴリラ…………」


それを聞いた天断の透道は数日前に行ったB級ゲートを思い出す。


「どうした」


「いえ、何でもありません」


だが透道は只の偶然として片付けた。


「全員で臨むのは危険ですね」


その時、話を聞いていた会長がそう告げる。


「60なら全員を連れていく必要はないでしょう。狭い樹林では逆に連携の邪魔になってしまう。30人もいれば十分ですかね」


A級ボスが2体と考えればS級3人の20人部隊というのは妥当な構成だ。


「そうですね、ではそれぞれのギルドから10人ずつ選んでください」


「あの!」


ここまで聞いていた不知火が声を上げる


「隊員が一人はぐれてしまったので私はそちらの捜索に行かなければいけません」


「はぐれた場所は」


「島の北西付近です」


「なら問題ない。奴らが逃げていったのも恐らく北西付近だ。そして奴らが通った跡は更地になっているからすぐに見つかる筈だ」


「そうですか、こんな時にごめんなさい」


「因みにはぐれたのは誰だ」


「綾小路さんです」


「あいつか、大見得切っておいてこの様か。なら今すぐにでも出発するぞ。最優先事項は綾小路の発見だ」


罵る橘だったがそれでも一応は仲間だ。あの悪魔達に遭遇する前に見つけ出さなければならない。


「準備はできたようだな。これより作戦を開始する。綾小路発見後は残りの悪魔の殲滅も予て南端へ向かう。そこで先回りした会長達と合流して作戦終了だ」


五大ギルドから選ばれた総勢47人の精鋭の中から更に絞り込まれた30人の部隊は仲間の救出に向かう。


「健闘を祈ります」


残りの17人と会長を乗せた飛行機は一足先に南端へと向かった。








当の本人はまさか自分の捜索隊が編成されているなど夢にも思わなかった。

火達磨>カマキリ>猫=ワーム>蜘蛛



蜘蛛の悪魔は既に観測済みで対策されている。


ワームはエリアが砂漠ということと2口という変異型という点でこの位置付け。


猫は基礎能力が飛び抜けて高い。速さも殺傷能力も知能もずば抜けている。しかし、知能があるが故に油断が生まれてしまう。橘に殺された時も奴の油断が原因の一つだ。


カマキリは綾小路以外が戦っていたらもっと苦戦していた筈。基礎能力も猫と同じかそれ以上。何より変身形態の魔力無効が強すぎる。


火達磨は戦闘描写が少ないがこの中で圧倒的に強い。魔力量で言ったらバベルやドラよりもある。でも複数体でボコられたら勝つ術は無かったみたいです。フィジカルの違いも大きな要素だと思います。



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