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難攻不落の要塞

アーマードフォーチュレスは岩を取り込むことで成長する。ならばアーマードフォーチュレスがアーマードフォーチュレスを取り込んだ場合どうなるのか。答えは単純だ





「普通こういう時は左右対称だろ」


右肩から5本の巨腕を生やし、左肩からは1本の腕が生えるという不釣り合いな身体。


まるで羽化に失敗した蝶蝶のように片側の腕を広げるアーマードフォーチュレス


だがしかし、メリットだけではないようだ。何せあの量の岩石を取り込んだのだ、元よりお世辞にも速いとは言えなかったスピードが完全に消えた。


その巨体を左右に揺らしながら俺に歩いて接近するアーマードフォーチュレス。生憎俺は遠距離の攻撃手段がないので必然的に接近戦になるわけだが。


「何も接近戦が得意なのはお前だけじゃない」


懐へ潜り込もうとする俺をその5本の腕が捕らえようとする。だが俺はその腕を雪陽花で切り裂き、霜柱形成の衝撃で弾き飛ばす。


がら空きに成った溝内の接合部へ雪陽花を差し込む。霜は岩石の隙間を通り抜け、背中から巨大な氷晶を咲かせた。


ここでアーマードフォーチュレスに硬直が入った。俺は即座に後ろに回り込みうなじを狙う。しかし視覚が届かない範囲を腕が補うかのように、取り込んだ右の巨腕の1本が俺を捕まえようと迫る。


「読めてんだよ!」


俺が寸前で後ろへ跳躍すると奴の掴みは空振りに終わる。そして再度初速度を上げ接近しようとしたその時だった


「ギョギョギゴゴギッ!」


「なっっっ!?」


この距離まで飛び退けた俺に奴の腕が届く筈がなかった。しかし俺の右腕を前を向いたままのアーマードフォーチュレスの右腕が掴み上げていた。いや正確にはそれは左腕だ


初撃で空振りした後、奴は自らラスト1本の左腕を根元から引きちぎり、左腕を掴んだまま降り戻したのだ。


岩石で構成され、痛覚を持たないアーマードフォーチュレスにしか出来ない芸風である。


俺の身体は右前へと引っ張られ、迫り来る2本目の横の大振りに対応することが出来ない。奴の拳を右脇腹にもろに受け、俺の肋骨が粉砕した


「ぁぁぁ…………………」


声すら出せない激痛が俺を襲う


しかも奴は俺の右腕をまだ離さない。右腕は右へ引っ張られ、身体は殴られた衝撃によって左へぶっ飛ぶ。


「ゴキッ」


俺の左肩が外れた音だ。その手から雪陽花が地面に落ちる。


「いぃだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」


2度の激痛が俺を狂わせた。一瞬意識が飛びかけたが、舌を噛んで意識を保つ。アーマードフォーチュレスは右肩から生えた2本の腕で自分頭を180°回転させ此方を見る。


アーマードフォーチュレスは1本の腕で俺の全体重を持ち上げる。外れた右肩が再び悲鳴を上げた。


ここで初めて奴の表情が崩れる。勝ちを確信して、人々を嘲笑う道化師のように広角を引き攣らせる。


奴が大口を開いて、口内のマグマが絶えず沸騰しているのが見えた。

同族では飽き足らず俺までも取り込もうというのか。



しかし忘れてはいないだろうか







『暴食』を補食する者








それは









赫怒の炎だけなのだ。







『グラ』


右脇腹と右肩、骨から皮膚へと生命が紡がれる。俺はこの器から零れるほどの力をアーマードフォーチュレスへぶつけることにした。


5本の腕が生える右肩に左手に持つ雪陽花で5連続の突きを入れる。アーマードフォーチュレスの肩が氷山を形成させ、爆ぜる。


痛みを感じないが故にこいつは死ぬのだ。


本来痛みとはその生命体に迫る生命の危険を知らせるための刺激である。


つまり痛覚の欠如とは「死」そのものと言えるだろう


落ちた雪陽花を拾いつつ奴の股下を潜り抜ける。背後より跳躍し、忍の如く空中で屈む。


「まだ気づいてないのか」


後ろからチラッと見えたアーマードフォーチュレスの横顔はまだ不気味に笑ったままだった。


腕を奴の首前でクロスさせた次の瞬間

思い切り両腕を引き戻して奴の首をかっ切る。霜柱は引き抜いた方向に突出していた。


その姿はまるで首から吹き出した血が凍っているようだった。


死んでも尚、アーマードフォーチュレスは立ち尽くしていた。奴は最後まで要塞であった。




『グラ』



しかし指で続けば倒れるほどその要塞は脆かった。


それにしてもやはり俺の目に狂いはなかった。この双剣、かなり強い。聞いてはいたが第一段階は直接双剣に効果が付与される形の魔操術。


しかも効果発動中も魔操術が溜まり続けるため、上手く使えば永続的に霜柱の攻撃を打てることに成る。


使用者の腕が上がれば上がる程その効果は増していく訳だ。


そう考えると段階別に物理威力と切れ味の向上はあるものの、3つの段階それぞれが独自に適した用途を持っているのかもしれない。


つまり段階別に優劣が付くことはないということだ。



「一先ず、ボス部屋まで進むか」


飢餓を取り払い、速い足取りで進む。どうも最初よりも飢餓状態の度合いが落ちた気がする。いや、飢餓が軽減されたというよりも、俺の肉体が飢餓に抗うだけの魔力を得たような感じだ。


魔術師では無いため、今現在魔術は使えないがそれなりの魔力自体はあるだろう。


本来、どれだけ悪魔を倒しても体を鍛えても魔力が増えることはない。


しかし俺のこの能力は悪魔から魔力を奪い、己の血肉として変換している。もちろんそこに魔力も含まれているわけだ。まるで人外のような力。恐らくあの夢の"俺"と出会う時、俺は初めて真実を知るのだろう。




「ボボボボボボボボボ」

「ボボボボボボボボボ」

「ボボボボボボボボボ」

「ボボボボボボボボボ」

「ボボボボボボボボボ」


突如周りのミニ火口からマグマが吹き荒れた。辺りを見渡すとどうやら此処周辺だけでなくこのダンジョン全体で地殻変動が起きているようだ。






「ドドドドドドドドドーン」



まさしく爆音。鼓膜が破れるかと思いとっさに耳を塞ぐ。そして直後に吹き付ける熱風。


腕が足りない。




奴の顔を思い出す




一旦忘れる



……………




火山が噴火したのだ


宙に火花が散っているのが見える。



岩石が舞っているのが見える。



山の側面からマグマが流れ出ているのが見える。






















火口から伸びる手が…………

どうしても、戦闘シーンが説明的で分かりにくくなってしまいます。申し訳ないです。簡略化して書きました。


溝内に攻撃して奴が硬直

その隙に後ろに回ってうなじ狙うがこれはブラフ、狙い通り腕が一本反応して迫ってくるがこれを後ろへ回避

奴「空振りした腕で逆の腕を引きちぎりそれを持ったまま降り戻す」

ちぎった腕に掴まれて同時に逆からもう一発パンチ

脇腹粉砕、腕脱臼

此処で始めて後ろを振り向く「首180°回転」





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