クッシーナ村への襲撃
森の中、セシアと一緒にクッシーナ村への道を歩いていた
道中で盗賊たちが襲ってくることは無かったため狩をしながら進む
セシアに荷物を預けて獣を狩って食料を確保した
カルと幼少の時に森へ狩り出ていて助かった、こういった旅で助かる
獣を追いかけるための体力と足の速さ、獣の習性などは身につけている
「なんとか確保した」
鹿型の獣を仕留めて皮を剥ぐ
「...手馴れていますね」
「あぁ、カルから教えてもらった」
カルの父親は魔族でありながら狩りを得意としていた
城の兵士でありながらよく魔獣人の村に行って知り合いが多いらしい
多分ゴウラルへ行っていたのだろう
「昔から城の近くの森に出て狩りをしていた」
「...そうでしたか」
鹿を解体して剥がした皮に包む
「...獣を殺すのは躊躇しないのですね」
セシアが言ったとおりだ
小さい頃からやっていたというのは理由にはならない
強いて言うなら
「こいつらは食べるからかな」
「...」
「こいつらを食べて俺達は生きているんだ、それが出来なきゃ今頃死んでるかもな」
獣は食べるために殺したが魔獣人は食べない
だから殺すことが出来ないのだろう
「...生きる為なら殺すことは仕方ない」
「そうなるな」
「...ならリュート様を狙う者も生きるためだということではありませんか」
そうだ、俺の持つ食料、衣服、道具を狙っているのは生きるためなんだ
「それを許すのであればリュート様その者たちに命を捧げるのですか」
俺の言い分だと確かにそう捉えられても仕方が無い
だが命ある限り生きたいと欲求も俺にはある
「...獣も魔獣人も殺すのであれば殺される覚悟はいつでもお持ちになってください」
「...あぁ」
まだ獣以外を殺せるかは分からないがセシアの言ったことは忘れないでおこう
俺は獣の肉を担いで立ち上がる
セシアに荷物を半分預けて歩き出した
森の中を歩き続けて太陽が真上を照らすぐらいの時間だろうか
セシアがふらついていた
「おい大丈夫か!?」
俺はセシアを支える
「...問題ないです、私の事など気にせず行きましょう」
セシアは体勢を整えようとするがまだフラフラとしている
「いいから休め」
「...わかりました」
道中の木の下に荷物を置いてセシアを座らせる
「俺が警戒をする、ゆっくり休んでくれ」
「...リュート様が警戒をするとなると...」
「頼りなくてスマンな、だが今は日が高いから盗賊も無闇に襲っては来ないと思うよ」
「...わかりました」
セシアは表情は変えないが今のやり取りで心配そうなのはわかった
俺はマントを外してセシアを覆うように被せた
「セシアが寝ている間に俺のできることをしてるよ」
「...はい」
しばらくしてセシアは寝息を立て始めた
俺はセシアが寝ている間に先ほど狩った獣の皮のこびり付いた肉をナイフで落としていった
その後は近くの枝を集めて火を起こす
皮の内側を火に当てるように置いて水分を飛ばす
枝が燃えきった後の煙と熱を利用して燻製を作ろうとしたがそのための道具がない
「どうするか...」
そういえばベクターさんが魔力の貯蔵量の話の時に魔力の檻を作っていたことがあった
あの時のように焚き火の周りを囲むイメージで魔力を放出する
すると焚き火の周りに魔力の薄い壁が半球状になって現れる
「成功だ」
魔力の壁は消えた焚き火の煙を外に逃がすことなく留めている
俺は一度魔力の壁を解除して周りに肉を置いて魔力で覆う
体に纏う魔力とは違って薄い膜だからそれほど魔力も消費はしない
焚き火の煙が出なくなった頃、日はだいぶ傾き始めていた
「...ん」
「休めたか?」
「...えぇ、もう大丈夫です...これを」
セシアは座るような体勢になってマントを俺に返す
「あぁ、それじゃもう少し歩くか」
俺はマントを羽織って燻製にした肉を皮に包んで持ち上げる
セシアも皮袋を持って立ち上がって俺と歩き始める
しばらくするとセシアが上を見上げて指をさす
「...リュート様、煙が」
「俺たち以外の者が焚き火をしているんじゃないか?」
「...少し確認して来ます」
セシアは荷物を足元に置いて跳躍する
木の上に飛び乗って煙の方向を見つめる
確認を終えたセシアは俺の元へ戻ってきて情報を教える
「...この先に村があってそこから煙が上がっていいました」
「まさかクッシーナ村か?!」
「...そのようだと思います」
「行くぞセシア!」
俺はセシアと道なりに走っていく
しばらく走って森を抜けた先に村が見えた
「あれがクッシーナ村だ!!」
大きな煙が村の中から出ていた、所々で火も上がっている
俺は村の中に入ると
「汚れた一族どもめ!魔王がいなきゃ我らでも滅ぼせるわ!」
鎧をつけた人間が大きな声を出しながら亜人と鍔迫り合いをしている
「一時休戦だってのになんだってんだ!」
「魔王が手を引かないから一時的に下がったまでだ!戦はまだ終わってない!」
人間は20人程度の集団でこの村の亜人と交戦している
村はこの前の戦の後で修復途中だ、そこに攻め込んだらしい
辺りには男の亜人たちが怪我をして倒れている、攻め込まれてまだ間もないらしい
「セシア加勢するぞ!」
「...殲滅でよろしいですか?」
「いや、生け捕りで情報を聞く、殺すな」
「...わかりました」
セシアは剣を鞘ごと抜いて剣と鞘を紐で結び付けて外れないようにする
逃げている亜人を追いかける人間に向かって俺は走る
「魔物は皆殺しだ!」
「助けてくれ!」
人間が亜人に剣を振り下ろした瞬間に間に入るように俺が前に出る
全身に魔力を纏って戦闘態勢に入って腕で剣を受け止める
キン!!
「なに?!」
「はあぁぁぁぁ!!」
バシン!
人間の顔面に拳を叩き込んで吹き飛ばす
「ごばぁ」
「た、たすかった」
俺は他に襲われている亜人を同じようにして助ける為に向かった
セシアも同じように人間どもを叩きつけて気絶させていく
「あれは魔族の人、助けにきてくれたのか」
「それにしてもまだ子供じゃないか」
俺たちを見ている亜人たちは呟く
人間の兵士達のほとんどを気絶させて残りは隊長格一人になった
「くそ!魔人がいるなんて嘘だろ!」
「なんか知らねーけどお前らが不利のようだな!」
鍔迫り合いをしながら人間は周りを確認して自分の立場が分かったようだ
「残りはお前一人だ、降参しろ」
「くっ...魔物が私に指図するな!」
不利な状況だというのに降参の意思は見受けられない
俺は隊長格の人間に近づいて拳を振るう
「くっ!!」
体を逸らして攻撃をかわした
「流石魔族、数にものをいわせて蹂躙しようとはな」
「復興中の村を襲うような人間が何を言ってやがる!!」
交戦していた亜人が言い放つ
「貴様ら魔物がいなければこの世界も平和になるのだ!」
人間はまだ抵抗しようとする
「チェーンバインド!」
人間の体を魔力の鎖が巻きついて動きを取れなくする
「なにぃぃぃ!!これは呪われた力で出来た鎖!」
両腕と体を鎖で巻きつけられて身動きが取れない人間が体を動かして暴れる
「こんなもの奇跡の力さえあれば!!」
「大人しくしろ!!」
バシン!!と人間の後頭部に亜人が鉄の棒で打撃を加えて気絶させる
これで村を襲った人間はなんとか鎮圧できた
セシアも俺の元に戻ってきた
「魔族の坊やがわざわざすまないな」
「そんなことより火を消火しないといけません!」
「あぁわかった」
人間は他の亜人に任せて隊長格と戦っていた亜人が村の皆に水を集めてくるように指示を出して
俺もそれを手伝った
日が落ちて夜が来たころに火を消し終えた
「助かった、魔族の坊や」
「いえ、俺は自分のできることをしただけです」
辺りを見渡すと亜人と魔獣人がいて残った建物に集まって暖を取り始めている
村の建物の3分の1がまだ崩れていて修復途中の建物も火をつけられた後だ
「日も落ちた、俺の家に来て休んでくれ」
「お世話になります」
「...」
俺とセシアは亜人についていって建物に入る
「まぁ寛いでくれ」
亜人はテーブルの方へ手招きする
俺とセシアは荷物を足元に置いて椅子に腰掛ける
目の前に亜人の男性と女性が座る
「自己紹介がまだだった、俺はクッシーナ村の村長のドライル・プルー、こちらは」
「妻のチャイパ・プルーです」
俺たちがお邪魔した家はクッシーナ村の村長の家だった
「俺はリュート、いまは旅をしています」
「...セシアと申します」
「リュートくんとセシアちゃんか、村を救っていただきありがとう」
「ありがとうございます」
俺らが自己紹介するとお礼を言われた
「それにしてもあの人間はいったい?」
「あぁ、俺も詳しくは知らないが人間国の軍の残党だってのは見て分かるけど詳しくはわからない」
「撤退した筈の軍が攻めてくるとは俺も思ってもいなかった」
撤退したように思わせて実はどこかで隠れてまた宣戦布告するつもりだったのだろうか
それにしては人数が少なかったように思える
「戦の所為もあって食料もあまり無く困っているのが現状です」
「畑の方も荒らされてしまって、狩りの出来る亜人も戦で手負いの状況だ」
ドライル村長とチャイパさんが暗い顔をしながら話す
「食料も大事ですが、まずは建物の修理が最優先ですよね」
「そうなんだが、男手が足りなくて修理の材料の運搬が遅いんだ」
「...運搬用の荷車は幾つかあるんですか?」
「荷車自体は結構あるんだが、力仕事のほうが...」
俺はセシアを見て思いついたことがあった
「それじゃ俺らが手伝います」
セシアは剣の扱いは得意だろうから木材を切る係りにして
俺は力仕事をすれば多少は仕事も捗るはずだ
ザックさんが岩を持っていたように魔力の扱い方次第で重いものも持てるはずだ
その練習だと思えばいい機会だ
「流石の魔族でも2人だけじゃ...」
「それは明日に期待してください」
俺もできるかわからないがやってみないことには始まらない
「荷車は村の女性亜人でも大丈夫です」
「わかった、明日指示を出すことにする、今日は休んでくれ」
「部屋は二階になりますので、ご自由にお使いください」
「その前に聞きたいことがあるんですけど」
「なんだい?」
俺はゴウラルで荷物を預かっていたのを思い出した
「この村の復興指示をしている魔獣人がいる場所はどこですか?」
「あぁ魔獣人の人たちが休んでいる建物がある、ここから出て向かいの建物だ」
「ありがとうございます」
場所を聞いて椅子を立ち上がるとセシアも立ち上がる
「セシアは先に休んでいてくれ、すぐ近くだ」
「...わかりました」
セシアは俺の指示通りに部屋へ向かう
俺は村長の家を出て向かいの建物に向かう
扉を開けると魔獣人が数人いた
「夜遅くすいません、復興の指示をしている人に用があって来たんですけど」
「あぁ親方か、ちょっと待て」
「親方ーー!!お客さんだ!」
魔獣人の一人が1階から大きい声で呼ぶ
「おう!今行く」
二階から声がすると同時に足音がする
階段を降りてきた魔獣人が俺に近づいてくる
「俺に用か?」
白い毛並みの狼型魔獣人が目の前に立つ
鋭い目つきで俺を見つめる
「ゴウラル村のラルさんから貴方にこれをと」
俺は受け取った荷物を差し出す
「ラルからか、わざわざすまないな」
先ほどの目つきが嘘のように優しい目になる
「食料の方も困ってたんだ、ありがたい」
「そのようですね」
「お前達!妻からの差し入れだ、皆で食うぞ」
「「やったぜ!」」
後ろで様子を見ていた魔獣人たちが喜んでいる
「あんたは旅人みたいだが、明日あたりにこの村出てくのかい?」
「いえ、明日からは俺も復興の手伝いをしようと思ってます」
「そうかい、俺は建築士のベックだ」
ベックさんは右手を前に出して握手を求めている
俺はその手を握って自己紹介する
「俺はリュート、明日からよろしくおねがいします」
「あぁ、出来る限り速く復興しような」
俺は手を離すと俺は一礼してから建物を後にして村長の家へ向かう
村長たちはまだ寝ていなかったみたいでリビングにいる
「あぁリュートくん、食事も出さずにすまなかった」
「今食事を作ってセシアさんへ持って行こうとしていました」
「いえ、食料はありますので」
「しかし...」
只でさえ食料は貴重なんだ、自分で持っているならそれを食べないことは無い
料理と言っても野菜のスープのようなものを作っていたようだ
肉はほとんど戦でなくなったんだろう
「これみんなで食べてください」
俺は鹿の皮に包んだ燻製肉をテーブルの上に置く
「貴重な食料だ!受け取れない!」
「いえ、これからこの町で協力しあうんですから」
「それでも...」
村長は迷っているがそれも仕方ないことだと思う
ここを襲った人間の撃退をして更に復興の手伝いもするうえに食料まで受け取るのは心苦しいだろう
「今はこの町の復興が重要ですから、ここは受け取ってください」
「...わかった、いろいろとすまない」
「ありがとうございます」
村長と夫妻は頭を下げる
俺はチャイパさんが作った野菜スープと燻製肉を持って二階の部屋に向かう
部屋にはセシアが立って窓の外を見ていた
「セシア、スープ持ってきたぞ」
「...」
セシアはこちらを振り向いてスープの器を手にとってベットに腰掛ける
俺も隣のベットに腰掛けて燻製の袋を置いた
「チャイパさんがなけなしの食料で作ったスープだ、頂こう」
「...はい」
セシアがスープを飲んでいる間に俺は燻製を取り出して渡す
「これも食っとけ」
「...リュート様の食料です」
「明日からはセシアにも手伝ってもらうから腹に入れておいてくれ」
「...わかりました」
「あぁ頼りにしてる」
セシアと俺はスープと燻製肉を食べる
食い終わった後はスープの器をベットとベットの間にあった小さいテーブルの上に置く
「俺は寝るからセシアも寝ておいてくれ、途中で倒れられても困るからな」
「...わかりました」
ベットの上でマントを覆いながら横になる
セシアは軍服のまま寝るのだろうか
「セシア」
「...なんでしょうか」
「そのままじゃ眠りにくいだろ、俺は向こう向いて寝るから寝やすい格好になってくれ」
「...わかりました」
セシアに背中を向けて目を閉じると隣で服を脱ぐような音が聞こえる
疲れていたこともあってすぐに眠りについた
早朝、目をさましてベットから立ち上がる
「ふあぁぁぁぁ」
大きく腕を上げながら背をのばす
セシアはまだ寝ているようだったから先に下に下りた
「おはようリュートくん」
「おはようございますリュートさん」
村長夫妻は朝ごはんの準備をしていたようだった
「おはようございます」
椅子に腰掛けて今日の作業の内容を村長と話す
「今日は俺とセシアが森の方へ向かって復興材料の木を集めてきます」
「わかった、俺は荷車と馬の乗れる者に声をかけておく」
「村長にはもう一つお願いがあります」
「なんだ」
復興材料も必要だが食材も必要だ
木を切れば周辺の動物も警戒して逃げてしまうから先に狩りをすることにしよう
「村の子供で狩りに興味ある者がいたら声をかけてほしいんですけど」
「子供でいいのかい?」
「ええ、いい経験になると思います、俺が狩りの指示を出すので」
「わかった」
会話をしているとセシアが二階から降りてきた
「おはよう」
「...おはようございますリュート様」
セシアは俺の横の椅子に座る
「セシアは俺と一緒に森に来てもらうけどいいかな?」
「...わかりました」
話をしているとチャイパさんが料理をテーブルに置く
中には昨日渡した肉もあった
俺らは飯を食って復興の準備にかかる
魔獣人と亜人の違いを記入していこうと思います
亜人
人間と魔獣・魔獣人との間にできた種族
見た目は人間とほぼ同じだが耳や尻尾が普通の人間とは違うのが特徴であり
人間からは魔物との混血なため迫害されたりもする
魔獣人
見た目は獣の姿だが二足歩行で言葉も喋れる
人間との混血もあるが魔族の純血でもこの種がいる
身体能力は人間や亜人種よりも高いがそれに頼っていて魔力の扱いが苦手でもある
ルルシーラ、ケール、ベール、ロールは魔獣人であるが魔獣型・人型に形態を自由に変えられる
特殊な体質です
誤字脱字などあったら指摘していただくと助かります
読んでくれてありがとうございます、できるかぎり早めに続きを投稿していこうとおもいます。




