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偽り聖女と悪役令嬢  作者: ユキア
偽りの聖女と悪女

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リヒトの役目

「マリーさんを殺すことですか?」


「……何故そう思う?」


「貴方はまるで私を殺したいように思ったからです。」


「理由になってない。」


「その、なんと言いますか……私をここに連れてきたのは、魔女として告発するつもりだったんではないでしょうか?」


「さぁな。」


「それに、私が別人だと知った時、役目を果たせないといいましたよね?」


「それがなんだ。」




「つまり、私では貴方は役目を果たせない。それって、私を殺すことが役目……きゃ?!」


リヒトはグラスの口を手で塞いだ。



「こんな場所で話す内容ではない。黙れ。」


「す、すみません。」

リヒトはグラスから手を離した。 再び馬車へと乗り込む。屋敷に帰るころには日が沈んでいた。屋敷に入る。そして、部屋に戻るとリヒトは語りだした。


「私はマリーさんを暗殺する為に送られらた。」


「!?」


「誰にかは言えないが、お前の言う通りだよ。」


「やはりそうなのですね。」


「それで、マリーの居場所はどこだ?知っているのだろう?」


「はい。未来です。」


「は?」


「恐らくですが、これは禁術だったのではないかと思います。」


「禁術?」


「マリーさんは、自分が未来に何らかの形で渡る為に、代わりに私の魂を過去に送った。そう考えています。」


「なるほど?そんな事が可能なのか?」


「ええ、しかし、これはほぼ魔女のやり方です。」



「どうすればマリーを殺せるんだ……」


「それは私にもわかりません。」


「そうか……」


そうしてその日は過ぎた。次の日から屋敷に人が溢れる。国王を治した聖女が居ると言う噂から人々が集まった。そうして、グラスは痛みのある人々を助ける。

グラスの噂はたちまち国中に広がる事になった。毎日が忙しくなった。ある日のこと……


「おい!聖女さんはいるか!?」


「はい!なんでしょう?!」


突然屋敷に駆け込んでくる怪我人がいたのだ。


「なんとかしてくれ!親父が……!」


「!」


グラスはそれを見て絶句した。既に死んでいたからだ。


「あの、残念ですがもう……」


「なんだと?!聖女っていうのはうそなのか?!」



「違っ…」



「この魔女め!!」


そういって石を投げられた。恐怖で体が動かない。だって2度目なのだ。こうして罵声を浴びせられるのは。このまま全てまた奪われる。そうグラスは思った。


「何とか言えよ!!」


男はグラスに掴みかかろうとしてくる。


「きゃ?!」


「?!」


「やめないか。既に死んだ死人なんて生き返すことなど出来ないに決まっているだろう!」


リヒトがグラスを庇っていた。


「リヒトさん……?!」


「黙れ!!」


男の暴挙は続く。今度はリヒトに掴みかかろうとしてくる。リヒトはそれを難なくよけて逆に男をぶん投げた。


「?!」


「おかえりください。」


そういってリヒトは死体と共に男を屋敷から追い出した。


「おい、大丈夫か?」


「……」


グラスは震えが止まらなかった。


「しっかりしろ!」


「は、はい!」


「そんな事で聖女など務まるものか!」


「すみません……」


リヒトの言葉は優しくない。だが、どこかグラスを、鼓舞しているかのようだった。


「あはは、私ダメですね。こんなことでこんなになって…… 」


「ああ、ダメだな。」


「あはは。」


「だから、無理をするな。」


「へ?」


「次からはのこのこ1人で、出ていかないで私を、連れて行くことだ。」


「リヒトさん……」


月日が流れるごとに2人の温度は変わっていくようだった。















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