表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/10

魔狼視点


『魔狼視点:俺はただの護衛のはずだった』

――朝。

俺は森で生きていた。

牙を研ぎ、獲物を狩り、群れを率いる。 それが“魔狼”としての本来の生き方だ。

少なくとも、あの商人少女に会うまでは。

■ 第1日:契約という罠

「護衛、お願いできます?」

最初は理解できなかった。

護衛? つまり戦闘だろう。

簡単だ。問題ない。

そう思った。

その紙を渡されるまでは。

「ではこちらにサインを」

サイン?

前足で血判を押した。

この瞬間、俺はもう自由ではなかったらしい。

■ 第7日:違和感

仕事が増えた。

護衛だけのはずだった。

・荷物運搬の同行

・商談の同席(なぜか必要)

・取引先との調整(なぜか俺が謝る)

俺は戦士だ。

なぜ頭を下げている?

■ 第15日:増える“仲間”

ドラゴンが来た。

リッチが倉庫に住み始めた。

ゴブリンが帳簿をつけていた。

俺の率いる群れはいつの間にか“組織”になっていた。

しかも誰も戦っていない。

全員、働いている。

■ 第20日:ギルド呼び出し

「魔王軍の幹部として説明を」

……違う。

何度も言うが違う。

俺はただの護衛だ。

だが相手は聞かない。

“肩書き”が勝手に増えている。

誰が付けたんだ、この役職。

■ 第23日:勇者遭遇

勇者パーティと遭遇した。

「魔王の配下か!」

違う。

「では何だ!」

……俺は少し考えた。

「契約社員だ」

空気が凍った。

勇者が剣を下ろした。

「その方が怖いわ」

同意するな。

■ 第30日:胃痛の正体

気づいた。

問題は戦いではない。

この少女だ。

戦わない。

命令もしない。

ただ“結果だけ”を積み上げる。

気づいたら世界が変わっている。

俺はそれを横で見ているだけ。

そして全責任が俺の肩に乗る。

なぜだ。

■ 現在

今日も朝から報告だ。

・ドラゴンが納期遅延

・スラムが国家化

・ギルドが監査を開始

・勇者が顧客登録を希望

俺は深く息を吐く。

「俺は魔狼だ」

誰かに言い聞かせるように。

だが返事はない。

隣では商人少女が言った。

「新しい取引先、増えましたよー」

増えるな。

頼むから増やすな。

■ 魔狼の結論

俺は理解した。

これは戦争じゃない。

狩りでもない。

もっと厄介なものだ。

「経済」だ。

そしてその中心にいるのが、あの商人少女。

……俺は多分、もう森には戻れない。

戻ったところで、そこも“契約地”になっている気がするからだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ