人攫い後半そのご
ヨルを抱きしめながら俺はギルレイラを探すことにした。術を掛けたのも全部オウカなのだろう。いつの間にか術は解除されており、今まで感じることの出来なかったギルレイラの気配を感じることがてきる。
俺が感じることが出来るのだ。きっとギルレイラも俺とヨルの気配を感じることが出来ているはず。
「っ、、聖女様、、?」
耳元で声が聞こえ、俺はヨルを床に下ろし自分の膝にヨルの頭を置いた。いわゆる膝枕ってやつだ。
どこか焦点が合ってないヨルの目。まだはっきりと意識が戻らないのだろう。最初から全て操られてるのであればまだ良いが、この子は多分途中から操られただけだ。
「ごめんなさい、ヨル。私が守るといったのに貴方を傷つけてしまった」
俺はそう言いながらヨルの頬を撫で、聖女の癒しの魔法をかける。これで大丈夫な筈だ。でもおかしい、、上手く魔法が使えていない気がする。使えてるはずなのに実感がない。
ヨルの顔を見るとヨルは俺の首にある首輪を見ながら少し気まずそうにしてる。
「聖女様、これから先その聖女の癒しは使えなくなっていくと思います。光魔法も封印される。その首輪を我が主に懇願し外して貰えない限り聖女様の光魔法は全て封印される」
どこか気まずそうに、けどヨルはとても嬉しそうに話す。瞳に映るのは俺と、たぶん主であるオウカの姿。彼は俺の頬を撫でとてもとても幸せな顔をする。
光魔法が使えない。封印される。この言葉がどれだけ恐ろしいのか分かってる。殺されることはない。封印されるだけで解除されたら光魔法が使える。
それに死ぬことは怖くない。怖いのは自由が無くなること。
ルカと違い、俺の闇魔法は無差別に弱いものを殺すものじゃない。俺の闇魔法は死人を操り、魔界の悪魔を操り、世界を混沌に堕とすことの出来る魔法。
つまり自分で言うのもあれだけど利用価値がとてもあるって事。それも世界征服とか国家転覆とか考えてる悪い人にとっては尚更。
その人たちから守るためにきっと弟たちは俺を外に出さなくなる。光魔法も封印されるとなると闇しか残らない俺にとっては教会なんて監獄そのもの。
でも今俺にできることするだけ。後でそういうことは考えよう。
「ヨル、貴方はここから逃げなさい。ギルレイラがもうすぐ来ます。そしたらきっと貴方は殺される。だから早く逃げなさい」
「なぜ、、なぜ!!?なぜ私を逃がすのですか!?聖女様を裏切ったこの罪人の私を、!!」
「貴方は自分の主に従ってるまで。だから私は貴方を恨まない。それよりも私は貴方の幸せを願いたい。生きて欲しいのです」
どこか傷ついた顔。そんなヨルの頭を撫で、俺は近くにあった窓にヨルを立たせてその肩を押した。ヨルは静かに窓から落ちていく。きっと彼なら大丈夫。
だってあのオウカに従ってる人間だ。それなりの魔法も使えるし、使えずとも身体能力はかなり上だろう。
最後に見たヨルの顔はとても辛そうで悲しそうで、けどやっぱりその瞳はどこか歪んで執着染みて俺だけを見てた。
あーあ、やっぱあの目は苦手だな。
俺はそう思いながら窓を締め、これから来る俺様DV暴君のギルレイラを待つことにした。




