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転生アラサー警察官、王子殿下を守ります!  作者: 音威ジュン
第二章 夢見草編
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24. 自称ライバルのおかしな行動


 エディの誕生祝いの舞踏会の後、私に水をぶっかけ喧嘩(けんか)を売ってきたバーバラは、次の日からエディにアピールする為に、髪に派手な髪飾りをつけてエディの前に現れたり、話しかけようとして、お兄様やオスカー様に(はば)まれたりと、ちょこまかといろいろやっていた。

 私にわざとぶつかってきたり、イヤミを言ってきたりもしていたが、それほど過激なことをしてくるわけでもなかったので、心配するほどの事はないかと放っておいた。

 エディに注目してもらう為とはいえ、羽飾りを付けてきたり、大きなリボンを付けてきたり、髪を高ーく結ってきたり、それはちょっと……、という髪型をしてきては、先生に注意をされているのだ。そんなことをしなくても普通にしていれば、それなりに綺麗(きれい)な容姿をしているのにと思っていたが、バーバラにしてみれば必死なのだろう。

 エディにとっては、バーバラがどんなことをしようと眼中(がんちゅう)にないという感じだ。

 私は、バーバラはちょっと面倒くさい相手ではあるが、それほど嫌いなわけではなかった。何故なら、彼女は徒党(ととう)を組まず、常に1人で(いど)んで来るからだ。

 そのへんが(いさぎよ)いというか何というか、まあ、あの性格だから友達いないのか、とも思うけど、本人はそんなことは気にも留めていないようだし、エディに相手にされなくても、なんだか楽しそうにやっている。


 だが、そんな風におおっぴらにエディにアピールするバーバラを、よく思わないご令嬢達もいる。

 そんなご令嬢達が、バーバラにイヤミを言ったりしているようだが、バーバラにしてみれば、

「あなた達もエドワード様の婚約者になりたいのなら、私のようにもっとアピールすればいいじゃない。陰で何を言ったって、エドワード様に自分を見てもらわなければ、婚約者になりようがないでしょう?」

 と、のたまうのだった。

 そんなバーバラに意地悪をしたりするご令嬢達も現れて、私としてはそちらの方が気になるのだが、当の本人はそれほど気にしていないようで、数人に囲まれて、

「あなたなんか、どんなことをしたってエドワード様の婚約者になんてなれないのよ! 自分が田舎者だってわかっているのかしら?」

 などと言われているのを見かけて、手が出るようなら助け舟を出そうと思ったが、

「あら、私が美しすぎるから(ねた)んでいるのね。まあ、あなた達では私には到底(とうてい)(かな)わなくってよ! ほーほっほっほっほっ!」

 と高笑(たかわら)いしているのを見て、バーバラには助け舟は必要ないなと悟ったのである。



 そんなある日、バーバラが、髪飾りや髪型のレパートリーも無くなったのか、先生に注意されないギリギリの髪飾りや髪型にしてくるようになり、もう飽きたのかと思っていたら、なぜか私に突然勝負を挑んできたのだ。

「シルフィアナさん。私と勝負しましょう」

 そう言って差し出されたのはリバーシだった。

「私と勝負してどうなさるおつもりなの?」

 私は率直(そっちょく)に聞いてみた。

「私が勝ったら、エドワード様の婚約者の座を明け渡していただくわ」

 バーバラはそう言うが、

「バーバラさん、誰が婚約者になるかは、私達が決めることではなくてよ。勝負に勝ってもエドワード様が婚約者にと望まなくてはなれないのではなくて?」

 私がそう言うと、

「私がシルフィアナさんより出来るということを、はっきりさせておきたいのですわ。そうすれば、エドワード様が私を選ぶ確率も増えるというものでしょう?」

 とバーバラは言うのだが、実のところ私はリバーシとかチェスとかのボードゲームがあまり得意ではないので、

「ごめんなさい。あなたと勝負しても、私には何のメリットもないのでやめておくわ」

 そう言うと、

「あら、私に負けるのが怖いのね。戦わずして負けを認めるという事で、よろしいのかしら?」

 と、バーバラに言われ、

(バーバラに負けるのが怖くて、逃げたと言われるのもイヤだなー。でも、勝負して負けてもいろいろ言われるのだろうな……。はぁー、面倒くさいけど勝負するか。逃げたと言われるよりはいいか……)

 そう思った私は、

「わかりましたわ、バーバラさん。勝負しましょう」

 とバーバラの勝負を受けたのだった。


 バーバラが私の机の上にゲーム盤というか、持ち運びに便利なフェルトのような布で出来た物を広げた。駒は石で出来ていて、普通の物より小さく出来ている。

 授業の合間の休み時間に対戦するのであまり時間が無いが、時間切れの場合はノーカウントということで、次の休み時間に最初からとなる。なのであまりゆっくり考えていると勝負にならないのである。

 わざとゆっくり考えて、勝負をつけないという反則技(はんそくわざ)も使えるが、ずっとそれを続けるわけにもいかないので、ここは真剣に勝負しようと心に決めて対戦した。

 私は、勝負を挑んでくるくらいだから、バーバラはリバーシが得意なのだと思っていたが、そうでもないらしい。とりあえず3回勝負と決めて始めたが、最初の対戦は私が勝ってしまった。

(あれ? バーバラは強いわけではないのか? 実力的には私と同じくらいかな? それとも今回だけ様子見でわざと負けたとか?)

 ちょっと拍子抜(ひょうしぬ)けした私に、

「今のはちょっと油断しただけよ! 次は本気でいきますわよ!」

 そう言い残して、バーバラは自分の席に戻って行ったのだった。

 


 そうして休み時間に毎日リバーシをしていたら、いつの間にか1年A組ではリバーシが流行(はや)り出して、(ほとん)どの生徒があちらこちらでリバーシを楽しむようになっていたのだった。

 



 私とバーバラの勝負はというと、やはり実力的には五分五分という感じで、勝ったり負けたりを繰り返しているわけで、結局お互いに負けたくないので、もう一回を延々と繰り返すことになったのだった。




   * * *




 お昼休みは食堂に行くので勝負はしないが、バーバラはいつも1人で食べているようで、少々気にはなったが、わざわざ自分でトラブルを持ち込むことはないとわかっているので、()えて声をかけることはしなかった。私は、寮ではどんな様子か気になって、リリアに聞いてみると、

「そうですね、寮でも1人で居ることが多いですね。私も寮では1人なので、最近は一緒に朝食や夕食を食べたり、リバーシの相手をしたりするのですが、エドワード様の話よりシルフィ様の話で盛り上がったりするのですよ」

 と言われ私は、結局バーバラは、友達が欲しいだけなのではないかと思ってしまった。まあ、あの性格ならそうそう友達は出来ないだろうなと、予想はつくのだが……。

 エディの婚約者になりたいと言うのは、思い込みが激しいだけで、本気で思ってはいないのではないかと思ってしまう。

 友達になりたいなら、それはそれで構わないのだが、なんだか勝負を挑んできたり、張り合ってきたりするのが面倒だ。

 まあ、ちょっと、いやもとい、もの凄く変わっているが、面白いっちゃ面白いんだけどね。などと思ってしまう私だった。





お読み頂きありがとうございます。

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