3話
「とにかく、俺は明日からは学園内の捜査に戻りますから。むつが心配なんで」
「それは公私混同だろ?」
「そんな事…ありますね。何なんですかね、何か急にこう、むつが心配で仕方ないっていうか…一緒に過ごせるだけで、幸せっていうか。この前も、その前も一緒に寝たんですよ。けど、こう腕の中にむつが居るって思うと手を出したい気持ちもあるけど、それ以上に安心っていうか…何だと思います?」
「西原…お前、ちょいちょいむつと夜を過ごしてたのか?」
山上が呆れたように言うと、西原はへらへらっと笑って見せた。冬四郎は今回のも前回のも西原の口から聞いているので、それ以上は何も言わなかった。だが、報告されるのはやはり良い気分はしなかった。
「西原、お前。落ち着いたって事だろ。性欲が結び付かなくても好きになれるようになったんだよ、相手を大切に思えるようにな」
「それはないと思いますよ。むつのちょっとした仕草でも反応しますから。けど、最近そうなんですよね特に。前はそうでもなかったんすけど」
西原が真面目な顔をして返すと、山上は溜め息をついた。冬四郎はすでに聞きたくないのか、そっぽを向いてぼそっと呟いた。
「…自分で抜けよ」
「抜いてますから‼むつの事考えるとすーぐですよ、すーぐ元気になれる‼何回でもイケそうです」
「人の妹をおかずにしてるって事か?俺の前でそんな報告はよせ」
「みやはもう元気ないのか?自分でしないと衰えてくぞ」
「ほっといてくださいよ」
冬四郎は鬱陶しそうに、酔っ払い2人を見ながら焼酎を呑み干した。




