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3話
西原は煙と一緒に溜め息をついた。そのやけに沈んだような様子が、冬四郎も山上も気がかりだった。
「むつから何も聞いてないんですね?」
「何かあったのか?」
山上が表情を引き締めていた。冬四郎もむつに何かしら危険がありそうだと察したのか、険しい表情をしている。
「シスターが死んだのが悪魔崇拝のせいじゃないかって話なんですけど…それをたぶん、むつは調べてるはずなんですけど。あそこ…今、生徒が何名か行方不明にもなってて。シスターが死んでからなんですけど」
「それとむつに何の関係が?」
「関係があるないじゃないですよ。そんな所であいつ生活してるって事ですよ?それに菜々ちゃんも居るんですよ?」
冬四郎と山上は西原が、むつが行方不明者が出ている学園で生活してる事を心配してるのは、よく分かった。だが、そこで幼馴染みが居るのが、問題のように言う意味が分からなかった。
タバコを灰皿に押し付けて消した西原は、携帯を取り出すと電話をし始めた。むつにかけてる事は、話の流れ的に安易に想像がついた。
なかなか出ないのか、苛立ったようにテーブルを指先でこつこつと叩いている。




