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3話
山上と冬四郎からは、何か進展はあったかという仕事に関する物だった。むつは、進まないという事だけを送った。何で進まないのかは、伏せておく事にした。
返信を済ませるとむつは部屋の電気を消して、いつでも寝れるようにして携帯を見ていた。テレビがあるわけでもないし、勉強をする気にもならない。というよりも、今更、高校生の勉強をやり直そうという気になれなかった。だが、こう待っている間にはメールの返信はないものだった。
ごろごろしているうちに、眠くなってきたむつは携帯を持ったまま、いつの間にか眠っていた。手の中にある携帯が、2回続けて微かに振動した事にもむつは気付かなかった。
少しだけ間隔があったものの、先にむつからのメールが届いた山上は少しだけ、にやっとしながらも急いで返信をした。隣に座っていた冬四郎もすでに返信し終えたのか、携帯をテーブルに置いて吸いかけのタバコに手を伸ばしていた。山上は、素知らぬ顔をしている冬四郎を横目にビールのジョッキを持ち上げてぬるくなりつつある、ビールを呑み干した。




