4話『祝福』
(なんだか、力が湧いてくる気がする。)
俺は両手を握ったり開いたりしてみるが、特に変化は無い気がする。
「一体何を?」
「だから祝福だ。まさか、宮野 小春。向こうで祝福も無しに生きていけると思っていたのか?」
(祝福?)
俺が頭の中で疑問符を浮かべていると、
ツクヨミは溜息を吐いて説明をしてくれる。
「はぁ……祝福っていうのは、要は神から転生する人間に渡す初期装備のような物だ。いきなり危険な場所に飛ばされて死なれるのも困るんでな。ちゃんと戦える力を持たせるんだ。」
「……危険?戦える?待て、もしかして俺の転生する所って日本じゃないのか?」
「……ん?当然だろう。」
彼女は、さも当たり前のように言う。
「な………」
俺は絶句してしまうが、ツクヨミは続けて爆弾を投下してきた。
「……そもそも、日本も何も地球ですら無いぞ?」
「は……はぁぁぁぁぁ?!」
驚きのあまり、俺は叫んでしまう。
「じゃ、じゃあどこなんだよ。」
「第8967惑星、レミアードだ。」
「わ、惑星?」
俺の中の疑惑はドンドンと増殖していく。
小春に疑問ばかりぶつけられたツクヨミは顔を顰めた。
「あー!五月蝿い!ちょっと大人しくしていろ!」
彼女は不機嫌な顔で俺の頭を掴む。
すると、次の瞬間 小春の頭に鋭い電撃を喰らった様な衝撃が走る。
「ぐわぁっ!」
小春は思わず尻餅を付いてしまい。
文句を言おうと顔を上げると、気付く。
「あれ……?」
先程まで浮いていた疑問が全て解消されていた。
いや正しく言うと、まったく信じられなかった第8967惑星のレミアードの存在を受け入れてしまっている。
レミアードの存在を、もう実在するものとして理解してしまっている。
ご丁寧にレミアードは魔物や魔法の存在する世界という説明まで頭に入っていた。
「……ふぅ、やれやれ。ようやく静かになった。」
ツクヨミは呆れた表情で俺に手を差し伸ばしてくれる。
俺は呆気に取られたが、すぐに気を取り戻し彼女の手を掴み立ち上がる。
か細くて美しい彼女の手は、思っていたより力強く俺を引っ張ってくれた。
「……なんだ、文句でもあるのか?」
俺が何も考えずにツクヨミを見ていると、彼女は首を傾げてくる。
「……いや、ありがとう。ツクヨミ、俺にチャンスをくれて。」
俺はそう言い彼女に笑みを見せる。
「……それが私の役割だからな、当然だ。」
ツクヨミは少し気恥ずかしそうな顔して答えてくれた。
俺は、その反応を見て彼女の事を少し愛おしく思ってしまう。
「………そろそろ、時間だな。」
彼女は空を見上げてそう言う。
「…俺は転生するのか?」
「ああ、転生すると記憶は受け継がれるが、容姿は変化する。容姿はランダムだから美形に生まれるように祈っていろ。」
「……そうか。わか………あ、少し頼みがある。」
ふと、思い出す。
「ん?なんだ?」
「無理だったら良いんだが………」
俺は駄目元で頼み事をしてみた。




