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7/9

歓迎

遅くなりました。

半年ぶりというなんともいえないペースでまだ7話目……。

申し訳ないです。

連れてこられたのは、とても大きな屋敷。目隠しをされて移動していたから何処かわからないが、時計はあの時から10分ほどしか進んでいない。車で移動していたが、大臣の家からは近いようだ。

ここには数人の大臣がいる。市川さんは拘束されていないところを見ると、やはり総理側の人間なのだろうか。

最初から違和感が体に付きまとっていたのだ。国を裏切るような行動を起こすために動いているのに、わざわざ家に呼ぶなんておかしかった。一番不可解な点は、他の大臣が他人の家に盗聴器を仕掛け、市川さんはそれがわかっていて私たちを呼んだことであった。

市川さんへの不信感は募るばかりであった。

大臣同士で何かコソコソと話している。その隙を伺い緑が声をかけてくる。

「市川さんは白だ。他の大臣のうち2人も白だ」

それだけそれだけ言うと口を閉ざし、大臣たちの後ろ姿を見つめていた。

しばらくすると市川さんを含め3人が残り後の人たちは帰っていった。ドアを見つめ、足音が聞こえなくなると同時に大きくため息をついた。

「まったく、なんて人たちなのかしらねぇ。私利私欲のためだけに動いて、根が腐ってるわ」

「まぁまぁ、そう言うなよ。元はいい人だったんだからさ」

ポカンとする私。見定めるような視線を向ける緑。

しばらく愚痴を言っていた女の人が、大きく息を吐き、こちらに向き直った。

「驚かせてごめんなさい。私たちはあなたたちの味方です」

市川さんは私たちに2人を紹介した。

陸奥清子みちのきよこさん、50歳。今の政策に反対し続けている一人だという。

豊川晃とよかわあきらさん、50歳。陰ながら反対を示し、反対運動の指揮をしているらしい。

頭が追いつく前に矢継ぎ早に告げられた事実を飲み込み、パンクしてしまいそうになりながらも、なんとか理解する。それでも違和感は体をつきまとう。

「市川さんを含めあなたたち3人は、どうしてこのような危険な目に合うよう誘導したんですか? もし、風に何かあればどうするつもりだったんですか?」

いつもと違う圧迫感のある声音に驚いたが、不思議と怖くはなかった。

「私たちの疑いを晴らすために利用させてもらったのよ」

きっぱりと言い切りニヤリと笑みを浮かべる。

「君達もも僕たちをを利用すればいいさ。お互いが駒であるというのは、それだけ動きやすいということだ」

頭の回転が速い人たちなのだとなんとなく思った。そして、この人たちなら止められると確信した。

「反政府組織、ヤマトへようこそ。僕たちは君達2人を歓迎する」

市川さんのいつもと同じ笑顔の奥に悲しさが見えた気がした。


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