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大臣の家

 空気がピンと張りつめる。でも、私はへにゃりと笑うと大臣の緊張を、自分の緊張をほぐすように「お茶をどうぞ」と紅茶を勧める。

 怖かった……。こんな大口をたたいておきながら、本当に実行できるのか。現状に対する何もかもが不安で、押しつぶされそうだった。

「風……大丈夫?」

大臣に聞こえない声で、問いかける緑に笑顔を向ける。ちゃんと笑えてるか、分からないが緑がそれ以上問いかけてこなかったので、よしとする。

 大臣も落ち着いたようで、こちらと目を合わせると言葉を選ぶように話し始めた。

「俺は、何が正しいのかよくわからない。けど、人に死んでほしくない。そのために君たちには力を貸す」


 何をすればいいのか3人で話し合った。大臣は国からの情報をこちらに回してくれるという。私は未来の出来事をノートに、思い出せる限り書こうと思った。緑は独自に調べるということだった。


 あの日から数日たち、この国の情勢は相変わらずで、何一つ変わっていなかった。

「はぁー。思い出すのも簡単じゃないな。……気持ちの問題か」

独り言だったはずだが、緑がくすりと笑う。

「無理に思い出そうとしなくてもいいよ。未来のことも大事だけど、現在の情勢のほうが重要だ。大臣のことも気になるし……」

「やっぱり、怪しいと思う?」

「まぁね」

苦笑しながらも、しっかりと肯定するその瞳には、不安の色が見えた。それは私も同じで、大臣は怪しいと思っている。その気持ちはいつまでもぬぐえない。信じようと思ってもどうしても信じきれない。政府の人間だから、ということが大きい。でも、それ以外でも何かが怪しい。そんな風に感じてしまう。雰囲気が、なんだか、苦手なのだ。ほかに何か隠しているような、そんな気がしてならない。私たちに危険なものをすべて机の上に出した。それが、私たちの油断を誘っているように思える。

 こんなご時世だからこそ、人を簡単に信じることがはばかられる。ましてや、今私たちがしようとしてることは、政府へ牙をむくということだから。


 数日後、大臣が来たとき私と緑は驚く事となった。


 私たちは大臣に家へと呼ばれた。友人の子供を預かる、ということになっているらしい。

大臣の家はとても広く、しっかりとついていかなければ迷子になってしまいそうだった。私たちは奥のある一室に通された。

「奥の部屋だけど好きに使ってくれるといい。と言っても、今日は勉強を教えるように君たちのご両親から頼まれてるんだけどね」

それと同時に大臣はメモ用紙を取り出す。さらさらと何かを書き始め、こちらに見せて来た。

『この部屋には他の大臣がしかけた盗聴器がある。少しヘマをして疑われてしまった。拘束されるかもしれない。でも、疑われないために、君たちをここへ連れてきた。わかってくれ』

私よりも早くに理解した緑が先に口を開いた。

「無理を言ってすみません。よろしくお願いします」

慌てて緑に習い「お願いします」と頭を下げた。いまいち状況が把握できていない私の代わりに緑が筆談をしてくれた。私は、大臣と会話をする。出来るだけ自然に、と自分に言い聞かせた。

筆談の内容は『もし、拘束されても、私たちはなにもわからないふうを装う。まだ子供である私たちはそれで見逃されるだろう』ということだった。大臣はどうなのだろうか?と思ったが、大丈夫なようだ。大臣はタバコに火をつけそれと一緒にメモ用紙を燃やした。

その時だった。ドアが乱暴に開かれ、数人の男たちが部屋へ入ってきた。

「お前たち、あるところから情報が入った。国を裏切る…と」

私は普通に驚いた。緑は訝しげな顔をするだけで、特に驚いている様子はない。そんな緑を見て落ち着きを取り戻し、改めて男たちを見る。どの人もテレビで何度も見かけるような人たち…大臣だった。

遅くなりました。

やっとの更新です、すみません。


すこし動きがありました…次話は年が明けてからになると思います。

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