宮越花江、守ります。-01
空に浮かぶ満月が、煌々と月光が輝かせていた、深夜の事だ。
女性・宮越花江は、その身にまとっていた衣服を脱ぎ捨て、たわわに実った二つの乳房を支えるブラを付けたまま、布団の上に身を預ける白のワンピースを着込んだ少女、神崎美咲に覆いかぶさった。
「だ、だめ、です。花江さん……っ」
「何がダメなの? 言ってくれなきゃ、お姉さん分かんないなぁ」
フフッと、大人びた笑みを浮かべた彼女は、ワンピースの裾を持ち上げ、美咲の白く、柄の無い下着を見据えた。
「マジで色気無いパンツね……まぁ、それが美咲っぽくていいけど」
「や……っ」
「や、じゃないでしょう? さぁ、お姉さんにどうしてほしいか、言ってごらん」
ペロリと、首筋を舐められて。美咲はビクッと震えながら、顔を真っ赤にさせて、懇願するような目で、言うのだ。
「……は、花江、さん。お願い、です……わ、私の……私の初めて……」
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ハッと、そこで目が覚めた。
神崎美咲は、いつの間にか布団に体を預け、眠っていた事を確認した上で、顔を真っ赤にし、何と淫靡な夢を見ていたのだと自分を責めた。
――共にショッピングをしただけの女性を、そんな色欲溢れる目で見て、夢にまで登場させるなんて。なんて自分はいやらしい女の子なのだろうと、そう考えた所で。
「あん……っ」
自分でも驚く位、色っぽい声が出た。
「あ」
「あ」
自分の上に覆いかぶさりながら、自身の首筋に吸い付く、一人の女性がそこに居た。
夢で見た、宮越花江だ。
彼女は「やっべ」と言いたげな表情で冷や汗を流しながらも、首筋を舐める行為を止めはしない。
その舌が身体を這う度に、ビクビクと体が震える事に、今気付いた美咲。
――夢だけど、夢じゃなかった。
「き……」
「を、をちちゅいて、みしゃき」
舌を這わせながら、何とか言葉を発しようとした花江だが、口を美咲の首筋に付けているものだから、上手く発音が出来なかった。
「きぃいいいやあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!!!」
「お、落ち着いてってば、美咲!」
「なななななんんあんあななああ、はははははは、花江、さささん? どどどど、どうして、こんな……!」
「あー、と……これには、川より深い訳があって……」
悩むように、髪の毛をかきながら言葉を探した花江だったが、しばし考えた後に溜息をついて、その場で正座した。
「美咲、今日何が起こったか、覚えてる?」
「ええええ、えっと……確か、花江さんとショッピングして……この、ワンピース買ってもらって……えっと」
「その後の事は?」
「あ、花江さんが財布を落としたので、それを届けようとした所で」
そこで、思い出したようにハッと意識を戻すと、花江も頷いた。
「あの後、美咲は気絶しちゃって、仕方ないから学生証に書かれた住所まで美咲を運んだんだ。マジ大変だった」
「そ、それはご迷惑をおかけしちゃって……」
「いや、それは全然いいんだけど、問題はね……美咲をアタシの仕事に巻き込んじゃったんだよね」
「仕事って……あの、巫女さんになるお仕事ですか?」
「それはそれで変な言い方だけど……うん、一応間違いはないから頷いとく」
彼女は、どこから話し始めれば良いか、と少しだけ思考を回しながらも、語り始める。
「アタシのやってる仕事はね、先祖代々から伝わる仕事なんだってさ」
「だってさ……?」
「いやー、歴史なんて過去の事なんか知らなくない? 別に興味もないし。で、その正式名称が【プリステス】」
「プリステス……そのまま、日本語訳で巫女、ですよね」
「あれ、そうなの?」
「知らなかったんですか!?」
「ガッコーなんて行ってなかったしねー」
アタシマジバカだし、と笑った花江は、そのまま語るのを止めない。
「んで、プリステスの仕事は、今日まさに戦った【災い】の討伐」
「災い……ですか?」
「そ。災いは人の生活を脅かす、火災・水災・震災とかを引き起こす存在で、いつの間にか生まれ、いつの間にか成長し、いつの間にか災害を引き起こしている。
で、災害を引き起こす前に災いを討伐する仕事が、アタシたちプリステスの仕事なの」
「災害を引き起こす存在を、討伐する……」
なんとも素っ頓狂な話を聞かされているが、美咲自身それと戦い、そして討伐したのが今日の出来事なのだ。それを一概に否定する事など出来やしない。
「花江さんはプリステスで、あの影みたいなものは災い……あの、それで何で、私がその、巫女さんになったのか……」
「あー、それなんだけど、それが一番重要って言うか、面倒って言うか」
困ったような表情をしながら語り始める花江。
「えっと、ママからの受け売りなんだけど、この世の生物は大なり小なり【虚力】って言うエネルギーを持っていて、災いはそのエネルギーを補給し、放出する事で災害を引き起こしているの。
人間も虚力を持ってて、今日渡した指輪を媒体に虚力を増幅・戦闘能力に変換し、戦うのがプリステス……なんだけどね」
美咲の胸元を指さして、花江は言う。
「昨日の戦いで消耗したアタシは、美咲の虚力を少し分けて貰おうとしたんだけど、美咲の体内にある虚力があまりにも多すぎて、逆にアタシの持ってる虚力が、ほぼ全部アンタに逆流しちゃったの。
結果アタシは戦えなくなって、常人の十倍以上も虚力に富んだアンタに、戦ってくれってお願いしたわけね」
「私に……そんな力が」
「んでもって、逆流した分を返してもらう為に、寝てる内に虚力吸っちゃおうと思ったんだけど……やっぱいきなり全部はむせちゃうからマジ無理。これから毎日、アンタの首筋吸わせてもらうから」
「ひゃ……っ」
首筋をツツゥ――と人差し指で撫でられ、ビクリと震えた美咲の表情を、どこか面白そうに見据えている花江。面白いオモチャを見つけた、と言わんばかりの表情である。
「毎日、気持ちよくさせてあげるから、楽しみにしといて」
「あ、あの……他に返す方法、無いんですか……?」
「無くは無いけど……もっと激しい事しないといけないからねぇ。したい?」
「も、もっと、激しい事……!?」
「うん。美咲が良いって言うんならするけど」
「ややや、止めときますっ! 首筋チューで良いです!」
「はい、よろしい」
美咲は初心だなー、と。彼女の頭を撫でた花江は立ち上がり、そして彼女の手を引いて、立ち上がらせた。
「お腹空いたっしょ。晩御飯作ってあるから、食べよ」
「え、作ってあるって……」
「うん、台所借りたよ」




