メリーゴーランド・追いかけっこ
メリーゴーランドの馬が柵を超えてから、ミクはずっと逃げ回っていた。それでも何とか逃げ切ったと思っていたミクは、一息ついていた。
「ふぅ・・・何とか逃げ切った・・・」
『おめでとう!逃げ切れるとは思っていなかったよ。体育が得意って聞いてたから、かなり早めに設定してたんだけど、まさかこの短時間で逃げ切れるとは思っていなかったよ』
そう言ったグレイの声はどこか嬉しそうで、聞いてるこっちもなんだかうれしくなりそうだった。
『それじゃあ、第二ラウンド、行く?』
「行くわけないでしょ」
そう言ったミクは、数分のうちにどこかやつれたように見えた。それを調整室から見ていたモナカやカイトから心配するような声が上がったが、放送のスイッチが入っていないため、ミクに聞こえることはなかった。
『あぁ・・・そんなにやつれて、大丈夫?ここまで来た人が稀だから忘れちゃってたよ・・・少し休憩しましょうか!』
本当はすぐに合格にしてもいいんですけどね・・・と思いながら馬を使ってミクを追い回すタイミングを計っていた。
_調整室_
「ミク・・・疲れてる・・・」
「でも、グレイだって本気は出さないはずよ。それどころか、優しいから癒されてほしいと思っているはず」
「そうね。でも、本当にそうかしら?あなた方が優しすぎるからここらへんで殺そうとしているのかも」
語尾に"♪”が付きそうな勢いで言ったランに、二人が呆れた顔をしていた。
「そういえば、あなたは知らなかったのね。ミクちゃんは、彼のお気に入りなのよ!」
それを聞いた途端、ランの顔色は真っ青になっていた。
「嘘ですわ!!まさか・・・彼のお気に入りなんて」
「それが、本当なんですよ。僕も聞いていましたから。・・・でも、カイトさんはその時いませんでしたよね?どこにいらしたんですか?」
「あら。キョウじゃない!私の気持ち、もちろん受け取ってくださいますわよね」
「申し訳ないのですが、丁重にお断りさせていただきます。僕ではあなたにふさわしくないでしょう」
いきなり始まったこのやり取りに別段驚くほどでもなく、二人は見守っていた。ここだけの話、ランはキョウに一目惚れしていた。そして何度も求婚をしているのだが、キョウはうまくかわしている。
「本当に、器用よね。一体どうしたらあんなにかわせるのか、謎でしかないんだけど」
「キョウ・・・器用・・・うらやましい」




