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第六話 “今の私” 最終話
虎落笛が響く。
あなたがいなくても当たり前に時間は過ぎ去り、人々は前に進んでいく。
それでも、私の中にあなたはずっといる。
もしもあのとき、私が外に出なければ。
——声を出さなければ。
彼の戦いは我流で、その動きはとても野生的だった。
だから咄嗟に見えた姿は化物に近かった。
最後に感じた彼の温もりは今でもはっきりと覚えている。
気持ちを伝えることはできたけれど、後悔は絶えず思考を蝕む。
彼は最期まで私を好きでいてくれた。
そんな彼を殺したのは誰……?
神月雷羅。
神月があの場にいなければ。
神月が対等に戦っていれば。
そして——。
私も“子”としての力を扱えていれば。
彼を救えたのに。
そんな思考を繰り返し、やがて脳が焼ける。
……私の後ろから影が伸びる。
それはドロドロとした姿から始まり、形になって現れる。
顔と思わしき箇所を見ると、その“何か”からは笑みがこぼれていた。
でも、不思議ではない。
何故ならば。
横にある鏡に映る自分は……口角が上がっていたのだから。




