首長会合1 - Majlis of Sheikhs - 3
◯カナン地区・アル=マワシ沿岸地帯・中央部(朝)
朝の光が、びっしり張られたテント群を照らし始める。
テントの外で目を覚ましたユスフ、両腕を上げて大きく伸びをし、首をコキコキ鳴らす。
ふと、右腕に鋭い痛みが走る。
「痛っ、こいつめ」
食いついていた蟻を払い落とす。
「きゃああ!」
テントの中から女の子たちの悲鳴があがる。
カリド、跳ね起きる。
「どうした!? 何があった!?」
テントに呼び掛ける。
テクラが、テントの中から顔を出す。
「サソリが、テントに入り込んでいて…」
女の子1「イヤーっ」
女の子2「早く出してー!」
男の子がサソリを桶に追い込み、外のカリドに差し出す。
桶を受け取ったカリド、ナイフで一突きにする。
ユスフ「…暑くなってきたから、虫もわいてきやがる。
野宿はきつくなる一方だぞ…」
◯アル=マワシ沿岸地帯・中央部・テント(午前)
ヘナン「さあ、虫と砂埃を掃き出してしまいましょう!」
ライラ「皆の洗濯物も出してね」
女教師と女の子たちが、テントの掃除と洗濯に取りかかる。
男の子たちと、ヤット、ミロは、水を汲みに出かける。
◯アル=マワシ沿岸地帯・南東部
桶を手にした男の子たちを連れ、ヤットとミロ、井戸へ向かう。
ヤット、行き交う避難民を眺める。
「人が増えたな」
砂丘地帯に収まりきらないテントが、浜辺まで広がっている。
テントを張るスペースを確保できず、砂地に寝ている家族も多い。
ミロ「人が増えると…水や炊き出しの待ち時間が増えるな」
井戸の前には、順番待ちの長い列ができている。
列に加わると、男の子たち、桶を地面に置く。
ヤット、男の子たちに促す。
「俺とミロが並んでいるから、順番が来るまで、行ってきな」
男の子たち「うん!」
ミロ「焚火の燃料探しも忘れるなよ!」
男の子1「わかってるよ、ミロ兄ちゃん」
男の子2「なあ、またビラを探しに行こうぜ」
男の子1「あれ、よく燃えるよな」
男の子たち、シオン国が撒いたビラを探しに駆け出していく。
ヤット、男の子たちを見送りながら、
「弟がたくさんできたみたいで、いいな」
「そう? あいつら、生意気だよ」
言いつつも、ミロ、まんざらでもなさそうな顔をしている。
砂丘の向こうから、カリドとユスフが足早にやってくる。
ユスフ「よっ、並んでるな」
カリド「子供たちは薪を探しに行ったか」
ミロ「なんでここに? 食料の買い出しは?」
カリド「さっき、布令が出てな。知らせに来た」
ユスフ「今日の午後から銃の訓練が始まる。
それまでに戻って来いよ」
ヤット、驚く。
「銃の訓練!?」
ミロ「どうして急に?」
ユスフ「さあな。
だが、訓練に参加すると食料が貰える。
参加者一人につき、大人2食分と子供2食分。
全員分を賄える量じゃないが、参加しない手はないだろ」
カリド「お前たちも銃の扱いに慣れておいたほうがいい」




