第13話 エルフの青年と魔導具屋
修正済み
エルフィは突如、胃の不快感と共に目が覚める。そのまま急いでトイレに向かい不快感は最高潮に到達し、トイレと向き合う羽目になった。
(なぜこうなった...何故だ....何故なのだ.....)
私は胃の不快感に耐えながら昨日の出来事を思い出す。
そう私は昨日、浴びるほどに酒を飲んでしまった。たかが年下(見た目的に)の青年に飲み負けるなんて必要も無いプライドが許さなかったんだ!これが私のバカな意地だと言うのはもちろん分かっていたが私は挑んでしまったのだ.....。
よくよく考えれば彼が竜族の血を引いてるなら酒にかなうわけないんだ、彼らは毒物やアルコールに対して高い分解能力を有しており竜族が酒飲みで有名なんて当たり前のことじゃないか.....そのことも深く考えず挑んだ私こそ本当にバカなんだ。それも瓶3〜4本分も飲むなんて私はバカなのか?多分その場のノリと変な意地でどんどん呑んじゃったのは想像にかたくない、マジでやらかした....。
今日新メンバー来るのに朝イチからトイレで「懺悔」してるなんて話にならない。
あぁ、今一度私の肝臓がリザレクションしないかなぁ、うっまた波が来た...うあぁぁぁぁ.....。
私は1時間ほどトイレで懺悔を終えて慌てて時計を確認する。
(は!?もう8時半過ぎてる!?これはやばい、新メンバーが来るのが9時からで今から着替えとメイクをして車で一番近くのゲートに向かっても絶対に9時に間に合わない.....終わった。もうお終いだァ.....いやそんなうつ伏せてないで急いで用意しなくては!)
私は速攻で着替えてメイクは軽くで済ませ、車に乗り近くのゲートまで向かう。
(あぁもう!なんでこんな時に限って信号に引っかかるの!?最悪すぎる.....)
いつもの駐車場に停め急いでゲートへ向かい、特務機関の中に入るとみんなはもう働き始めている。
エントランス中央の時計を見ると時刻は9時10分を示している。
(うわっ、もう来てるじゃん.....)
私はボスの執務室兼私達メンバーが使う大部屋へ向かい、勢いよく扉を開け私は誠心誠意謝る。
「遅れてすみませんッ!!」
頭をあげるとそこにはまさかの人物がいた。
「うん?」
「おや?」
「えっ!?」
「えっ、弱腰くん?」
そこには昨日出会ったばかりの弱腰くんとアルバートさんがボスと会話をしていた。
―――――――――――
(ボスと会話していると突如バタンッ!と扉が開き慌てて現れたのは、まさかまさかのエルフィーネさん!?
えっ?なんでエルフィーネさんがいるの?てか昨日あれだけ飲んでたのによくこんな時間に起きれたな。いやそこじゃないだろ自分、なぜ彼女が今ここにいるのかが重要だ)
「エルフィーネ遅かったじゃないか、いつも予定時間に早く来る君が遅刻なんて珍しな」
ボスはエルフィーネに話しかける。
「いやその件については昨日...なんというか、そのぉちょっとお酒を飲みすぎましてね?だから許していただけたらいいなぁって思うんです」
「はぁ、今回は特に重要なミッションとかじゃなかったからいいがこれからは気おつけるんだぞ?」
「以後このような失態を犯さぬよう誠心誠意働かしてもらいます」
彼女はすごく平身低頭でボスに謝っている。
アルが彼女対してにどう声をかけていいものか悩んでいると自ら話題を振ってくる。
「それはいいとしてもしかして君たち知り合い?」
「まぁ一応知り合いですかね」
アルが曖昧な返事を返すとアルバートがボスに説明してくれる。
「ええそうですね、昨日アルが財布をスられてしまい彼女が取り返してくれたのです。その後助けていただいたお礼にディナーにお誘い致しましてね。彼女が今日、お酒の酔いにより遅刻したのは私たちが関係しておりますので彼女を許してやってください」
アルバートがエルフィーネとの関係を説明しながら自然に彼女のことに対してフォローを入れている。エルフィーネはそのことを聞いて手を合わせアルバートに向かって祈っている。
(いやどんな状況だよ)
つい心の中でツッコんでしまう。
まさか彼女が組織の人間だったのはさすがに予想外だ。ここの組織で働くといことは彼女もまた戦う力を持っているのだろうか?
そこは気になるがまた後で聞けばいいだろう。
「そうか、君たちの関係性については理解した。うちの組織に入るにあたって龍王国から来た君達には機動部隊Ω-12《インカネーションの監視者》に所属してもらう、がアルとアルバートさんではそれぞれ役割が異なる」
ボスはそう言い指を二本突き出す。
「まずアルバートさんには内部の仕事に就いてもらう。その理由としては最近人材不足でな、内部の書類関連の仕事ができる人材が少ないのなんのって、うちはほんと脳筋ばっかで疲れる」
ボスは困った様子でため息を吐く。
「そのため龍王国で元軍人で内部関係の仕事にも通じているアルバートさんが適任ってことでまず一つめ」
「次にアルくんには外部行動の任務に就いてもらおうと思ってる。君が内部の仕事が出来ないって言ってるわけじゃないぜ?君にはこの街のことを知ってもらい直にこの都市が抱え込んでいる問題を知り、それに対応して欲しい。君は良くも悪くも若いからな、若い人は現場に出て現場の空気に慣れる必要があるから、そうして死線を乗り越えた先に自分の成長に繋がる何かがあると思うから理解してもらえると助かる」
ボスはアルに対してボスなりの思いがありアルを外部行動の仕事に就けるらしい、死線がナントカという恐ろしい言葉が聴こえたが。
「それに伴って君にはバディを組んでもらう。うちの外部行動チームは二人一組の構図で動くようにしててな、ちょうどそこに相棒おらずの一匹狼がいるから君と組んでもらおうと思う。それに君たち知り合いなんだろ?ちょうどいいと思うんだよなぁ」
まさかボスは突拍子もないことを言い出す。
エルフィーネとバディを組めと言ってきた。そんな新人のお守りみたいなことなんて彼女が許すはずが無いに決まってるだろう。
「ちょっ!?ボスそれは勝手すぎませんか?これでも私一人でも仕事こなして来ましたよね?なにか問題あるなら修正するのでどうか御検討の程よろしくお願いします。新人の命預かるなんて重すぎるし......めんどい..ボソ」
(おおっとこれは聞き捨てならない言葉が聴こえたぞ?この人、新人の命預かるなんて重いって立派な建前言いつつも最後に小さな声で僕の面倒見るのが嫌って私的な理由言いやがった.....仕事なんですしそれはないでしょう?さすがに傷つくわ!)
なんて心の中で一人茶番劇をしているとボスが彼女に反論をする。
「はぁ、いい加減バディ組みなよ。今までみたいに臨時のバディだけでは君もやりづらいだろ?それに彼も新人と言っても龍王国が推薦して送ってきた人材だ。そんな彼が君の足を引っ張ることもないと思うぜ?それに別に中が悪いってわけでもないんだろ?それなら諦めてバディを組め」
ボスはエルフィーネさんに言い放つ。
「いやそれでも.....」
「給与半減」
「誠心誠意新人の教育を有難く務めさしてもらいます」
ボスの魔法の一言により全て解決する。
さすがボス、侮れない人物だ。
「エルフィーネそう言えば君、レプラの元へ行くんだろ?それなら五番街を紹介するついでに彼を連れて行ってあげたらどうだい?」
「りょーかいボス、それじゃ私達行くね」
「ああ、行ってらっしゃい」
聞き手に回っているとあっという間に話が進みアルはエルフィーネに引っ張られながらボスの部屋を後にする。
「エルフィーネさん今からどこに向かうんですか?」
「うん?ああ、さっき話にあった通り今から五番街に行くから」
「五番街?」
「職人街と呼ばれる場所だよ。特注の魔導具を頼んでいてね。今日整備が終わる手筈になっているからそれを取りに行く予定」
「了解エルフィーネさん」
「それといちいちフルネームで呼ぶのもめんどいでしょ?バディになったんだからエルフィでいいよ」
「いいんですか?」
「ああ私は別に気にしないし、もし何かあった時、長々とフルネームで呼ぶよりも呼びやすいだろ?だから略称でいいよ、私は君のこと弱腰くんって呼ぶから」
愛称で名前を呼ぶことを許してくれるぐらいには信頼されてるらしい。エルフィと話しながら長い廊下を歩いているとひとつの扉の前に辿り着く。
「ここが五番街に繋がるゲートだから覚えておきなよ?」
「僕が入ってきたゲート以外もあるんだ」
「いついかなる時でも都市のあらゆる場所に行けるように複数のゲートが街中に潜んであるからね、そろそろ行くよ」
エルフィがドアノブをひねり魔術を発動させ、扉を開けるとそこはすごい熱気と職人達の怒号が響き渡っている。
「ここが五番街、鍛冶と魔導技術が集う街"太陽の高炉"さ」




