花の野望
レオンさんの果樹園の隅で、朝顔に似たツルをのばす花を見つけた。
5㎝くらいの赤い可愛い花をたくさん咲かせている。
「カイル、綺麗な花だね」
「ルカ、見て。蕾は青色や黄色だ。3色の花が咲くんだね」
「カイル、お花好き?」
「うん。ルカと一緒にお花を見るのが好き」
くぅっ。そんなこと言われたら萌えるじゃないの。
今日も最強に可愛いわ、カイル♪
なんて、二人でほのぼのと花に魅入っていると、
しゅるしゅるるる…! キリキリキリッ!
突然伸びてきた花のツルに、カイルが巻かれ捕まった!
「うわっ! ルカほどいて!」
「カイルに何するの!」
ツルを引っ張ってほどこうとするけど、ツルはカイルを捕まえ離さないし、花まで伸びてきた!
チュッ、チュッ、チュッ♪
花は一心不乱にカイルの頬にキスを繰りかえす。
まさか、花からキス攻撃を受けるとは!
カイルの美貌は、花をも狂わせてしまうらしい…。
はっ! カイルのモテモテぶりに感心している場合じゃないわ! 助けなきゃ!
「花さん、カイルを離しなさい。さもなくば、風の刀でそのツルを切っちゃうわよ!」
花を恐喝する日が来るとは思わなかったわ ^^;
しゅるるるるるっ! キリキリキリッ!
「ルカまで花に捕まってどうするんだよ~!」
「ごめ~ん!」
説得が通用する花ではなかったのね!
そのまま、ツルは空高く、どんどん伸びていった!
雲に近づいていく。どこまで行くの~?
「ルカ、僕の家があんなに小さく見える」
「こんな高いところまで私たちを連れてきて、どうするつもりなのかな?」
両腕を縛られなす術なしの私たちは、空中からの景色を楽しむほかなかった。
そして、花は目的物を見つけたのか、今度はそれにツルを伸ばして捕まえた!
「なんだなんだ!」
突然、花のツルに捕獲されたヘリコプターの操縦士は大慌てだ。
「助けてくださ~い!」
操縦士に助けを求めると、操縦士はドアを開けて、私とカイルをヘリコプターに乗せようとしてくれた。
そして、その瞬間を待っていたかのごとく、花も乗り込んできた。
ちゃんと、ヘリコプターの座席に座りやすいように、ツルや茎を短く収縮して1mくらいの大きさに変化していた。
ヘリコプターに乗った花はご機嫌で座席に座り、窓に張りついて外の景色を楽しんでいる。
「お花さん、ヘリコプターに乗りたかったの?」
私が訊くと、花は振り向いて大きく頷いた。
私やカイルが一緒だったらヘリコプターに乗れるって、思ったのかな?
「ルカ、見て! 森や泉が見えるよ! この間のお花畑も!」
「空から見る景色って、きれいだね♪」
ツルから解放された私とカイルは捕まって怖かったことも忘れて、予想外の空中散歩を楽しんだのでした♪




