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感涙

 泉から家への帰り道は、小虎カイルが歩いていたから、レオンさんは私を肩車してくれた。

 視界が高くて、いつもと違う景色が新鮮な感覚だ。


「レオンさん、夕焼けがとても綺麗…」

「そうだな」


 紫と桃色と朱色のグラデーションに染まる異世界の景色を、幻想的な雲を、やさしい風を、レオンさんとカイルと一緒に見た夕焼けを、私、きっと忘れない。

 この瞬間は、ずっと私の心の宝物だよ。


「重いでしょ、降りる」

 肩から降ろしてもらって、レオンさんと手をつなぐ。本当のお父さんみたいだ~。


 家に帰ると、アーシャさんが夕食を準備してくれていた。幸せだなぁ。


「ルカちゃんの着替えを作ってみたの。着てくれる?」


 にこっと笑ってアーシャさんは数枚の着替えの服や肌着を見せてくれた。

 フリルやリボンが付いた可愛いデザインの服たち。こんなにたくさん作ってくれるなんて。

 あなたは天使ですか?きっと天使に違いない!


「ありがとうございます~…」

 感動と感謝で涙と鼻水が止まらない。孤児の私は、誰かにこんなに優しくされたことが無くて。


「ルカ、泣き過ぎ」

 レオンさんが笑いながら涙を拭いてくれる。

 カイルが頬をなめてくれる。


「ありがとう、アーシャさん。このご恩は一生忘れません…」


「小さい子がそんなに気を遣わなくていいのよ。外は暑かったでしょう?カイルとお風呂に入ってくる?」

「はい、そうします。行こう、カイル」


 魔法でカイルと自分を全身洗浄してから、一人用くらいの浴槽にカイルと一緒に入る。

 異世界の虎は、水も湯も嫌がらないのか、ご機嫌で湯船に浸かっている。

 カイルと充分温まって、濡れたカイルと自分の体を魔法で乾かして、アーシャさんが作ってくれた服を着た。

 とっても可愛いので見てもらおうと思ってアーシャさんのところへ行こうとすると、カイルが行く手を阻む。


「なんで?カイル」


 ちら、とキッチンのほうを見るカイル。

 そぉっと見てみると、レオンさんとアーシャさんが2人の世界にどっぷりはまり、肩を組み見つめ合って仲良く話していた。


 なるほど。

「パパとママの邪魔しないように、私の部屋に行こうか」

「キュルル…」


 部屋に入り、カイルともふもふじゃれていたら、急に感触が変わった。


 目の前で、美形の幼い男の子が微笑んでいる。


「僕、人の姿に変身できるようになったんだ」


 え~~~っ?!

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