27 危機感のなさすぎるギルド観光
銀色の塔のダンジョンの周囲には露店が立ち並んでいるが、緊急事態につきその多くが店じまいで大忙し。
店主たちは我先にと商品を片づけて逃げ支度をしており、荷物を両手に抱えてすでに逃走を始めている店主までいる。
対して、鉄のフルプレートを着こんだ兵士と思わしき集団が、
「そこをどけ、邪魔だ、道を開けろ!」
と叫びながら、俺たちの近くを隊列を組んで走っていった。
剣や槍を構えた集団で、すぐにでも戦闘態勢に入ることができるという物々しさ。
(俺、しーらねっ)
この事態を巻き起こしてしまった元凶としては、知らないふりしてすべてやり過ごしてしまいたいね。
「まったくだな」
と、アリオスの奴も同意していた。
しかしどうしたものか。
これではダンジョンの周囲にいたら、俺たちにとって返って危ないことになるかもしれない。
そもそも俺はモンスターだし、アリオスの奴は俺のスキルで作った存在だ。
鑑定では種族が人間になっているけど、もし誰かに調べられれて、「貴様、人間ではないな。このモンスターめ!」なんて言われて殺されてしまっては一大事だ。
「よし、逃げよう」
(うむ、逃げよう)
というわけで、自己保身のためにも俺たちはもっと遠くへ逃げることにした。
なーに、大丈夫だ。
大結界が破壊されたからって、ダンジョンの中から強力なモンスターが出てくることなんてないんだし。
まあ、俺もダンジョンの中のことはあまり詳しくないから、確実とは言えないけれど。
それでも多分大丈夫だから、平気さー。
根拠なく適当に言いながら、俺とアリオスはとにかくこの場をあとにした。
と、逃げることを選択した俺たちだったけど、走っている先で建物を見つける。
「なんだろう?」
この辺りにあるのはどれもこれも露店ばかりだったけど、そんな中に珍しく石造りでできた立派な建物があった。
気になるなー。
でも、お前たち逃げてる最中なんだけどな。
でも、気になるなー。
前世の俺って基本的に高い理想や目標があって生きていたわけでなく、仕事をしてあとは、その日その日を適当にダラダラ、ブラブラと生きていただけの人間だ。
だから、目の前に気になる物がある危機になっちゃうなー。
おまけに、平和な日本に住んでいたわけだ。
なので危機感のなさは、胸を張れるぐらいにない自覚がありますぜ!
てなわけで能天気な俺、そしてその俺と同レベルの危機感しかもっていないアリオスは、2人してその建物のことが気になった。
建物の傍にある看板には、
『銀の塔ギルド派出所』
と書かれた文字が。
日本語でなく異世界文字だけど、普通に読めた。
「言語チートだ」
(そしてギルドだとさ)
看板の文字に目を奪われてしまい、この場から逃げようとしていた俺たちの足は速くも止まってしまった。
「気になるから、ちょっとだけ中を覗いてみるか?」
(だよなー、気になるから仕方ない~)
逃走、ハテ一体何のことでしょう?
俺たちは早くも、単なる観光客モードへ戻ってしまった。
そしてアリオスがギルド派出所の正面を、キョロキョロ覗いてみる。
「邪魔だ、突っ立ってないでドケ!」
「うおっ」
なんてしてたのが悪かったらしい。
アリオスは後ろから来た筋骨ムキムキのおっさんに、片手で突き飛ばされてしまった。
「いつつっ」
地面の上にあっさり転ばされてしまう。
筋肉おっさん力ありすぎ。
「なんなんだよ、あのオッサン」
(建物の出入り口でキョロキョロしてるお前が悪いだけだろう)
おっさんはギルドの中へ入っていったけれど、アリオスはおっさんの態度に文句を言っていた。
(ところでアリオス君や。いい物を見つけちまったぜ)
「何を……マジか!」
並列存在スキルによって、俺とアリオスの感覚は共有されている。
だから俺がたった今影空間の中を片手間で漁っていたら、偶然見つけてしまったアイテムに気づいたようだ。
そのアイテム名は、ギルドカード。
しかもそれは、オリジナルのアリオスが所持していたと思われる、ギルドカードだった。
すでに死んだ人間のギルドカードだけど、ここは俺たちが有効利用させてもらうことにしよう。
なーに、死人に口なし。
そもそも死んだオリジナルのアリオスの体は俺が食べてしまったわけだから、死体すらもう出てこない。
だから、本物のアリオスが死んだことを知ってる奴なんて、俺たち以外誰もいないって。
「お前さ、犯罪者の思考になってないか?」
(気にするな!俺はすでに人間を食ったモンスターだぞ)
「そういえばそうだったな」
別に好きで人間を食ったわけでなく、視界ゼロの状態でモグモグしてたら、勝手に人間を食ってただけなんだけどね。
それでも、もしこの世界に業なんて数値があったら、俺って確実にマイナスだよな。
それも、ちょっとやそっと出だせない数値だと思う。何しろ、生命創造なんてことまで、すでに数回しているから。
それはともかくとして、俺は影空間の中から、オリジナルのアリオスのギルドカードを取り出した。
それを俺の並列存在が動かしているアリオスが受け取った。
カードに書かれていたのは、アリオスの名前と職業が剣士ということ。あとはギルドランクがFということだけ。
ステータスの表記はなく、かなりシンプルだ。
もっとファンタジーっぽくいろんな情報が書かれてるんじゃないかと、期待してたんだけど。
とはいえ本物のギルドカードだから、これさえあればギルドに入るのも問題ないはず。
というわけで、いざギルドへレッツゴー。
「緊急依頼、銀の塔大結界が謎のモンスターによって破壊されました。Cニンク以上の冒険者はただちに銀の塔前の広場に集合してください。繰り返します、銀の塔の大結界が……」
ギルドに入ったら、何やら美人のお姉さんが大声で叫んでいた。
そして周りにいるギルドの冒険者と思しき連中が、それぞれに話し合っている。
「大結界の破壊だと!一体どんなモンスターが出てきたんだ!?」
「チクショウ、これから帰ろうって時に緊急依頼とかついてねえ」
「Cランク以上って、滅茶苦茶ヤバい事態だよな」
なんだか話を聞く感じ、ただ事でない雰囲気だ。
まあ、原因は俺なんだけどさー。
「あら、アリオス君じゃない。今はCランク以上の緊急依頼で忙しいから、また今度ね」
なんて周囲の声を聴いていたら、ギルド員の前で声を上げているのとは別の美人お姉さんに、アリオスが肩をポンと叩かれて気軽に話しかけられた。
もっとも美人お姉さんはそれだけ言うと、受付の方へ行ってしまい、居並ぶ冒険者たちに向かって、
「直ちにCランク以上の冒険者は銀の塔広場前へと集合してください。これは緊急事態です!」
と、叫んでいた。
予想できて当然のことだけど、オリジナルのアリオスにはダンジョンの外に知り合いがいたわけだ。
今までに判明しているステータス ()内の数字は判明した話数
―――本体
ステータス
名前 カズキ サイトウ (斎藤一樹)
種族 シャドウ
職業 迷宮の掃除人
レベル 1650
・初期スキル
捕食 (プロローグ)
吸収融合 (プロローグ)
物理攻撃無効化 (プロローグ)
影空間 (プロローグ)
・武器補正スキル
棍棒術 (プロローグ)
剣術 (プロローグ)
槍術 (プロローグ)
鎌術 (17)
弓術 (プロローグ)
クリティカル (5)
毒攻撃 (プロローグ)
音波攻撃 (4)
精神汚染 (17)
即死攻撃 (17)
・防御補正スキル
盾防御 (プロローグ)
・身体能力補正スキル
筋力増加 (プロローグ)
防御力増加 (プロローグ)
魔力増強 (14)
聴覚強化 (4)
嗅覚強化 (4)
・感知スキル
遠視 (5)
千里眼 (5)
万里眼 (5)
魔力気配察知 (5)
感応 (5)
・体質補正スキル
粘液 (プロローグ)
増殖 (7)
分裂 (7)
不死者 (プロローグ)
霊体 (17)
・自動回復スキル
HP自動回復 (プロローグ)
MP自動回復 (プロローグ)
MP自動完全回復 (8)
・移動補正スキル
ジャンプ (プロローグ)
影移動 (11)
影跳躍 (11)
地行術 (11)
・魔法スキル
炎魔法 (プロローグ)
氷魔法 (プロローグ)
氷魔法 (プロローグ)
風魔法 (プロローグ)
土魔法 (プロローグ)
闇魔法 (プロローグ)
深淵魔法 (17)
回復魔法 (プロローグ)
精神魔法 (17)
死霊魔法 (プロローグ)
呪文短縮 (5)
無詠唱 (5)
・耐性スキル
打撃攻撃耐性 (プロローグ)
打撃攻撃無効化 (7)
斬撃攻撃耐性 (プロローグ)
炎耐性 (プロローグ)
炎攻撃無効化 (プロローグ)
水攻撃無効化 (7)
氷耐性 (プロローグ)
氷攻撃無効化 (プロローグ)
光弱点 (17)
神聖弱点 (17)
闇耐性 (17)
精神耐性 (17)
睡眠無効 (4)
恐怖耐性 (12)
恐怖無効 (12)
痛覚無効 (16)
即死攻撃無効化 (17)
・魔眼系スキル
魔眼・発火 (プロローグ)
魔眼・氷結 (プロローグ)
邪眼・麻痺 (13)
|邪眼・石化(ストーンアイ (13)
・結界系スキル
結界通過 (25)
結界破壊 (25)
・オーラ系スキル
隠密 (5)
威圧 (プロローグ)
王者の覇気 (プロローグ)
闇のオーラ (13)
・指揮補正スキル
指揮 (プロローグ)
眷属支配 (プロローグ)
眷属従属 (プロローグ)
・思考スキル
並列思考 (6)
並列意思 (6)
並列存在 (6)
・捕食系スキル(15話より新設)
暴食 (プロローグ)
神食い (15)
半神食い (15)
邪神食い (15)
悪神食い (15)
魂食い (17)
・日用生活
子守り (15)
・称号スキル
転生者 (プロローグ)
階層主(80階層) (プロローグ)
異界の魔王 (プロローグ)
禁忌 (13)
背信者 (13)
大魔導師 (14)
大賢者 (14)
魔導四天王 (14)
・その他
鑑定 (プロローグ)
生命創造 (7)
死霊創世術 (17)
咆哮 (プロローグ)
死者の咆哮 (プロローグ)
・影空間の保有アイテム
薬草 (プロローグ)
木の杖 (プロローグ)
ネクロマンサーの秘術書 (プロローグ)
ドラゴンメイル (プロローグ)
魔道金属 (プロローグ)
ネクロマンサーの呪術ローブ (10)
スケルトンナイトの鎧 (10)
エルウィンローブ (10)
赤竜のマント (10)
マグマ (10)
ドラゴンスレイヤー (12)
ゲイボウ (12)
血濡れの大鎌 (12)
土 ○○Gトン (?)
低級HP回復ポーション ×320M個 (22)
中級HP回復ポーション ×120M個 (22)
高級HP回復ポーション ×260M個 (22)
低級MP回復ポーション ×195M個 (22)
中級MP回復ポーション ×120M個 (22)
高級MP回復ポーション ×98M個 (22)
―――アリオス
名前 アリオス ラグネス
種族 人間
職業 剣士
レベル 12
ギルドランク F
スキル
剣術Lv2、体術Lv2、短剣術Lv1、盾防御Lv1、剥ぎ取りLv1
装備
ダウェロークリナのジャケット (防御増加:中)
ダウェロークリナの制服 (防御増加:中)
ダークオーガの革ズボン (防御増加:中、物理攻撃耐性:小、闇耐性:小)
黒虎革の靴 (防御増加:小、敏捷増加:小)
黒棺教団のグローブ (闇魔法吸収効果:微弱)
ダウェロークリナの首輪 (全魔法耐性:小、自動HP回復効果:小)
リストニア騎士団正式採用黒ベルト (自動MP回復効果:小)
空間拡張機能付きレッグポーチ
所持アイテム
高級HP回復ポーション ×20個
高級MP回復ポーション ×20個≫




