18 ハイテンションなソールイーター先生
前回、スキル死霊創世術によって生み出した魂食い先生だけど、その外見は黒いローブを纏って、武器に巨大な大鎌を持っている。
死神というモンスターは別に存在しているけど、ソールイーター先生の外見は死神と言われても全く問題ない風貌だった。
ただ作り出したのはいいけれど、肝心の俺を殺した連中がいなくなっていた。
『まさか我の存在に怖気づいて逃げ出したのか!』
(いや、違うと思うなー)
死霊創世術でソールイーター先生を作るまでの間、俺には視界確保要員がいなくて、外の世界のことが全く見えてなかった。
作るまでに時間がかかったようで、その間に俺の仇はどこか別の場所へ去って行ってしまったわけだ。
そういえば、俺がゴブリンの死体をモグモグし終える時間だってあったわけだしなー。
その間にどこかへ移動されても仕方ない。
視界確保要員がいるときは問題ないけど、どうもシャドウ単体でいるときの俺って、時間経過に対してかなり鈍くなってる気がする。
ちょっと考えてるだけのつもりが、気が付けば1、2時間とか平気で経っていそうだ。
これもモンスターになってしまった影響かな?
とはいえ、俺を殺した連中はすっかり影も形もなくなっていた。
『ジーザス!俺の復讐がー!』
(あんた見た目がどう見ても死神なのに、ジーザスはないだろう。ジーザスって英語読みだとイエス・キリストのことだからな)
『ウガガガ。せっかく暗黒魔道の力を手にしたというのに、使い道がないではないかー!』
暗黒魔道って、闇魔法と深淵魔法のことかな?
ソールイーター先生の魂を乗っ取った並列存在は、相変わらずテンションがおかしい。
無駄に高い戦闘力を手に入れたせいで、人格に歪みが入りまくってるなー。
『ムムッ、そこにいるのはハウンドドッグか!とりあえず死にさらせ!』
やたらテンションが高いままのソールイーター先生は、手に持っていた大鎌をぶん投げて、たまたま近くを通りかかっていたハウンドドッグへ襲い掛かった。
鎌はグルグルと空中を回転していき、見事ハウンドドッグの体に命中。
『グハハハッ、血塗れにしてやったぞ』
(ウヘエッ、グロイ)
あまりにも鎌が巨大だったため、ハウンドドッグの姿は見るに絶えない肉塊へ変わっていた。
体の半分くらい、原型とどめてないんだけど……。
――モグモグモグ。
もっとも八つ当たりで倒されたハウンドドッグは、その後シャドウの本能に従って俺がきっちりいただいておきました。
グロイの勘弁して欲しい。
でも、シャドウの本能には逆らえないやー。
そうしてお食事が終わると、俺とソールイーター先生は、再び人里探しの旅を再開することにした。
復讐?
何それおいしいの?
そんなことはもう忘れちまったぞー。
とはいえ、ここには目には見えない透明な壁があることだし、本当に人里なんてあるのかな?
いっそゲームみたいに、本当にダンジョンの中だったりして。
そういえば俺の職業だって、迷宮の掃除人ってついてるぐらいだ。
ここがダンジョン内部と言われても、ファンタジー異世界の法則かなんかで割とありそうだ。
『ガハハハ、くらうがいい深淵魔法!』
『脆い脆すぎるぞ、雑魚どもがー!』
『我が闇の力によって、貴様の魂を引きずり出してくれる!』
なお、ソールイーター先生は相も変わらずハイテンションでいらっしゃる。
行く先で見つけたモンスターたちを、片っ端から魔法で攻撃し、鎌で一撃で薙ぎ払い、一方的に無双していた。
ハウンドドッグやゴブリンが集団で出てきても、鎌を横に一閃するだけで、バタバタと敵が切り裂かれて倒れていく。
(しかし、ソールイーター先生。あなた俺と同じ人格なんだよ。前世では年齢40が近かったのに、中二病全開のセリフを恥ずかしげもなく大声で叫び続けるのはやめてくれよ。恥ずかしいんですけど)
――モグモグモグ
『そうやって偉そうに説教しているが、本体よ。お前さんも本能のままに、俺が倒したモンスターを食っているではないか』
(や、やかましー。本能に抗えないんだよー)
なんというか、俺ってどうしようもない人間の気がしてきちゃった。
シャドウの俺はこんなだし、ソールイーター先生もこんなのだ。
……ま、いいや。
人生深刻に悩んでも、毛が抜けるだけだから気にしない~。




