12 アリオスVSモンスター
――ガルルルルルッ
異世界ライフを舐めてました。
モンスターがいる世界で野宿するってことは命懸けなんだって、現在進行形で体験中。
さて、夜中になってアリオスは寝静まっていたんだけど、そこにオオカミのような鳴き声が聞こえてきたので、大慌てで起きた。
そして暗闇から現れたのは、大型犬を連想させるモンスター。それも単体でなく複数いる群れだ。
鑑定を使えば名前とステータスが分かるのだけど、残念なことに人間のアリオスは鑑定スキルを所持していない。
そしてシャドウの俺は視覚がないので、近くにいるモンスターを鑑定にかけることができなかった。
「ちょっ、まずい。武器、武器武器武器!」
突然のモンスターの襲来に大慌てになるアリオス。
なお、事前に"銅の剣"というアイテムが、影空間の中にあったので、それを出してもしもの場合に備えておいた。
なお影空間の中には、ドラゴンスレイヤー、ゲイボウ、血濡れの大鎌なんて仰々しい名前の武器もあるけど、これらは全部アリオスの身体能力では持つことができなかった。
特に血濡れの大鎌なんて、
「い、命をすわれる……」
なんてアリオスが大げさに言っていた。
呪いの武器かな?
まあ、影空間に保管していたシャドウの俺には、呪いの効果なんてなかったけど。
そもそもレベル1000越えだから、HPを少々削られる程度の武器じゃ全く効果がないだろうけど。
HAHAHA。
と、笑っている場合ではない。
――ガオッ!
アリオスに向かって、犬型モンスターが飛び掛かってきた。
「く、来るなー」
それに対して叫び声……というより、女の子みたいな悲鳴を上げるアリオス。お前さ、俺なんだからもっと男らしくしろよ。
と、シャドウの俺は思わず突っ込んでしまう。
――ザシュッ
だけど女みたいな悲鳴を上げながらも、アリオスが振るった銅の剣が、見事犬型モンスターの体を引き裂いた。
前世での俺はもちろん腱なんて握ったことはない。
剣道なんてしたこともないですよ。
なのに、自分の経験のなさに反して、アリオスの振るう剣は一撃でモンスターを仕留めていた。
これが剣術スキルの効果なのかもしれない。
しかし油断はしていられない。
「や、やったのか……」
(まだいるぞ!気を抜くな)
(っ!)
背後から飛び掛かってくる犬型モンスターを、姿勢を低くすることで何とか回避するアリオス。
「グアッ!」
だけど完全な回避に失敗して、犬型モンスターの鋭い爪に、肩の肉を抉られる。
(うわー、装備している皮の鎧の防御力低すぎー)
シャドウの俺はあきれちまうね。
だって、襲われてるのはアリオスだけで、シャドウの俺なんてモンスターから完全に無視されてるよ。
それに攻撃されたとしても、シャドウの俺は物理攻撃無効化スキルがあるけど。
「く、く、来るなー」
そして肩を負傷して慌ててしまったアリオスは、半狂乱になっていた。
まあ、仕方がない。
だって俺の前世は普通な日本人。そんなのがいきなり命のやり取りをする現場に押し込まられたら、そりゃあ慌てて仕方ない。
――グルルルッ
「グアアアッ」
なんてしている間に、2頭のモンスターに同時に攻められ、足にかみつかれるアリオス。
「この、死んでたまるか!」
それでもアリオスは足にかみつくモンスターに、頭上から剣を振り下ろす。
モンスターの1体の頭を、剣が貫通した。
そして噛みついていたもう1体のモンスターは、危険を察知してアリオスに噛みつくのをやめて離れる。
「は、はあっ、はあっ」
しかし足に噛みつかれてしまったアリオスは、そこで足の踏ん張りがきかなくなって、地面に崩れるようにして落ちてしまった。
「い、いやだ。死にたくない」
地面に崩れ落ちてしまうアリオス。その周囲をモンスターたちが群れで取り囲んでいた。
「来るなー!」
アリオスをゆっくりと包囲してくるモンスター。
それに対して、アリオスは銅の剣をガムシャラに振るって追い払おうとする。
しかし、もはや足が動かず、その場から動くことができない状況だ。
剣がモンスターの鼻先を掠めるけれど、モンスターたちはすでにアリオスが瀕死なのを見越している。
剣を振るい、最後の抵抗をするアリオスをただ冷淡に眺め、そして徐々に剣を振るっていたアリオスの息がばてていく。
そのあと、アリオスの喉元にモンスターの1体が飛び掛かってきた。
「ヒュッ、ヒューッ」
そのモンスターの攻撃をどうすることもできず、アリオスは首をモンスターに噛みつかれた。
い、いやだ……死ぬのは……
そこで、アリオスの意識は途切れてしまった。
(……をぃ、俺死んじまったぞ)
気が付くと、アリオスの体をソウルハックで乗っ取っていた俺の並列存在が消滅していた。
そしてシャドウの俺の中で、人間だった時のアリオスの人格と一つになる。
なんだか全身がむず痒い変な感覚にしばらく襲われたけど、それから俺の中で2つに分かれていた人格が融合を果たしていった。
まあ、人格が分かれようが融合しようが、俺が俺であることに変わりはない。
てかさー、アリオス死んじまったぞ。
マジで死んじまったぞ。
どうしよう。
俺の視界要員が、モンスターに食われちまったー!
ついでにアリオスが戦闘している間、本体であるシャドウ側の俺は、ビビッて実は全く動けんませんでした。
いや、攻撃食らいまくってるアリオスを見てて、冷静にしていたつもりだけど、本当は目茶苦茶ガクブルしてて、腰が抜けてましたわー。
まあ、シャドウの俺の体には骨がないから、物理的に腰が抜けるのは無理だけどさー。
しかし恐怖耐性、恐怖無効なんてスキルも俺はもっていたけど、無理だって。リアルで戦ったことないんだから、戦闘に参加するなんて無理無理。
――モグモグモグ
と、俺はちょっとパニックになってしまうのだけど、それはそれ、これはこれ。
俺のシャドウとしての本能は、その辺に転がっているものに気づくと、モグモグして食べていった。
≪ハウンドドックを捕食しました≫
≪人間を捕食しました≫
うわー、またやっちまった。
またしても人間食っちまったぞー。
ついでにアリオスが戦っていたモンスターは、ハウンドドックって名前なんだな。へー。
そして俺の本体であるシャドウに関しては、ハウンドドックに襲い掛かられることもなく、まったくもって無事だった。
ふうっ、本体が無事だからいいものの、アリオス弱すぎだわー。
てか、俺が魂乗っ取って動かしていたわけだけど、俺って戦闘なんて初めてだったから、取り乱す以外にろくなことができなかったなー。
次に生命創造して人間作るときは、こうならないように気を付けることとしよう。
って、こんなこと考えるあたり、俺の人間としての倫理観が人間やめちまってるなー。
うわー、モンスターに転生した成果、俺の思考回路が徐々にモンスター化していってるー!
今までに判明しているステータス ()内の数字は判明した話数
―――本体
ステータス
名前 カズキ サイトウ (斎藤一樹)
種族 シャドウ
職業 迷宮の掃除人
レベル 1650
・初期スキル
捕食 (プロローグ)
吸収融合 (プロローグ)
物理攻撃無効化 (プロローグ)
影空間 (プロローグ)
・武器補正スキル
棍棒術 (プロローグ)
剣術 (プロローグ)
槍術 (プロローグ)
弓術 (プロローグ)
クリティカル (5)
毒攻撃 (プロローグ)
音波攻撃 (4)
・防御補正スキル
盾防御 (プロローグ)
・身体能力補正スキル
筋力増加 (プロローグ)
防御力増加 (プロローグ)
聴覚強化 (4)
嗅覚強化 (4)
・感知スキル
遠視 (5)
千里眼 (5)
万里眼 (5)
魔力気配察知 (5)
感応 (5)
・体質補正スキル
粘液 (プロローグ)
増殖 (7)
分裂 (7)
不死者 (プロローグ)
・自動回復スキル
HP自動回復 (プロローグ)
MP自動回復 (プロローグ)
MP自動完全回復 (8)
・移動補正スキル
ジャンプ (プロローグ)
影移動 (11)
影跳躍 (11)
地行術 (11)
・魔法スキル
炎魔法 (プロローグ)
氷魔法 (プロローグ)
氷魔法 (プロローグ)
風魔法 (プロローグ)
土魔法 (プロローグ)
闇魔法 (プロローグ)
回復魔法 (プロローグ)
死霊魔法 (プロローグ)
呪文短縮 (5)
無詠唱 (5)
・耐性スキル
打撃攻撃耐性 (プロローグ)
打撃攻撃無効化 (7)
斬撃攻撃耐性 (プロローグ)
炎耐性 (プロローグ)
炎攻撃無効化 (プロローグ)
水攻撃無効化 (7)
氷耐性 (プロローグ)
氷攻撃無効化 (プロローグ)
睡眠無効 (4)
恐怖耐性 (12)
恐怖無効 (12)
・魔眼系スキル
魔眼・発火 (プロローグ)
魔眼・氷結 (プロローグ)
・オーラ系スキル
隠密 (5)
威圧 (プロローグ)
王者の覇気 (プロローグ)
・指揮補正スキル
指揮 (プロローグ)
眷属支配 (プロローグ)
眷属従属 (プロローグ)
・思考スキル
並列思考 (6)
並列意思 (6)
並列存在 (6)
・称号スキル
転生者 (プロローグ)
階層主(80階層) (プロローグ)
異界の魔王 (プロローグ)
・その他
鑑定 (プロローグ)
暴食 (プロローグ)
生命創造 (7)
咆哮 (プロローグ)
死者の咆哮 (プロローグ)
・影空間の保有アイテム
薬草 (プロローグ)
木の杖 (プロローグ)
ネクロマンサーの秘術書 (プロローグ)
ドラゴンメイル (プロローグ)
魔道金属 (プロローグ)
ネクロマンサーの呪術ローブ (10)
スケルトンナイトの鎧 (10)
エルウィンローブ (10)
赤竜のマント (10)
マグマ (10)
ドラゴンスレイヤー (12)
ゲイボウ (12)
血濡れの大鎌 (12)




