10 アイテムもごみのようにある
魂の乗っ取りを仕掛けた結果、なぜか人間とシャドウの2人に人格が別れてしまった俺。
さて、これからどうしたものか。
シャドウの俺にとって、人間の俺がいないと周りの景色が見えないので、凄く困ってしまう。
対して人間の俺も、シャドウの俺がいないとレベルもスキルも低すぎる有様だ。
この世界には、今までのシャドウ生活で大量のモンスターを食いまくってきたから知っている。
そう、この世界にはモンスターがいるのだ。
人間の俺はレベルが低い上に、スキルもたいしたものを持っていていない。
そんな状態でいきなり異世界に放り込まれたら、そりゃ人間の俺は慌てるわけだ。
もっとも視界を提供してもらってるシャドウ側の俺も、人間の俺に死なれたら大変だ。
あと物凄く認めたくないことだけど、元とは言え一応俺と同じ人格なんだから、死なれでもしたら滅茶苦茶寝覚めが悪い。
てことは、これからはこの性悪な奴と付き合っていかないといけないのか。
「はあっ」
(はあっ)
どちらからともなく、同時にため息がこぼれてしまった。
「マネするなよ」
(お前こそ、マネするな)
互いに睨み合って……といいたいところだけど、シャドウの俺には目玉がないので睨むことができない。
でも、それでも視界なしで人間の俺を睨みつけてやる。
「ヘプシッ」
なんてしてたら、人間の俺がクシャミをしやがった。
(をぃ、俺の体に鼻水飛ばすな!)
――モグモグモグ
(そして俺の本能、鼻水を食うんじゃねえ!)
「おい、漫才してないで何か着る物ないか?さすがに全裸だと寒い」
(そのまま風邪ひいちまえー)
「鼻水をもう一度食わしてやろうか?」
うわ、何こいつ。性格わるー。
シャドウの俺も、人間の俺も、どっちも同じことを思ったけれど、本当に俺の性格って悪いよな。
……しかし、このまま放置はさすがにまずいな。
大平原の中だからいないだろうけど、人間の俺が、警察なり異世界にいそうな衛兵さんとか憲兵さんに連行されてしまっては大変だ。
さて、シャドウである俺には影空間というスキルがある。
内部容量は惑星をひとつ納められるぐらい。
……事実上の無限インベントリだな。
俺には、星1個食らうなんてバカなことを俺はするつもりはない。
どこぞの破滅志向の魔王様みたいに、「この世界なんて滅びちゃえー」って言って、星を食ったりしないぞ。
――モグモグモグ
……あっ、体の本能が無意識に食べ続けた結果、星がいつの間にか全部なくなってるってのは、割とマジでありそうで怖いけど。
まあ、そんな冗談はいい。
えーっと、確か影空間はアイテムが保管されていて、そこにある物も取り出せるから……
ズラズラ、ズラララララ……
分かっていたことだけど、食いしん坊シャドウの本能のせいで、影空間の内部には、物凄い量のアイテムが保存されていた。
アイテムはステータスを開いたときと同じく、種類ごとに保存されていて名前と数が表示される。だけど、土がG単位で存在して、しかも重さはトンだ。
○○Gトンの土を保存してるとか、ナニコレ?
もしかして山でも丸ごと食ったのか?
山って、どれくらいの重さがあるのかなー?
ハハハー。
「おい、本体、呆れてないでさっさと服を出せよ」
(わかったよ。てか本体ってなんだよ。俺のことはカズキと呼べ)
「俺もカズキだよ」
ムウッ、自分という存在がここまで鬱陶しいとは思わなかった。
まあいい、今は服を調べよう。
てか、文字の検索機能が切実に欲しいです。
スキルの保有数がおかしかったシャドウの俺だけど、影空間内のアイテムの種類は、スキルとは比較にできない天文学的な数になっている。
しかし、そんなあふれ返る情報の中から、割と早くそれを見つけることができた。
アンダーシャツに、下着に、皮の鎧とズボン、靴……。
あー、多分これはアレだな。
俺が食っちまった、生前の野郎が着ていた装備一式だな。
野郎の名前はアリオスだったっけ?
ちなみにそれらのアイテム情報の近くには、初級魔法使いのローブなんてアイテム名もあった。
これ、確実にミィナちゃんの生前の装備だよ。
うっ、うわー。
そんなものを収納しているとか、怖いわー。
死んだ人の衣服を保管しているとか、ちょっと軽くホラーでない!?
「見つけたなら、さっさと出してくれ」
(おっとすまんな。ちょっとホラー染みたアイテムにドン引きしててな)
「俺もお前の考えていることが分かるから、分かるぞ」
うむうむ、言葉を交わさずとも互いに意思疎通ができている。
以心伝心という奴は素晴らしいな。
まあ、どっちも俺だから当然といえば当然だけど。
てなわけで、シャドウの俺は影空間を開いて、そこから生前のアリオスが来ていた装備一式を取り出した。
「……血がついてる、おまけに剣かなんかで切られた痕までついてる」
(Noー、血まみれの衣服を保存してるなんて、嫌だよ。影空間がどこにあるのか知らないけど、そんなのが俺の中にあるんだよね。うわ、血まみれ装備を常に体の中に抱えているとか、マジでホラーだ)
「別の服を出してくれ」
(お、おうっ。さすがに血まみれはな……)
ここは冗談を言える状況でなかったので、犬猿の仲である俺たち2人も、さすがに大人しくなった。
そして再度影空間内のアイテム漁りをすることにした。
その結果いろいろ出してみるのだけれど……
ネクロマンサーの呪術ローブは、真っ黒な衣装になんとも奇妙な骸骨が頭の部分についていた。またしてもホラー装備だよ。
スケルトンナイトの鎧は、鎧って書いていたけれど、めちゃくちゃボロボロで鎧として機能していない。
エルウィンローブは名前からしてエルフが来ているローブだな。……サイズが人間の俺には合わなかったので却下。
赤竜のマントなんてのもあった。竜の赤い鱗がついたマントだったけど、「滅茶苦茶重てー」と人間の俺が言っていて、装備できなかった。
(人間の俺、お前貧弱すぎるぞ)
「やかましい、本体!」
そんなこんなで、人間の俺に帰せられるものがない。
いや、もっと探せば出てくるかもしれないけど、万を軽く飛び越えてるアイテム名の中から衣服を探す作業なんて無理だよ。
並列思考とか使って探すとしても、どうせ増やした思考が互いにお前が作業しろって擦り付け合いをすることにだろうし。
ハハハー。
「笑い事じゃねえっ!」
(仕方ない、とりあえずアリオスの装備品の血を水で洗い落とすか)
「……ええっ、それは嫌だ」
(でもさ、仕方ないよねー。ほかに装備できそうなものが見つけられないし。とりあえず水魔法使ってみるから、それで血汚れは落とすってことで)
「剣で切られ斬られてるから、破れてもいるんだけど」
(アリオス、異世界ライフ初日なんだから、そのくらいのことは我慢しなさい)
「本体、お前は自分自身のことじゃないからって、好き放題言ってくれるな」
またしても2人の間でにらみ合いになったけど、シャドウである俺の方が有利なのだよ。
睨み合いをしている中、適当に水魔法を使っておいた。
「っておいっ、激流に流される。うわーっ!」
シャドウの俺はちょいと軽く水魔法を使ったつもりだけど、なんかとんでもない量の水が俺の体から湧き出して、それが原因でアリオスが水に流されて行ってしまった。
(ああっ、目が、目がー!)
別にアリオスのことはどうでもいいのだが、奴がいないとシャドウの俺の視界がなくなってしまう。
そのせいで空飛ぶ城に出てきた某大佐のように、シャドウの俺は叫んでしまった。
なお、アリオスは水で流されたけど、俺は水底にそのまま沈んでいた。
――モグモグモグ
そしてシャドウの本能は、相も変わらず暢気に水を食おうとしていた。
いや、水だから普通は飲むって表現の方が正しいんだけど、俺の本能はどうみても食ってるって感じなんだよなー。
あ、それとシャドウの俺だけど、酸素なしでも普通に生きていられるようだ。
影空間の中には、マグマがとんでもない単位で保存されているので、多分昔はマグマの中にも突っ込んだことがあるんだろうなー。
炎攻撃無効化のスキルがなかったら、その時にシャドウの俺って死んでたんじゃないのか?
今までに判明しているステータス ()内の数字は判明した話数
―――本体
ステータス
名前 カズキ サイトウ (斎藤一樹)
種族 シャドウ
職業 迷宮の掃除人
レベル 1650
・初期スキル
捕食 (プロローグ)
吸収融合 (プロローグ)
物理攻撃無効化 (プロローグ)
影空間 (プロローグ)
・武器補正スキル
棍棒術 (プロローグ)
剣術 (プロローグ)
槍術 (プロローグ)
弓術 (プロローグ)
クリティカル (5)
毒攻撃 (プロローグ)
音波攻撃 (4)
・防御補正スキル
盾防御 (プロローグ)
・身体能力補正スキル
筋力増加 (プロローグ)
防御力増加 (プロローグ)
聴覚強化 (4)
嗅覚強化 (4)
・感知スキル
遠視 (5)
千里眼 (5)
万里眼 (5)
魔力気配察知 (5)
感応 (5)
・体質補正スキル
粘液 (プロローグ)
増殖 (7)
分裂 (7)
不死者 (プロローグ)
・自動回復スキル
HP自動回復 (プロローグ)
MP自動回復 (プロローグ)
MP自動完全回復 (8)
・移動補正スキル
ジャンプ (プロローグ)
・魔法スキル
炎魔法 (プロローグ)
氷魔法 (プロローグ)
氷魔法 (プロローグ)
風魔法 (プロローグ)
土魔法 (プロローグ)
闇魔法 (プロローグ)
回復魔法 (プロローグ)
死霊魔法 (プロローグ)
呪文短縮 (5)
無詠唱 (5)
・耐性スキル
打撃攻撃耐性 (プロローグ)
打撃攻撃無効化 (7)
斬撃攻撃耐性 (プロローグ)
炎耐性 (プロローグ)
炎攻撃無効化 (プロローグ)
水攻撃無効化 (7)
氷耐性 (プロローグ)
氷攻撃無効化 (プロローグ)
睡眠無効 (4)
・魔眼系スキル
魔眼・発火 (プロローグ)
魔眼・氷結 (プロローグ)
・オーラ系スキル
隠密 (5)
威圧 (プロローグ)
王者の覇気 (プロローグ)
・指揮補正スキル
指揮 (プロローグ)
眷属支配 (プロローグ)
眷属従属 (プロローグ)
・思考スキル
並列思考 (6)
並列意思 (6)
並列存在 (6)
・称号スキル
転生者 (プロローグ)
階層主(80階層) (プロローグ)
異界の魔王 (プロローグ)
・その他
鑑定 (プロローグ)
暴食 (プロローグ)
生命創造 (7)
咆哮 (プロローグ)
死者の咆哮 (プロローグ)
・影空間の保有アイテム
薬草 (プロローグ)
木の杖 (プロローグ)
ネクロマンサーの秘術書 (プロローグ)
ドラゴンメイル (プロローグ)
魔道金属 (プロローグ)
ネクロマンサーの呪術ローブ (10)
スケルトンナイトの鎧 (10)
エルウィンローブ (10)
赤竜のマント (10)
マグマ (10)




