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023 おかしな動き

申し訳ありません。サブタイトル見直ししました。

 ◇


 西門からコネロドと西商人筆頭の部隊が討伐に出発した。コネロド隊は小山の南側から攻め、西商人筆頭隊は小山の西側から攻める予定だ。当初の予定では反対だったのだが、コネロドが西商人筆頭と交渉して位置交換となった。西側からの攻略のほうが湿地帯を走破する距離が短いため、西商人筆頭からは特に異論がなく交換できたようだ。俺の意見だったのだが。


「サブロー、どこだ? いないではないか?」

 男から問われた。この男はコネロドからコネロド隊の戦闘指揮官と紹介された男だ。いまの俺はコネロドの傭兵なので呼び捨てにするぞと戦闘指揮官の男から最初に言われていた。

 南端の村への道が途中で窪地になっており、窪地には人の頭より一回り大きな蟻塚のような土の盛り上がりが多数あるだけで、捕縛された盗賊たちはひとりもいない。


「ここにいますよ、見ててください」

 俺は土の盛り上がりのひとつに寄り、手を当て魔力を抜くと土の盛り上がっていた部分が崩れ人の頭が出てきた。頭を出せた盗賊が俺に気づき罵声を浴びせて来たが、俺の他にも武装した男たちがいることに気づき、声が尻窄みに小さくなった。


「まあ、こんな感じです」

 俺は手を広げておどけて見せた。

 戦闘指揮官の男は、サブローお前、術者だったんだなと呟きながら、土の盛り上がりを数え盗賊の人数としてコネロドに報告した。


「どのぐらいこの状態が持つ?」

 戦闘指揮官の男に聞かれたので、3日は大丈夫と答えた。戦闘指揮官の男はコネロドと相談し盗賊討伐終了後に盗賊たちを回収することになった。

また、盗賊を回収しにここに来なきゃいけないのが面倒だよな。でもこれがアフターサービスってやつかな?


 捕まえた盗賊たちの確認が終わり、湿地帯を越えて小山の麓まで行軍した。


 ◇


 小山の麓に到着し休憩ののち、小山の山頂を目指して進軍することになった。

 討伐隊は40人以上で対する盗賊は5人ほどだ。何事もなければすぐに方がつくだろう。そしたら、この小山は俺たちのものだ。

 休憩も息が整う程度で山頂を目指す。


 登り始めてから俺はこれまでの違和感が確信に変わった。西門でコネロドと話していたとき、別グループの数人がレッドマークだったこと。そして今の状況。


「コネロドさん、気になっていたことが、はっきりわかりました、一旦止まりましょう」

「なんだサブロー、もう疲れたのか、さっき休憩したばかりだろ、それからコネロド様だ呼び方に注意しろ」

 戦闘指揮官の男が俺の提案の声が聞こえたのか近づいてきた。少人数とはいえ戦闘部隊だ、上下関係をはっきりさせておかないといざというときに困るからな。しかし、戦闘指揮官の男が近くに来たので、これは話が早い。


「周囲の状況がわかりました、どうやって入手したのかは聞かないでください」

 俺の言葉でコネロドと戦闘指揮官の男は目を合わせコネロドが頷いた。

「おい、おまえら一旦休憩だ! 周囲の警戒怠るなよ!」

 戦闘指揮官の男の号令で部隊の男たちは、数人づつのグループになりコネロドを中心に周囲に移動し警戒しながら休憩に入った。戦闘指揮官の男は俺に状況を説明しろと命令した。


 俺は能力がばれないようにレーダーで見た情報を話した。能力がばれると厄介ごとに巻き込まれそうな気がしたからだ。また、能力を隠すのは異世界テンプレートだからな。


「まず北側の部隊ですが、小山の麓で部隊を展開しています、ですが登って来る気配はないです」

「続けてくれ」

 戦闘指揮官の男が言う。コネロドは最終的な判断は行うが、戦闘の作戦や指揮にはここまで一切口を挟ず、戦闘指揮官の男がすべて采配している。ふたりの役割分担なのだろう。


「東側の部隊は麓から少し登った所で現在戦闘中です、ただ盗賊側は数名なので足止め程度でしょう」

「……」

 戦闘指揮官の男は何も言わないが続けろってことかな?


「そして、西側の部隊ですが、すでに小山の山頂に到達した後引き返し、少し下った場所で待機しているようです」

「戦闘は?」

「無かったみたいですね、盗賊たちも山頂の拠点に残っているようですよ」

「……」

 あれ、コネロドも戦闘指揮官の男も驚かないぞ? さすが東商人筆頭、事前に何か掴んでいたのかな? どうする気なのかと俺はコネロドと戦闘指揮官の言葉を待った。


「サブローがどうやって掴んだ情報なのかはともかく、我々の収集した情報から予想した通りの展開です。やはり西商人筆頭が仕掛けて来たようです、コネロド様いかがしますか?」

「いえ、予想とはかなり違っています」


 戦闘指揮官の男は何が違うのだろうという顔を一瞬したが、何かに気がついたようでニヤリとした。

「……なるぼど」


 コネロドはある程度今回の事を予想していたようだ、俺たちが盗賊たちを捕まえていなければ、一体どうするつもりだったのか?

 あっ! 予想と違うとはその事か。


 俺と戦闘指揮官の男が気づいたのを見計らってコネロドが答え合わせをしてくれる。

「ふたりとも気がついたようですね、そうです盗賊の数が違うのです。そしてその事に彼らは気づいていない、もし気づいたのであれば西商人筆頭らは盗賊を亡き者にし手柄としているでしょう」

「盗賊の首領も部下たちが挟み撃ちに動いていると勘違いしてくれるとよいのですが」


 戦闘指揮官の男が良いこと言ってくれたよ。そうだ勘違いさせれば良いじゃないか!

「俺に良い考えがあります、聞いて貰えますか?」

「なんだ、言ってみろ!」

 戦闘指揮官の男は俺に詰め寄る。

 恐いよ、おっさん! 話すから、興奮しないでくれ。


 俺の作戦は聞いてくれたコネロドと戦闘指揮官の男に多少手直しされたが、承認されすぐに実行に移された。



おかしな動きは、サブローのレーダーで把握されています。


次回、陰謀の結末

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