前編
ある日の昼下がり。
僕はコーポの住人たちで運営する果樹園で、真っ昼間からボンヤリしていた。
お昼ご飯の代わりに自家製の果実酒を、チーズを齧りつつ、一本空けて気持ち良くなっていた。
そんな僕の目と鼻の先を、ホワホワと行き過ぎるものがある。
それは一見すると、綿毛のようにも見えた。
辺りを見渡せば、そこかしこに綿毛がふよふよと舞っているのが見える。
ソレは不思議と地面に落ちることなく、あるものはそよ風に乗って、あるものはそよ風に逆らうように漂っていた。
「何だこりゃ?」
僕は僕の鼻先でふよふよしてるそれを摘んでみる。
柔らかい。
意外なことにそれは熱を持ち、見た目の印象よりもずっと重かった。
綿毛はキーキーと鳴いて、暴れると僕の手から逃れようとする。
「おー? 生きてんのかこれ?」
それを良く見ると、目と口があって小さいながら手もあるようだった。
僕はそれをプニプニと潰してみる。
その度に目や口がムニュッと飛び出したり、引っ込んだりする。
「何だか知らないけど、面白いな」
僕は身を起こすと、綿毛をさらに二匹捕まえて、ランチボックス代わりのバスケットへと放り込む。
とりあえず、見たこともない生き物だけど僕はこの綿毛を飼ってみることにした。
「それにしてもコイツら、なに食って育つんだろな?」
僕は4匹目の綿毛を捕まえて、一度軽くプニと潰してから、指でピンと弾いて逃がしてやる。
それは慌てて僕から距離を取ると、僕がどうやっても届かないであろう上空へと逃げてしまった。
僕はその綿毛を見送ってから立ち上がると、そう大して汚れてもいないオーバーオールの尻をパンパンと叩き、バスケットを拾い上げた。
今日は一日、することもない。
このまま果樹園で昼寝というのも捨てがたかったけど、家に帰ってから改めてグータラすることにした。
僕は家路の途中、小川に架かるアーチ型の小さな橋を渡っていた。
大きく盛り上がったアーチに遮られ、向こう側を見通すことはできない。
最初、僕の目に映ったのは釣竿だった。
鉛でできた錘やオレンジ色した浮きが誰かの足取りに併せて、ピコピコと揺れている。
針の先っちょには四角く切ったコルク材が刺さっており、それは川までの道中、すれ違う誰かや物に引っ掛けてしまわないようにとの配慮らしい。
橋の半ばに差し掛かった頃、ようやく釣竿を握る主の姿があらわになった。
それは二股尻尾を持つ三毛ネコだった。
ツバの大きな麦ワラ帽にブリキでできたバケツを提げている。
「やあ。ネコ釣りに行くのかい?」
僕はネコの前を塞ぐと、挨拶代わりに声をかける。
ネコは心底迷惑そうな表情を浮かべると、大袈裟に嘆息して見せてから、渋々と言った感じで口を開いた。
「何ニャ? ニンゲン、そこに立たれると邪魔ニャ。さっさと退くニャ。ウチ忙しいニャ。
これから晩御飯の魚、釣らないといけないのニャ。お前と話してるヒマなんかないニャ」
「あー。やっぱり釣りに行くんだ。じゃ、魚がたくさん獲れたら僕に半分お裾分けしてくれよ?」
「何でそうなるニャ!? 前にもあげたニャ。今度は全部、ウチが食べるニャ!」
「何だよネコ、ケチんぼだな」
「何ニャ! 言うに事欠いてケチって何ニャ? ウチが釣った魚は全部ウチの物ニャ。ウチが全部食べて何が悪いニャ!」
怒り心頭に発してか、地団駄を踏むネコ。
その様子が可笑しくて、僕は「あはは。何だソレ?」と、指差して笑う。
「よし、ならこうしよう。僕がとっておきのマタタビ酒を出すから、僕ン家で一緒に夕食を食べるってのはどうだい?」
マタタビ酒と聞いてネコの様子が一変する。
「うーん。マタタビ酒かニャ? 仕方ないニャー。刻みタバコも付けてくれるなら、ご飯一緒してもいいニャ」
「よし。決まりだ」
ラッキー。これで晩ご飯の心配はなくなった。
「ああ。そうだネコ」
僕は僕の腰ぐらいしかないネコのために、バスケットを下へと降ろすと、
「コイツら、何食うか知ってる?」
駄目モトで聞いてみる。
ネコはさっそく興味津々にバスケットの中を覗いて、僕もその場へと腰を屈めた。
目の前にあるネコの後ろ頭からは日向の匂いがした。
「あー。ケサランパサランかニャ? 何ニャ? 飼うつもりなのかニャ?」
バスケットから顔を上げて、こちらを見上げてくる。
ヒクヒクと鼻を動かし、ネコはビー玉みたいな目を糸のように細めると「ウニ」と笑う。
「ああ。そのつもりだけど?」
悪戯っぽく笑うネコに、すこしだけ不安になってくる。
「そうなのかニャ。それなら教えてやるニャ。コイツら何でも食うニャ。魚のワタとかニンジンの皮とか、リンゴの芯とか、とにかく何でも食べるニャ」
ネコ、それはエサじゃなくて生ゴミって言うんじゃないのか?
いやいや、そんなことより、このホワホワ綿毛ってケサランパサランなのか?
自分から質問しといて何だけど、しょせんはイイ加減なネコの言うことだ。あんまり当てにするのもどうかと思う。
ネコは僕の見ている先で、再度バスケットへと鼻先を突っ込むと、ケサランパサランを肉球でチョイチョイと突く。
「コイツら乾燥に弱いニャ。晴れの日とかに霧吹きでシュッシュッと湿らせてあげるといいニャ。でも水は飲まないニャ」
「そうなのか? やけに詳しいな」
「まぁニャ。昔飼ってたからニャ」
自信満々に胸を張るネコ。
だけど疑り深い僕はまだ半信半疑。
ただアドバイスがやけに具体的なので、一気に信憑性は高まったけど。
でも僕の記憶じゃ確か、ケサランパサランって、白粉とか食うじゃなかったっけ?
いや、もしかすると白粉も食うってだけなのかもしれないが。
「じゃあニャ。もう行くニャ。魚釣りに行かニャいとオマンマの食い上げニャ。
マタタビ酒と刻みタバコ、忘れるニャよ?」
「分かってるって。ネコこそちゃんと魚釣れよ?」
「誰に物言ってるニャ。ウチ魚釣るのメッチャ得意ニャ」
橋を僕とは反対方向へと渡って行くネコを横目に、僕はバスケットの中を覗いてみる。
ケサランパサランは、僕の食べ残したチーズにムシャムシャと食らい付いていた。
「あー。チーズも食うんだ」
僕はアーチの小橋を渡り終えて、橋から伸びる小道を道なりに歩く。
小道はなだらかな坂になっていて、どうしてもその分、早足になってしまう。
盛大に上下するバスケットの中から、ケサランパサランがキュイキュイと抗議の声を上げていたものの、とりあえず僕は聞こえないフリをすることにした。
しばらく道沿いに進むと、カボチャ畑へと差し掛かった。
かなり広い畑の一面を、這うように伸びた蔦が覆っていて、畑のそこかしこから大きな葉っぱを押しのけ、オレンジ色した立派なカボチャが顔を覗かせている。
そろそろ収穫どきじゃないかな?
カボチャの様子を見ながら、そう思った矢先、カボチャの葉っぱがガサガサと揺れて、そこからひょっこりと顔を覗かせたのは、農夫のカルガモだった。
畑のあちこちから、次々とカルガモ達がヒョコヒョコと顔をあらわしていく。
カルガモ軍団はみんな同じような麦ワラ帽子を被っており、大きな剪定バサミを背負っていた。
カルガモたちはカボチャのツルをチョキンと切ると、大きなカボチャを抱え、えっちらおっちらと、運んで行く。
農道の脇に置かれた荷車へ、見る間にカボチャが積まれていって、カボチャの山へとよじ登り、指示を出すのは農場主のアヒルだ。
グワッグワッグワッと喚きつつ、お尻フリフリ指示を出す。
カルガモたちは、その度に、あっちへこっちへ右往左往。
僕はカルガモ達の農作業を眺めるのにも飽きて、小道を歩き出す。
――と、カボチャの上のアヒルが、僕を見つけて声をあげた。
「グワワッ! 待て待て、そこのニンゲン。この間、壊れたハサミ直してくれたお礼に、好きなカボチャ選んで持ってけグワッ!」
「いらないよ。重いし固いし。どうせなら他の野菜が欲しい」
「無理グワッ。この時期、カボチャ以外の野菜は作ってないグワッ。カボチャはこの町の特産グワッ。
煮て良し焼いて良し、揚げても良しグワッ。もちろん蒸かしても美味しいグワッ。
遠慮するなグワッ。後でカルガモたちに持って行かせるグワッ。楽しみにしてるグワッ」
「だーかーら。いらないって言ってるだろ」
僕の抗議は空しく行きすぎる。
アヒルはすでに僕への興味を失ったらしく、カボチャの山の天辺でカルガモ相手に声を張り上げている。
「クソー。ヒトの話を聞かんヤツめ」
僕は小さく毒づいてから「ま。いっか」と思いなおす。
最悪、ネコに押し付けて、また魚でもせびってやる。そう決めると僕の足取りも自然に軽くなった。
小道を下りきると、そのすぐ左手にある巨大樹が僕の住むコーポだ。
巨大な樹に沿うようにして数十の部屋が並んでいる。
遠くから見ると、樹から家が生えているように見えなくもない。
僕の部屋は一階の角部屋で、土足オッケーのワンルームだ。
部屋には小じんまりとしたキッチンと、トイレにバスルームが完備されてある。
でも、狭い部屋だから、家具はそう多くない。ダイニングテーブルとベッド、クローゼットに作業机があるだけだ。
作業机の周りには色々な工具が、ワチャワチャと雑然に置かれていて、お世辞にも片付いているとはいえない。
でも、ま。今に始まったことでなし。
僕は部屋の惨状を一瞥すると「いい加減、片付けないとな」とかって、一応そう呟いておく。
誰に対する言い訳か不明だったし、だからってホントに掃除する気なんかサラサラないんだけどね。
僕は若干の後ろめたさを感じつつ、フローリングの床にバスケットを置いた。
開いて中を確認する。
3匹のケサランパサランは、円らな瞳でキュイキュイ鳴くと、どうやら空腹を訴えているらしかった。
結構な量が残っていたはずのチーズは、綺麗さっぱりなくなっている。
小っこいナリで良く食うのな。コイツら。
失敗したかな。持って帰るの一匹で良かったかも? 僕の甲斐性じゃ、3匹も育てるの無理じゃないかな?
ま。それでも持って帰っちゃったもんは仕方ない。できるだけ面倒は見よう。
それで無理なら果樹園にリリースかな。いや、我ながら無責任だな、とは思うんだよ?
夕暮れになってネコが訪ねて来た。
ネコは自分ン家に帰る前に僕のところへ寄って来たらしい。
どうやら釣果は上々のようだ。
ブリキのバケツからは魚の尾っぽがハミ出してビチビチしている。
玄関先で出迎えた僕に、ネコは開口一番「疲れたニャー」と弱音を吐く。
「お疲れ」
僕は気楽にそう返すと、魚をバケツごと受け取った。
ネコとご飯を食べる時、いつも決まって料理をするのは僕の役目なのだ。
どうやらネコは釣果に満足入ってないらしく、キッチンで魚の下拵えをしている僕の背後でニャーニャー騒いでいる。
どうも、最後の最後で惜しくも獲り逃した魚がかなりの大物だったらしく、
「こーんな、こーんなだったニャ。超デカかったニャ」
と、両手を目一杯に広げて力説する。
その度僕は「もういいから」「分かったって」「しつこいよ」と、にべもなく返すのだけど、ネコにメゲる様子は全くない。
僕はネコを無視して、包丁を使って魚のおなかを開くと、ワタを掻き出してバスケットの中へと落とす。
足元からキュイキュイとケサランパサランが魚の内臓を取り合って、争う音が聞こえてくる。
僕は次いで、魚を三枚に卸すと、ホウロウ製のバットに取り分け、魚の半身にそれぞれ塩コショウをふり、ローズマリーとかの香草を適当に散らす。
まな板と包丁をザッと洗い、今度は数種類のキノコとタマネギを刻む。
取り除いたキノコの石突やタマネギの芯もバスケットへと落とした。
刻んだキノコとタマネギをザッとフライパンで炒めておく。
それが終わると、フライパンの中身を耐熱皿へと移し変え、空いたフライパンで今度はホワイトソースを作ることにした。
たっぷりのバターを弱火でゆっくと溶かすと、小麦粉を少しずつ投入して、木ベラで馴染ませて行く。
それなりに、まとまりが出るまで小麦粉を足して行き、粉臭さがなくなるよう、しっかりと炒める。
黄色い塊になったソレを、今度はミルクで延ばして行く。
ダマが残らないよう、慎重にミルクを足して滑らかになるまで延ばすと、塩コショウであ味を調えて、フツフツと軽く煮詰めてから火を止めた。
耐熱皿に敷いたキノコとベーコンの上にホワイトソースを流し込み、スプーンの腹で表面を均すと、その上にチーズをたっぷりと乗せて、さらにその上へと香味パン粉をまんべんなくふると、そのまま温めていたオーブンへと投入する。
焼きあがるまでの間、僕はメインの魚料理へと取り掛かることにした。
ネコは話を聞かない僕に愛想を尽かしたようで、ケサランパサランをつついて遊んでいた。
その間に僕は、バットに置いていた魚の表面に染み出た水気を拭き取って、小麦粉を塗すと、たっぷりのバターでソテーする。
そうこうしている内に、焼きあがったキノコのグラタンを鍋ツカミでオーブンから引っ張り出す。
チーズがジュクジュクと音を立てて、耐熱皿の縁には焦げて茶色くなったチーズがこびり付いていた。
何とも言えない香ばしい匂いが立ち昇って、僕のお腹が堪らず「ぐー」と鳴った。
川魚のムニエルも焼きあがり、それを平皿へと盛り付け、テーブルへと持っていく。
グラタンをソース代わりにして食べるるもりなので、焦がしバターはかけない。
一応、レモンのクシ切りを添えておいたけど、ネコは多分、使わないだろう。だってネコはネコだもの。タマネギや香草は平気で食うクセに。
ネコが僕の後を追って、テーブルを回り込むと椅子へと「うんせ」とよじ登る。
僕はそれぞれのランチョンマットの上に、ムニエルの皿を置くと、バゲットの入った小さめの籠と陶器製のバター入れを並べた。
一度、キッチンへと戻り、アツアツのグラタンを運んで、テーブルの真ん中へと置く。
僕はネコとの約束でもある自家製のマタタビを漬け込んだ果実酒を棚から取り出して、グラスを二つ持って戻る。
「あーもー。早くテーブルに着くニャ! 待ちきれないニャ」
「そうガッツくなよネコ。ムニエルは逃げないぞ?」
椅子の上に立ち上がり、小さくジャンプを繰り返すネコの様子に僕は思わず苦笑する。
ネコは椅子の上に座り直すと、ナプキンを慌てて膝の上へと広げ、ナイフとフォークを握り、目を細めて「ウニ」と笑った。
僕はネコのグラスに果実酒を注いで椅子に座ると、自分のグラスにも同じようにして注いだ。
「手を合わせて」
そう、言いつつ、自ら手を合わせるて見せる僕に、グラタンを自分の皿に取り分けようとしていたネコは動きを止めて、僕へと心底面倒臭そうな顔をして見せる。
それでもネコは何も言わず、右手に握っていた、グラタンを取り分けるようにと出してた、木で出来た杓子を黙って下ろした。
僕はネコが手を合わせるのをしっかり待ってから、
「それでは、皆さんいただきます!」
「いただきますニャ!」
大声を張り上げる僕に、負けじとネコも大声を上げる。
グラタンを競うように取り分け、自分の皿をてんこ盛りにする。
「ふんとにもー。ニンゲンは妙なトコロで信心深いから困るニャ」
ムニエルにフォークを「どすっ」と突き立てつつネコ。
「お前らケモノが奔放すぎるんだっての」
千切ったバゲットに、グラタンをナイフの腹を使い「ググッ」と押し付けてそう返す僕。
二人して軽口を叩き合い、皮肉を応酬する。
ま、だいたいネコとの晩餐なんてこんなもんである。
しばらく、飲んで食って罵り合って、ネコはマタタビエキスとアルコールの両方でダブルに酔っ払い、すっかり出来上がっていた。
変なスイッチが入って、オイオイと泣き始めるネコの様子が笑い上戸な僕のツボに入って、どうにも笑けて仕方がない。
テーブルに突っ伏して泣くネコの後ろ頭をペシペシ叩きながら、ケタケタ笑う僕。
そうこうしている内に、ムクリを上体を持ち上げたネコが、
「帰るニャ」
と、ショボショボした目でそう言うので、お土産の刻みタバコを『お持たせ』に、玄関まで見送ることにした。
ネコは後ろでに手を振りつつ、右に左にフラフラと絵に描いたかのような千鳥足で帰って行く。
「ああ。そうニャ」
ネコが何かを思い出したのか、覚束ない足取りで僕へと向き直ると、
「ケサランパサランのこと何だけどニャ。たくさん食べるからって、面白半分にエサを与え過ぎたら駄目ニャよ? どエラい目に会うからニャ?」
「ああ。分かったよネコ。気を付ける」
ふーん。エサの与え過ぎに注意か。でも、どれぐらい与えたらあげ過ぎなんだ? それにどエラい目って具体的にどんな目に会うんだろ?
と、ぼんやりそう思ったものの、面倒だから詳しい話は明日にすることにした。
僕はネコの背中に手を振ると「またな」と、声をかける。
僕はネコを見送ると後片付けに取り掛かることにした。
ほとんど残っていない食べ残しをバスケットにポトリと落とす。
シンクに汚れた食器を重ねて、水へと浸し、
「よし!」
洗い物の山を見やり、僕は腕まくりをすることもなく、
「洗い物は明日でいいことにしよう!」
と、即決する。
邪魔臭がりな僕はこういう都合の良い決断には迷いがない。
ま。自慢にもならないけどね。
や。自慢してる訳でもないんだけどね。
僕はコンロの火を落とし、手持ちのランタンを残して燭台の火も消してしまう。
歯を磨くとパジャマに着替え、お気に入りのナイトキャップを被ると、ベッドへと潜り込んだ。
ベッドのすぐ脇、キャビネットの上にランタンを置いて、僕はうつ伏せになると、フカフカの枕にほっぺたを押し付ける。
僕は枕元に置きっぱなしにしてあった本の、栞を挟んでいたページを開いた。
数行を読み進めるうち、僕はすぐさま、うつらうつらと、眠りに誘われ、ランタンの火を消したのを最後に、いつの間にか眠りへと落ちていった。
その晩、僕は奇妙な夢を見た。
それは、どっすんどっすんと、次から次に巨大ケサランパサランが空から落ちてくるという夢だ。
それに押し潰されたネコが「ウギュ」と変な声を上げた。
多分、悪夢の部類に入ると思う。
ちょっと、楽しかったけど。




