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緑の聖女は転生先を間違えられたようです~植物スキルで、それなりに楽しくスローライフをしてます  作者: 楊楊
最終章

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73 決着

 今回の作戦は大きな危険を伴うものだ。

 幸い今のところ、死者は出ていないのだが、今回は死者が出るかもしれない。戦争だから多少の犠牲は仕方ないと頭では分かっていても、憂鬱になる。


 その作戦というのは、相手に森の防衛線をワザと突破させ、その隙をついて敵本陣を一気に強襲するというものだ。敵を誘い込み、一定期間釘付けにするのは、かなりリスクが高い。それに敵本陣を強襲するのはタンタカさんの部隊だ。こちらも同様にリスクが高い。


 この作戦を選択したのには理由がある。

 大鷲族やレッドさんたちの命懸けの情報収集によって、敵部隊に勇者がいないことが判明した。それに敵の総大将はオーダスト帝国第二皇子で次期皇太子として噂される人物らしい。それに最近では、敵の人命を度外視した突撃作戦でこちらはかなり疲弊している。このままいけば、撤退を余儀なくされるというのが、大方の予想だ。

 そこで勇者がいない今、一気に本陣を強襲し、第二皇子を生け捕りにして、交渉に持ち込むことを決断したのだった。


 そしてとうとう、敵部隊が森の防衛線を突破して、目の間に迫ってきた。

 グリューンが大声で指示をする。


「ここが正念場だ!!からなず故郷を守り抜くぞ!!」

「「「オオオオー!!」


 ゴブリンたちが槍衾を構築する。

 強襲部隊にこちらの主力戦力を割いたので、敵の部隊を受け止める部隊はほぼゴブリンしかいない。敵の主力である重装騎兵隊が迫って来る。


「矮小なゴブリン共を蹴散らせ!!」

「手こずらせやがって。これで終わりだ」


 相手はかなりこちらを舐めている。

 グリューンの話だと、普通は弓や魔法で相手の戦意を削いでから突撃が基本戦略らしいけど、いきなり突撃とは、かなり舐めているか、相手にも時間的な制約があるのかもしれないとのとことだった。


 ある程度近づいてきたのを確認し、グリューンが号令を掛ける。


「一斉射撃!!」


 槍衾の一部が開き、そこからクロスボウやバリスタの一斉射撃が始まった。次々と敵の騎兵が倒れていく。何とかこちらまでたどり着いた騎兵もかなり勢いがなく、ゴブリンたちの槍衾の餌食になっていった。


 敵の初撃を防ぎきった後、敵も慎重になった。

 遠距離から弓と魔法を大量に撃ってきた。これ対して、私の結界魔法とエルフたちの風魔法で防ぐ。こちらも弓と魔法で攻撃を加えるが、相手にも魔法障壁を張れる魔導士がいるようで、膠着状態になってしまった。


「このままの状態を維持する。後は強襲部隊がやってくれるはずだ」

「はい・・・でも心配です。タンタカさんたちは大丈夫でしょうか・・・」


 ここまでは作戦通りだ。

 後は強襲部隊が成功することを祈るのみだった。


 ★★★


 ~勇者田中貴子視点~


 敵本陣に突撃なんて・・・

 恐くて泣きそうになる。


「この作戦に成功すれば、人参がいっぱいもらえるな」

「それと、ウリ先輩たちの扱いも良くなるかもね」


 私の気も知らないで、神獣の二匹は呑気なものだ。

 そんな私に声を掛けてくれる人がいた。オークのオークナさんだ。


「心配ないよ。私が守ってあげるからね。それに私はいつも聖女ちゃんを守ってきたからね。実績はあるんだよ。まあ、ケンタウロスたちに任せれば何とかなるよ。隊長として、どっしりしてな」

「は、はい・・・よろしくお願いいたします」


 作戦が始まってから、しばらくは待機だ。

 緊張しながら、森に潜んで指示を待つ。3時間程した頃、大鷲族の獣人から指示が届いた。


「敵本陣を確認しました。かなり手薄になっています。突撃の指示をお願いします」

「分かりました。総員!!突撃!!」


 これで私の仕事は終わりのはずだったが、予想外のことが起きた。

 私を乗せていたスレイが部隊員と共に突撃を開始してしまった。


「ちょっと、スレイ!!止まってよ。私たちはここで待機のはずでしょ?」


「何を言っておる。人参のために手柄を立てねばならんのだ」

「そうだよ。大丈夫だからさ」


 キラタンも同調する。


 その後のことは、正直よく覚えていない。

 だって、怖くて目を瞑ってスレイにしがみついていただけだからね。


 スレイの動きが止まったところで、恐る恐る目を開けてみる。

 目の前には第二皇子と思われる男と金ピカの神官服を着た男がキラタンの糸でぐるぐる巻きにされていた。どうやら、作戦は成功したようだ。


「では急いで、連行しましょう。撤退!!」


 指示を出し、撤退を開始する。

 そんな時、第二皇子と共に拘束していた男が私に声を掛けてきた。


「も、もしかして・・・勇者様では?」

「えっ・・・」


 その男の顔をよく見ると見覚えがあった。

 多分、枢機卿だ。


「枢機卿?」

「そうですよ、勇者様!!さあ、我々と一緒に魔族たちを殲滅致しましょう」


 これには部隊員が騒然となった。

 オークナさんが言う。


「タンタカちゃん。勇者って、どういうことだい?」


 とうとう私は勇者であることがバレてしまったようだ。

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