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緑の聖女は転生先を間違えられたようです~植物スキルで、それなりに楽しくスローライフをしてます  作者: 楊楊
第五章 神獣と神木

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59 神木を救え

 新たな議事堂が完成した。

 完成したことを受け、早速各集落の長を招集し、記念すべき第一回目の会議が開催された。ゴブリナが壇上に立つ。


「開会の前にネフィス様に祈りを捧げましょう!!」


 一斉に柏手を2回打ち、手を合わせて瞳を閉じる。中央のネフィス様の女神像にみんなで祈りを捧げた。


「続いてこの議事堂の施設紹介を致します。この議事堂は・・・」


 中央の女神像は、ドワーフやダークドワーフたちが精魂込め作ったものだ。

 また、幻獣たちも参加することを考えて大きめに作り、席も色々な種族が座りやすいように工夫している。それに宴会が開けるようにビールサーバーやワインサーバー、冷蔵庫はもちろんキッチンも最新鋭の魔道具を使用している。


 予算の無駄遣いではないか?との意見も出たが、普段はレストランや簡易の宿泊施設として稼働する予定だし、災害時なんかは仮説住宅として運用することから、建設が認められた。まあ、予算も余っているしね。


 ゴブリナの有難い話の後にグリューンが開会を宣言する。


「それでは会議を始めよう。最近、我らは獣王国で・・・」


 グリューンが近況を報告する。


「それでは何か懸案事項がある者はいるか?」


 ボアタウンの代表であるゴブゾウが言う。


「特にないぞ。それよりも早く宴会にしよう。グレートボアたちが、匂いに我慢できないようだしな」

「我慢できないのは、お前だろ?グレートボアたちをダシにするな」

「そ、そうだけど・・・」


「分かった。では宴会を始めよう」


 特に会議をすることなく、いつも通り宴会が始まってしまった。

 これには獣王国から見学に来た者たちも驚いていた。


「会議しないのか?」

「そうみたいだな・・・」

「それで国が成り立つのか?」


 まあ、そうだよね・・・


 でも宴会が始まってしまえば、みんな楽しそうにしていた。

 幻獣の代表として、マンティコア、オルトロス、キンググリズリー、白虎が来ていて、グレートボアたちと交流を深めていた。ヨルは相変わらず、マンティコアの尻尾のヘビと仲が良さそうだった。


「ドラゴンは大変なんだよ」

「うむ。それが務めじゃ」


 色々とツッコミどころはあるけど、まあ、楽しければいいかと思ってしまう。



 ★★★


 一夜明けて、神妙な顔をしたダークがやってきた。グリューンと共に話を聞く。

 やってきたのは、ダーク一人ではなかった。美しいエルフの女性が同行している。見たことのないエルフで、スズキタウンや周辺の集落に暮らしているエルフではないようだ。


「こちらはハイエルフの女王の娘であるアンダリエル王女だ。現在、ハイエルフの里は危機的な状況だ。作物が獲れなくなり、深刻な食糧危機に陥っている」

「下賤なゴブリンや人間たちよ。お前たちに我らの危機を救う崇高な仕事をさせてやろう」

「アン!!お前は立場を分かっているのか?少しは態度を改めろ」


 私たちはこれまで、多くの集落や国の危機を救ってきた。

 頼みに来る者は誰もが必死で窮状を訴えた。しかし、アンダリエルの態度はどうも納得ができない。ダークが諫めてはいるが、ハイエルフ以外の種族を馬鹿にしているように感じる。


「それにアン!!お前たちハイエルフが何とかやってこれたのは、ネフィス様の施しがあったからだろう?」

「それはそうだが・・・ネフィス様に感謝はしているが、この者たちに感謝する必要はない」

「ネフィス様のお供え物を用意したのは、一体誰だと思っているんだ?」

「そ、それは・・・」


 詳しく聞くと、聖地のお供え物をこっそりと持って帰って食いつないでいたようだった。

 それで聖地のお供え物だけ、時間が経つと消えていたんだね・・・というか、泥棒じゃないか!!

 恥ずかしくなって、アンダリエルは俯いている。


「プライドの高いハイエルフを援助するために、グリューンや聖女殿に嘘をついていたことは謝罪する」

「ダークよ、気にするな。薄々気づいていたが、帰らずの森の通行料と思って黙認していた。困った時はお互い様だ」


 グリューンは優しかった。


「それで原因と思われるのは、世界樹が枯れかけていることだ推測する。このままでは世界の危機になるかもしれない」


 ハイエルフは代々、神木である世界樹を守り育ててきたようだ。

 しかし、最近では世界樹が枯れかかっていて、それに伴い作物も獲れなくなってきたという。


「だったらなぜ、もっと早くに助けを求めなかったのか?と思うだろうが、それこそがハイエルフのハイエルフたる所以だ。排他的でプライドが高く、我らダークエルフやハーフエルフでさえ、馬鹿にしているからな」


 プライドの高いハイエルフが恥を忍んで助けを求めにきたということは、一刻の猶予のない状況のようだ。

 そんな話をしていたところ、急にソマリが駆け込んできた。


「大変だニャ!!集団食い逃げ犯が現れたニャ!!」


 一旦、アンダリエル王女との話し合いは中断し、すぐに現場に向かう。

 食い逃げ犯は5人、いずれもエルフだった。商会のスタッフと激しくもめていた。


「崇高な我らハイエルフに酒や食事を提供する機会を与えてやったのだ。感謝するがいい」

「何をわけの分からないことを言っているのニャ!!いいから代金を払うニャ!!」


 ダークが頭を抱えて言う。


「アン・・・部下の面倒くらい見てくれ・・・」

「すまない・・・」


 どうやら食い逃げ犯たちは、アンダリエル王女の部下だったようだ。

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