58 神獣を救え 4
危険な冒険者が現れたことで、獣王国の各種族は嫌々ながらも結束することになった。
そして、細かい話をしようとしていたところ、虎人族の男たちが慌てた様子でやってきた。
「どうかお願いします!!幻獣様をお助けください」
詳しく聞くと、白虎という幻獣が冒険者の襲撃を受けて、大変なことになっているようだった。
話を聞いた後にフェニーが怒鳴る。
「助けなくてよい!!妾がわざわざ話をしに行ってやったにもかかわらず、門前払いをしおるから、こうなるのじゃ!!」
虎人族は戦闘力が高い種族だ。それにプライドも高い。
それが仇となり、フェニーたちの協力を断ったようだ。
「その件につきましては、お詫びのしようもありません。しかし、幻獣様はこのことを知らなかったのです。我らが勝手に断っただけで・・・」
グリューンが言う。
「フェニー殿、我は助けてもよいと思うが・・・」
「うむ・・・妾も少し腹が立っただけじゃ。反対はせんよ」
こうして、私たちと比較的戦闘力の高い幻獣は虎人族の里に向かうことになった。
★★★
虎人族の里は、激しい吹雪が吹き荒れていた。
白虎は氷魔法が得意なようだけど、それが暴走しているみたいだ。裏を返せば、まだ生きているということだ。
虎人族の族長に話を聞く。
「白虎様は山頂に住まれております。白虎様は我らに『魔力の制御が効かん。もう我に近づくな』と仰られました。我らにどうすることもできず、恥ずかしながら助けを求めた次第です。どうか白虎様をお助けください」
話を聞くかぎり、他の被害に遭った幻獣たちと同じ症状のようだ。
グリューンが言う。
「もしかすると、まだ危険な冒険者がいるかもしれん。こちらも戦力を整えて向かおう。移動については、聖女殿。頼めるか?」
「もちろんです」
私にはネフィス様にいただいた結界があるからね。
それからすぐに準備を整えて、私たちは白虎がいる山頂を目指した。
白虎の知り合いのマンティコアが案内をしてくれる。
「こっちだよ!!それに僕たちを襲った冒険者の匂いもする」
「うむ。気を引き締めたほうがいいようだな」
皆に緊張が走る。
グリューンはいつでも剣を抜けるように準備し、ダークは矢を番えた。それを見た他の同行者たちも戦闘準備を行う。
警戒を強めながら移動し、山頂に到着したところ、全身に吹雪を纏った大きな白い虎が姿を現した。
マンティコアが声を掛ける。
「久しぶりだね、白虎」
「お主も馬鹿な冒険者の被害に遭ったのだな?」
「うむ・・・恥かしながら傷を負ってな。魔力の暴走が止まらんのだ。まあ、冒険者どもはそこで氷漬けになっておるがな」
マンティコアの説明で、すぐに治療を行うことを承諾してくれた。
こちらは白ドラの葉っぱだけで治療することができた。そんな時、ヨルとフェニーが騒ぎ出した。
「こ、コイツらは僕たちの元いた世界の勇者パーティーだよ」
「うむ、忘れもせんわ」
「でも、どうして?」
「それは分からんが・・・」
確認してもらったところ、既に勇者たちは絶命していた。
すっきりしない結末だけど、一応は解決したようだ。同行していたフリンが勇者が所持していた聖剣を調べている。
「これは聖剣というよりは、魔剣に近いッスね。特に幻獣みたいな魔力が強い魔物には効果があるようッス。膨大な魔力を暴走させる魔法陣が刻印されているッス」
その後、勇者たちと聖剣をどうするかという話になり、検討の結果、聖剣はスズキタウンに持って帰って厳重に保管し、勇者たちの亡骸はこの場でフェニーが燃やし尽くすことになった。
「せめてもの情けじゃ。あの世で、これまでの行いをしっかりと反省するがよい」
一瞬で勇者たちは灰になった。
★★★
その後の話だが、虎人族もネフィス様を獣王にして、ルナールが政治的なとりまとめを行うことに同意した。白虎が賛成しているから、反対なんてできなかっただろうしね。
それで私たちはというと、派遣された獣人の作業員とともにスズキタウンに大規模な議事堂を建設することになった。
というのも、獣王国の方向性を決める会議開催の案内をルナールが各種族に送ったところ、どこで会議するかでもめたという。それで苦肉の策で、他国ではあるけど友好国の神聖ネフィス教国の聖都スズキタウンで開催することを提案した。この提案は受け入れられ、記念すべき第一回の会議は冬祭りの開催期間中に行うことになってしまった。
それにどうせなら、私たちも会議で使おうという話になり、急ピッチで建設を進めているというわけだ。
まあ、完成したとしても会議で重要なことが話し合われることはなく、すぐに宴会が開かれるんだろうけどね。
だって、議事堂の中央のネフィス様の女神像を設置した後は、冷蔵庫やワインサーバーなんかを設置し始めたからね。
そんな微笑ましい?光景を見ながら、今日も私のスローライフは続く。
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