56 神獣を救え 2
オルトロスを診断した結果、ヨルやフェニーたちと同じ症状だと判明し、白ドラの葉っぱを食べさせることにした。食べさせる時、左の頭が少し暴れたけど、主さんを筆頭に力自慢たちが必死で押さえつけ、何とか食べさせることができた。
オルトロスの体が光り輝き、しばらくして左の頭が落ち着きを取り戻した。
「あれ?どうしたのかしら?怖い夢をずっと見ていた気がするけど・・・」
「変な冒険者に剣で斬られて、大変なことになっていたんだよ」
「そうなの?それにしても懐かしい顔があるわね。久しぶりねグレートボア!」
主さんも答える。
「久しいな。それよりも少しこの者たちの話を聞いてくれんか?」
「いいわよ」
餓狼族の族長であるウルバが代表して説明した。
「それはごめんね・・・迷惑を掛けたみたいで・・・」
「本当に大変だったんだよ。僕からもお礼を言うよ」
これで問題は解決した。
「グリューン殿、聖女殿、その他の皆さんも大変世話になった。それでささやかだが、宴を開こうと思う。すぐに里に戻ろう」
獣人たちも魔族と同じく宴会が好きなようだった。
帰り際、主さんがオルトロスを誘う。
「オルトロスも参加すればいいのではないか?里の者たちも安心するであろう」
「えっ!!行っていいの?」
「グレートボアがそこまで言うなら、行ってもいいわよ」
これにはウルバが感激の声を上げる。
「それは光栄なことです。最大限のおもてなしを致します。おい!!里に急ぎ知らせるのだ!!」
ウルバはお付きの餓狼族の青年に指示していた。
里に帰り、宴会が開かれた。
皆、楽しそうだ。オルトロスはもちろん大人気だったが、ウリやヨル、フェニーたちも人気者だった。餓狼族の人に聞いたら、オルトロスと同じカテゴリーの幻獣扱いらしく、高待遇を受けていた。
もちろん私たちも高待遇だった。
オルトロスを治したことも大きいが、大量にお酒を持って来たので、それを配ったからだ。お酒を飲ませて眠らせる作戦も考えていたからね。
★★★
次の日、私以外のメンバーは軒並み二日酔いだった。
普段は節制しているグリューンも飲み過ぎたようで、少し辛そうだった。
「流石に飲み過ぎたな・・・もう一日滞在を延ばそう」
「そうしたほうがいいと思います。他のゴブリンたちは、動けない者もいますからね」
そんな話をしているところに、怒鳴り合う声が聞こえてきた。
慌てて、外に出てみると、ウルバとライオンっぽい獣人が口論をしていた。
「我らにあんな仕打ちをしておいて、今更助けてくれとはどういうことだ!?」
「そこを頼む!!幻獣様が危険な状態なのだ」
「知るか、そんなこと」
「頼む・・・他に頼るところもないんだ!!」
宰相のルナールが解説してくれる。
「彼は獅子族の族長の長男でライオスという者です。実は獅子族を庇護している幻獣様も同じような襲撃に遭い、苦しんでいるようなのです。聖女様に取り次いでほしいとのことで、ウルバ殿と喧嘩になっているのです」
餓狼族と獅子族の間には確執があり、犬猿の仲だという。
それでもここに来たということは、どうしようもない事態ということだ。
グリューンが二人の間に入る。
「ウルバ殿、話くらいは聞いてもいいのではないか?」
「グリューン殿がそう言うのなら・・・仕方ない、ライオス。話だけは聞いてやる」
「すまぬ・・・ではまず・・・」
話を聞いたところ、オルトロスを襲った同一犯の可能性が高いようだ。
襲われたのはマンティコアと呼ばれる幻獣で、尻尾がヘビで羽の生えたライオンのようだ。主さんとオルトロスに聞いたところ、知り合いらしい。
それで症状だが、暴れたりすることはないが、傷が一向に治らず、尻尾のヘビが瀕死の状態らしい。
「頼む!!このとおりだ」
ルナールが言う。
「私としては、マンティコア様の治療をお願いしたいところです。しかし、問題はそれだけではありません。マンティコア様以外にも幻獣様はいらっしゃいます。他の幻獣様も被害を受けていないか心配ですね」
私はフェニーに言う。
「フェニー、ちょっと頼まれてくれる?」
「うむ。妾が他の幻獣たちの様子を見に行けばよいのじゃな?」
「そうよ。大丈夫?」
「まあ、同じ馬鹿の被害者かもしれんから、今回だけは無償で助けてやろう」
ルナールが続く。
「それでは熊人族の里、羊人族の里、それと・・・」
「詳しい場所については、妾の従者に聞く。具体的にはどうしたらよいのじゃ?」
「無事ならば注意喚起を。もし危険な状態でしたら、獅子族が里に運ぶように指示してください」
「うむ。では早速、周発しよう」
フェニーが飛び立ち、私たちも二日酔いの魔族たちを叩き起こして、獅子族の里に向かうことになった。
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