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緑の聖女は転生先を間違えられたようです~植物スキルで、それなりに楽しくスローライフをしてます  作者: 楊楊
第三章 建国

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27 プロローグ

 目を覚ますと私は、見知らぬ神殿にいた。

 どこか見覚えがあると思ったら、私が転生する際に訪れた神殿に似ていた。そこと比べると、かなりボロボロだけどね。


 そんな私に一人の女性が近づいてきた。黒髪で褐色肌の女性だった。

 あれ?もしかして・・・


「私はネフィス。少し貴方とお話がしたくてね。突然で驚いたでしょ?」

「は、はい・・・初めまして、私は・・・」


 言い掛けたところで、遮られた。


「ミドリ・スズキ。緑の聖女ね」

「そうですけど、なぜ分かるのですか?」

「これでも一応、神様だからね」

「失礼しました。それで私にどういったご用件でしょうか?」

「本当にちょっと話をしたかっただけよ。まずは貴方のことを教えてくれるかしら?」


 どうして私がここにいるのか?という疑問は生まれたが、私は言われるがまま、自分のこれまでを話した。

 前世の鈴木みどりとしての人生をまず話したが、思いのほか盛り上がってしまった。ブラック企業あるあるだけど、かなりウケがよかった。


「分かるわあ・・・クレームの処理って大変よね?」

「そうなんです。こっちが悪いわけじゃないのに、怒鳴れっぱなしで・・・」

「そうなのよね。そんな奴にかぎって、契約を結んだ後に、『説明がなかった』とか言ってくるのよね」

「分かります。それでもこっちは平謝りですよ。契約破棄されたら、それこそ上司に大目玉です」

「貴方も大変だったわねえ・・・だからこそ、今度の人生はあまり無理してはいけないわよ。前世でも貴方のお蔭で多くの人が救われたわ。でも貴方が死んでしまったら意味がないわ」

「そ、そうですね・・・」


 そんな話をしているところに初老の紳士が現れた。ナイスミドルの執事さんといった感じだ。


「ネフィス様、お茶をご用意しました。それと時間がありませんので、早速ご用件を」

「いけないわね。つい盛り上がってしまったわ。それじゃあ、転生後の話を聞かせてくれるかしら?」


 私は言われた通り、転生してからの出来事を話した。

 名前も知らない女神に「緑の聖女」というジョブを与えられ、転生させらたことや、その後はゴブリンや魔族たちと一緒に楽しく暮らしていることなんかを話した。


「私を転生させたいただいた女神様には感謝しているんです。でも、ちょっと事務的というか・・・こんな感じで、少しでも私のことを労ってくれたり、共感してくれたりしてくれてもよかったと思ったんですよ。いきなり死んでしまって、ショックを受けているわけですから・・・」

「そ、そうね・・・」


 ネフィス様はというと、少し表情が優れなかった。

 ブラック企業あるあるの流れで、私を転生させた女神について、少し棘のある言い方をしたからかもしれない。


「でも今は楽しくやってます。それで私を転生させていただいた女神様は、何というお方なのでしょうか?」

「ララーナね」

「ララーナ様ですね。失礼ですが、どういったご関係でしょうか?」

「そ、そうね・・・()()()()()()感じかな・・・」


 やってしまった・・・

 そりゃあ、部下を悪く言われたら、気分を悪くするよね。


「申し訳ありません。そんなつもりでは・・・」

「いいのよ。ララーナにはこちらから、きつく言っておくから、気にしないで」

「ありがとうございます。でも、そんなにきつくは言わなくてもいいかなって思います。かなり忙しそうでしたから・・・」

「優しいのね。でも、きちんと落とし前はつけさせるからね」


 ちょっと怖かった。

 微妙な空気になったので、ネフィス様が話題を変えてくれた。


「頑張っている貴方を応援しようと思うんだけど、何か欲しいものはない?」


 特に欲しい物はない。今の生活には満足しているしね。


「それでしたら、いくつか質問をさせてください」

「いいわよ。答えられる範囲なら」

「では、私たちの国を作るという話になりまして、いい国名が思い浮かばなくて・・・一応、ネフィスランドとかネフィス教国とか考えてますが・・・そんなのでいいのでしょうか?」

「ネフィス教国・・・いいわね。どうせなら神聖ネフィス教国にしなさいよ」

「分かりました。それで王都?聖都?の名前もお願いできますか?」

「じゃあ、貴方の功績を称えて、スズキタウンなんてどう?」

「は、はい・・・」


 ここで嫌とは言えない。ネフィス様も私並みにネーミングセンスはないようだった。


「他には?」

「お祈りの仕方は合ってますでしょうか?」

「ちょっとやってみて」

「はい」


 実際にやってみた。


「お祈り方法なんて、ぶっちゃけ何でもいいのよ。それでやっているなら、そのまま続けなさい」

「分かりました。それから・・・」


 色々と質問をした。

 お供え物の好みとか、お祭りの時の作法とか、よく考えたらゴブリナが喜びそうなことばかりだ。お供え物に化粧品を追加して欲しいと言われたのは意外だったけどね。

 再び、執事っぽい人がやってきた。


「ネフィス様、そろそろ時間です」

「もうそんな時間?じゃあ貴方に加護をあげるわ。えい!!」


 私の左手に黒色のブレスレットが現れた。


「今のところ、「毒無効」だけしか付与されてないけど、信仰心が貯まれば色々と効果が付与されるわ」

「ありがとうございます。一生懸命に頑張ります」

「くれぐれも頑張り過ぎないでね。折角転生したんだから、今度の人生は楽しく生きてね。世界を救おうとか、大きなことをしようと思わなくていいからね。できる範囲で、目の前の困っている人を助けてあげればいいんだからね」

「分かりました。ありがとうございます」


 少し真剣な表情になったネフィス様が言う。


「また会える日を楽しみにしているわ。因みにここと貴方の夢とを無理やりつなげてるから、明日普通に目が覚めるから安心してね」

「はい」

「それではミドリ・スズキよ、時間です。貴方の人生に幸多からんことを」


 そして私は意識がなくなった。



 ★★★


 ~邪神ネフィス視点~


 緑の聖女を送り出し、私はつぶやいた。


「いい子じゃないの・・・」

「ええ・・・しかし、こんな偶然が起こるとは、まさに神の奇跡ですね」

「私も神様だからね。それにしてもララーナの馬鹿は許せないわ。サマエル、証拠集めをお願い」

「既に手配しております」


 私にはもったいないくらいサマエルは優秀だ。


「しかし、別の懸案事項がありまして・・・」

「それって?」

「ヨルムンガンドです。ヴェルトラに送り込んだでしょう?」


 完全に忘れていた。


「今から動かすなんてできないし・・・」

「祈るしかないですね」

「そうね」


 神様なのに祈るしかできないなんてね・・・自分の不甲斐なさが、嫌になる。

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