25 幕間 聖女を探せ
~冒険者レッド視点~
私は赤髪のレッド。Aランク冒険者パーティー「シーカーズ」のリーダーだ。もちろんレッドは冒険者の登録名で、本名ではない。こう見えて、訳アリだからね。
パーティーメンバーは私を含めて四人、青髪で元神官の少女ブルー、金髪で元商人のゴールド、そして最近白髪が目立ちはじめた初老のブラック。いずれも訳アリで、本名ではない。
そんな私たちは、ある極秘依頼の真っ最中だ。
場所は通称「帰らずの森」。ララーナ教会の総本山に「緑の聖女は帰らずの森に降り立った。聖女を救え」との神託が下ったようで、冒険者ギルドを通じて、私たちに依頼があったのだ。
「帰らずの森」は危険な場所だ。
魔族との紛争地だし、森を破壊するような行為をすれば、森を管理しているハイエルフの粛清に遭う。ゴールドが愚痴を言う。
「そんなに大事な聖女様なら、俺たちじゃなく、騎士団でも派遣すればいいのにな」
「ゴールド、そんなこと言わないの。調査依頼にしては破格の報酬よ」
ブルーが言う。
「でも、教会は責任を取りたくないって魂胆が見え見えよ。だから、何かあれば私たちに責任を押しつけるに決まっているわ。アイツらときたら・・・」
ブルーは教会にかなり厳しい。色々あって、教会を追い出されたからね。
「ブルー、それも分かっているわ。だから、ある程度森を探索したらマッピングして、ここまでは調査したけど「情報なし」で報告するわ。教会も私たちにそこまで期待してないだろうしね」
そんな話をしていたところ、ブラックが声を上げる。
「お嬢・・・レッド、お静かに。何か近づいてきます。隠れましょう」
私たちはその場を少し離れ、木陰に隠れた。
私たちは皆、隠密スキルを持っている。こういった調査依頼は得意なのだ。
しばらくして、衝撃の光景が飛び込んで来た。
★★★
「魔族?」
「ゴールド、静かに・・・」
30人規模の魔族の集団だった。ゴブリン、オーク、リザードマン・・・下半身が馬の魔物や蜘蛛のような魔物もいる。私はすぐにハンドサインを出す。
「しばらく様子見。危険があれば、すぐに撤退する」
ハンドサインで、三人から「了解」と返ってくる。
様子を見ていたところ、魔族たちは他の木とは、明かに種類の違う二本の木の前で停止した。その木の前には怪しげな女神像が置かれている。
ブラックにハンドサインを送る。
「戦力的にどう?」
「ゴブリンは大したことはない。ただ、リザードマンと得体の知れない魔物は、手練れだ」
「勝てそう?」
「相打ち覚悟なら」
ブラックは元某国の剣術指南役だ。ブラックがそう思うなら、戦闘は避けるべきだ。
魔族たちのリーダーは変わった服を着たゴブリンの少女だった。そういえば、何年か前に異世界からやってきた勇者と服装が似ている。そこそこ強かったが、人間性は最悪で、獣王国との紛争で戦死したっけ・・・
その少女は魔族たちの前に歩み出て、演説を始めた。
「皆さん!!こちらに緑の聖女様が降臨されたのです!!」
今、緑の聖女って言わなかったか!?
「・・・すべてはこの地から始まったのです!!さあ、女神ネフィス様と緑の聖女様に感謝を!!」
長い演説だった。それでも大半は真剣に聞いている。中には集中力が切れている者もいたが・・・
演説が終わると、魔族たちはめいめいで木から溢れ出ている水を飲んだり、変な木からフルーツをもいで食べたりしている。
フルーツは色々な種類があるようで、美味しそうだ。
しばらくして、ゴブリンの少女が言った。
「フルーツの木からすべてのフルーツを採ってはいけませんよ。もし、困窮している者が命からがら、たどり着いたら、救われませんからね。ではそろそろ帰りましょう。その前にお祈りを致します」
見たことのない礼拝方法だった。2回手を叩いて、手を合わせて、目を閉じるだけだった。
そして、魔族の集団は去って行った。
魔族の集団が去ったの確認した後、私たちは魔族たちがいた場所を調べた。
女神像は最近、獣王国からやってきた獣人たちが売っていた女神像に似ていた。
「創造神ララーナ様ではありませんね。魔族が信仰する神でしょうか?」
「ブルーが分からなかったら、誰も分かんねえよ。それにしても、このフルーツは旨いぞ。色々な種類があるし、毎日これが食えるなら、俺は魔族の神様を信仰してもいい」
「ゴールド、得体の知れない物を食べるなんて・・・私も食べようかな・・・」
結局、誘惑に負けて食べた。今までにないくらい美味しかった。
「お嬢・・・レッド。それでどうされますか?」
「帰りましょう。これだけでかなりの情報よ。特別報酬が出てもおかしくないわ。これ以上は危険だしね」
「いい判断かと」
私たちは、マッピングした後、帰還することにした。
「ゴールド!!全部食べたら駄目よ。祟られたらどうするのよ?」
「そうだな・・・」
★★★
~ハイエルフ視点~
レッドたちが去った後、一部始終を見ていたハイエルフの集団が現れた。
「姫、緑の聖女とは何者でしょうか?」
「分からん。母上・・・女王陛下に報告だ」
「はい。それにしてもこのフルーツは旨いですよ」
「私より先に食う奴があるか!!」
ハイエルフたちも、フルーツをもいで食べる。フルーツの美味しさに驚いていた。
「いくつか持って帰るぞ」
「はい」
ハイエルフたちも去って行った。
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