18 襲撃
視察は順調に進む。行く先々で盛大にもてなされた。
私の体重はというと、体重計に乗っていないから正確には分からないが、現状維持だ。というのも、スキルをたくさん使えば、魔力と共にカロリーも消費されることを教えてもらい、積極的にスキルを使ったからだ。
新しく植えられる作物を植えたり、手当たり次第に「植物鑑定」を使ったりした。
新しい作物を植えたら大喜びされたし、手当たり次第の「植物鑑定」の結果、珍しい薬草を発見してダークが大喜びしたりと、それなりに役には立っている。
そして今日、最後の訪問先である、ゴブゾウたちの集落に到着した。
既に大勢の住民が出迎えに来てくれた。それにグレートボアの一団も集合していた。ウリが嬉しそうに駆け出し、グレートボアの中でも一際大きなグレートボアに飛びつく。ウリの母親である主さんだ。
長であるゴブゾウが声を掛けてくる。
「歓迎する。俺たちよりも、グレートボアのほうがお待ちかねのようだがな」
「息災で何よりだ。それで困ったことはないか?」
「あるにはあるが、大したことじゃない。それよりも早速飲もうぜ。いい酒を持って来たという情報は届いているぜ」
「うむ」
そんな話をしているところにウリが戻ってきた。私に何かを伝えようとしている。
「早くお母さんに渡したいってこと?」
「キュー!!」
私は同行しているゴブリンに事情を説明する。すぐに大量のスイカを持って来てくれた。
実はウリが母親や仲間のグレートボアたちに、お気に入りのスイカをお土産として用意していたのだ。主さんが近づいて来る。
「そうか・・・ウリが用意してくれたか。早速いただこう」
すると主さんはスイカを丸飲みにした。
「これは旨いな。礼を言うぞ、ウリ」
「キュー!!」
すると、ウリの周りにウリ坊たちが群がってきた。
「キュー!!」
「久しぶりにみんなと遊びたいの?」
「キュー!!」
「じゃあ、行ってきなさい」
ウリはウリ坊たちと一緒に走ってどこかに行ってしまった。
主さんが言う。
「心配はいらん」
「そうですね」
私たちはというと、早速宴に招かれた。会場は出来たばかりの神殿だ。
ゴブゾウが言う。
「とりあえず飲もうぜ。最近はサツマイモの生産だけじゃなく、畜産にも力を入れているんだ。グレートボアたちが家畜を見てくれるしな。今日は豪華な肉料理を用意したぞ」
フリンが続く。
「肉料理ッスか・・・だったら、果実酒とワインがいいッスね」
「ドワーフよ、分かってるな」
「もちろんッス」
すぐに打ち解け、宴が始まる。すぐに大盛り上がりになる。
グリューンとゴブゾウも仲良く話をしている。
「どこの集落も人手不足だな。贅沢な悩みだがな」
「ウチもそうだが、ウチはグレートボアたちがいるからな。他よりはマシだな。ただ最近、家畜泥棒が頻繁に出てな」
「それは心配だな」
「だが、夜に家畜小屋に入れて管理するようになってからは、被害はないな。どこのどいつかは分からんが、困ってるなら「助けてくれ」って言ってくればいいのにな」
「今は助けられるだけの余裕があるからな」
みんなそれぞれで楽しんでいる。
ダークは薬草談義、フリンはお酒談義に花を咲かせ、ゴブリナはまた有難い話をしている。ゴブリナは他の集落ではかなり人気がある。話として聞く分には、おもしろいからだろう。
そんな宴の中、急報が飛び込んできた。
報告に来たゴブリンが焦った様子で報告する。
「襲撃です!!怪我人も出ています!!それに・・・ウリ様が・・・」
すぐに現場に向かう。
家畜には被害はなかったのだが、人だかりができている。人だかりを掻き分けて進むとウリが血塗れで倒れていた。ウリ坊たちも心配そうに取り囲んでいる。
ゴブゾウが叫ぶ。
「どういうことだ!?説明しろ!!」
「馬に乗った盗賊がやって来て・・・それでウリ坊たちを攫おうとしました。それを止めに入ったウリ様が・・・」
仲間のウリ坊を庇って、ウリが槍で刺されたらしい。
私は取り乱していた。
「ウリ!!しっかりして!!」
私はグリューンに止められる。
「聖女殿、落ち着け。治療が先だ。ダーク、ゴブリナ!!」
「はい」
「分かっている」
ダークの魔法薬とゴブリナの回復魔法で必死に治療するが、ウリの容態は悪いままだ。
「かなり傷が深い・・・」
「私の回復魔法では限界かもしれません」
「それって・・・ウリが助からないってこと?」
「最善は尽くす」
「私も力のかぎり、やります。たとえ魔力が尽きても」
そんな時、赤ドラが自身の頭頂部に生えている葉っぱを引きちぎった。
(これを食べさせて)
手の施しようがないので、赤ドラの言われた通りにする。
すると不思議なことに葉っぱを食べさせたウリは光り出した。そして、傷口がみるみる塞がっていく。
「奇跡です」
「ああ・・・」
「キュー!!」
私はウリを抱きしめた。
ダークが言う。
「これがマンドラゴラの葉の効果か・・・赤ドラ殿、礼を言う」
(気にしなくていいよ)
ゴブゾウが言う。
「絶対に許さねえ!!落とし前はつけてやる」
これに主さんも続く。
「我もだ。皆殺しにしてくれるわ!!」
グリューンが言う。
「我らも協力する。皆の者、よいな?」
もちろん、反対する者はいなかった。
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