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緑の聖女は転生先を間違えられたようです~植物スキルで、それなりに楽しくスローライフをしてます  作者: 楊楊
第一章 転生してスローライフ

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14 布教活動 2

 お米が作れることが分かった私のテンションは、爆上がりだ。

 住民にほとんど説明せず、すぐにスキルでお米を植え、「成長加速」で収穫できるまでに育て、すぐに収穫する。

 収穫後、すぐに食べられるわけではないのだが、そこは赤ドラと白ドラの助言と魔法で、脱穀から精米までアッという間にやってしまった。ゴブリナでさえも、若干引いている。


「聖女様・・・これは一体?」

「そんなことよりも、お鍋を用意して。ここにお米と水を入れて・・・」

「それで・・・えっと・・・見たこともない食べ物ですが?」

「心配しないで。今まで食べたことがないくらい、美味しいからね」


 しばらくして、懐かしく、幸せな匂いが漂ってくる。

 私は炊き上がったご飯を一心不乱に掻きこんだ。


 美味しい!!


 しかし、周囲の反応は芳しくなかった。


「食べられないことはないが・・・」

「うむ・・・味があまりしないな」

「そうですね・・・微妙です」


 そうだよね・・・ごはん単体ではね。

 当然だが、ご飯にはおかずが必要だ。興奮して、肝心なことを忘れていた。


「何か塩辛いものがあれば、凄く美味しくなるんだけどね・・・」


 リザードマンのザードが言う。


「聖女殿、それであれば良い物がある。サマスの塩漬けを持って参れ」


 ザードに指示されたリザードマンが鮭の切り身のような物を持って来る。


「これはサマスという魚を塩漬けにして焼いたものだ。我が集落の名産品だが、最近ではめっきり獲れなくなってな。残りは少ないが、折角だから食べてくれ」


 食べてみると、味はやっぱり鮭に似ていた。当然、ご飯に合う。

 これには、みんなが大絶賛だった。


「旨すぎる!!」

「ああ・・・生きていてよかったと思えるくらいの味だな」

「うむ・・・言葉にならんな」


 ゴブリナなんか、感動で涙を流していた。


「なんと表現すればいいのでしょう。これはまるで・・・まるで・・・えっと・・・」


 ゴブリナは、良い例えが思い浮かばなかったようで、私を期待込めた目で見てくる。


 それはないでしょ?何でもかんでも、私を当てにしないでよ!!


 そう思ったが、今回だけは助けてあげることにする。いい例えが思い浮かんだしね。


「そうね・・・まるで、ずっと会えなかった恋人が巡り会えたみたいな感じね」

「そうです!!ロマンティックな感じは、素晴らしい。これを信者に伝えなくては・・・」


 そこからは、大盛り上がりだった。


 しかし、そんな中でも落ち込んでいる住民もいた。

 気になったので、話を聞く。


「この米というのは、大変すばらしい。この冬も乗り切れるでしょう。でも我々は魚も同じくらい好きなのです。それが食べられないとなると、少し寂しく・・・」

「そうですね。折角、サマスの塩漬けの美味しい食べ方を教えてもらったのに、肝心のサマスがもう食べられないとなると・・・折角、巡り会えた恋人が別れなければならない感じがします」


 ザードが言う。


「聖女殿、無理を承知で頼む。どうか、再びサマスが獲れるようにしてほしい」

「そ、そうですね・・・できるかぎり、やってみます・・・」


 そうは言ってみたものの、私は魚の専門家ではない。一応、チート級の植物スキルを持っているが、魚については畑違いだ。できる保証なんてない。

 最悪できなくても、頑張っている感だけは出そうと、私はリザードマンやフロッグ族の漁師たちに聞いて周る。


「何か以前と変わったところはないでしょうか?」



 調査した結果、変わったことといえば、集落に流れる川底の苔がかなり減っているとのことだった。

 この意見を言ったのは、若いフロッグ族の漁師でケロッグという少女だった。


「苔がいっぱい生えている所にサマスがいっぱいいるって、亡くなったお祖父様が言っていたケロ。私は技術はまだまだだけど、そういった場所をいっぱい知っているから、それなりにサマスを獲れていたケロ」


 とりあえず、他に手掛かりはないので、苔を分析することにした。赤ドラと白ドラ頼みだけどね。


(この苔も魔素の質が変化した所為で、魔素が取り込めなくなっているね)

(「品種改良」で治せるよ)


 助言に従い、「品種改良」した苔を川に戻していく。

 流石に川全体は無理なので、ケロッグが主に漁をしていた3箇所にだけ、処置を行った。



 ★★★


 集落には5日程、滞在した。

 その間に住民に米作りを指導したり、米作りに必要な農機具を居住しているハーフドワーフに作ってもらったりして過ごした。脱穀に必要な千歯扱きを依頼した時は怪訝な顔をされたけどね。


「変な物を作らせやがって・・・まあ、フリンの紹介状があるから、受けるがな」


 意外にフリンは、ハーフドワーフの間でも信頼があるようだった。


 必用な技術をある程度伝えたので、私たちは帰還することになった。

 ザードが言う。


「サマスのことは仕方がない。この冬が越えられるだけでも有難い。我たちも引き続き、調査をする。気長にやるよ」

「すみません、お力になれず・・・」


 そんな会話をしていたところにケロッグが駆け込んで来た。


「大変だケロ!!すぐに川に来てほしいケロ!!」


 ケロッグを落ち着かせて、現場に向かう。


 こりゃあ、驚くわけだ・・・


 川一面をサマスの群れが埋め尽くしていた。

 嬉しそうにリザードマンやフロッグたちが、手掴みでサマスを捕まえている。推測するに川全体の苔が減っているから、苔がたくさんある箇所にサマスが集中したのだろう。

 ケロッグが言う。


「サマスが苔を食べに来たケロ。やっぱり苔が原因だったケロ。それもこれも聖女様のお蔭だケロ」 


「その通りだ!!」

「ありがとうございます!!」

「聖女様、バンザーイ!!」


 こんなに上手くいくとは思わなかったけどね・・・


 ここで終わらないのがゴブリナだ。


「皆さん!!これはネフィス様の奇跡です!!さあ、ネフィス様と聖女様に祈りを捧げるのです!!」


 一斉にみんなが柏手をパン、パンと2回打って、私と女神像に祈っている。

 これは、いつになっても慣れないものだ。


「塩漬けが完成する頃にまた来ます。楽しみにしていますよ」


 私は引きつった笑顔を浮かべながら、リザードマンやフロッグの集落を立ち去ったのだった。

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